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翌朝。

私は父の自宅にいた。

父は私が来ることをわかっていたらしく、私を客間に迎え入れた。

私を出迎えたのは、父ではなかった。

そう、目の前にいるのはリックとであった病院の私の主治医だったキンバリーだ。

彼女は落着きなくそわそわしている。

おそらく、父に呼ばれてここにきたんだろう。

「Mariaさん。体の調子はどうですか?」

「おかげさまで、ごめんなさいね。突然、御礼も言わずに消えたりして。もしかして、父に呼ばれてきたの?」

「そうですが、呼ばれる前からあなたの居場所を捜していました。」

「私の居場所を?」

さっきまで怯えていた彼女の顔が一瞬にして引き締まって医者の顔になった。

彼女は私の目の前に一通の封筒を差し出した。

私はそれを手にとり、中に目を通した。

そこには胸部のレントゲン写真と超音波写真などが入っていた。

「まさか・・・。」

「おわかりですね。Mariaさん。あなたは妊娠しています。生後五週目です。ですがそれだけだったら次期にわかることなのであなたをわざわざ捜すなんてしません。伝えたいことはその胸部のレントゲンのことです。」

「このメモリーは私が埋め込んだものよ。」

「ええ、それはわかっています。しかし、そのメモリがあなたの肺を突き破って、心臓を破壊しようとしている。このままではあなたは死にます。今すぐに摘出手術を受けてください。」

「近々、そうしようと思っていました。」

「そうですか、それなら良かった。ところで、ご主人はご存知なんですか?妊娠のこと。」

「夫はいません。この子の父親はすでに死んでます。」

「そうですか。Mariaさん。妊娠が進んでから手術するのはとても危険が大きくなります。今すぐ今日にでも病院にいかれることをお勧めします。」

「わかりました。先生、どうもありがとう。」

「いいえ、お大事に。」

そう言って彼女は私の前から姿を消した。ドア越しに父が彼女に礼を言うのが聴こえた。

そして、父が入ってきて彼女がいたところに座った。

「お前、どこかからだが悪いのか?」

「メモリーの固定が外れて肺を突き破ろうとしてるの。早く摘出しなくてはいけない。」

「そうか、では明日にでもそうするとしよう。おい。」

そういうと、外に控えていた父の秘書が入ってきた。

「お呼びですか?」

「マリクを屋敷に呼べ。」

「わかりました。」

「これで、明日には手術が出来る。」

「あいりがとう。パパ。」

「どの道、摘出しなくてはいけないのだからな。お前が二人を始末してくれたお陰で安く上がった。」

「個人的な用事があったからね。ところでパパ。」

「無理にパパなんて呼ばなくていいぞMaria。」

「すべて知ってるのね。」

「最初から知っているさ。」

「パパはこころからママを愛していたの?」

「当たり前だ。しかし、エレノアは違った。エレノアがICPOの手先だということも結婚前からわかっていたし、仕事のために結婚するともわかっていた。でも、私は彼女の心をこの手にするチャンスにかけていたんだ。しかし、最後までそれはできなかった。」

「そう、それでもパパはこの世界で生きることを選んだのよね、ママと生きることよりも。」

「そうだ、所詮、愛なんて不確かで信じられたものじゃない。」

「パパはその自らの欲で私の娘を殺し、私の愛する人を殺した。」

「何を言う、Maria。お前は愛というものに勝ったんじゃないか。今、お前の目の前には最強の殺し屋としての名声と冨が待ち構えている。」

「私はそんなものいらない。私が今ほしいものはねパパ。」

私は持ってきた日本刀に手を伸ばした。

すると、父は私向かい銃を放った。

私は身を低くして弾を避けた。

「言わせておけば、随分と生意気な口を利く。Maria、いくらお前が私の後継ぎでも、私の愛したエレノアの娘であっても、私の命を狙えば私は容赦しない。残念だ、Maria、お前だけは私に忠実にいてくれると信じていたのに・・・。」

そう言ってパパはパパの愛刀、紅露を引き抜いた。

私も刀を抜いた。

「あんたは私が必ず殺す。」


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