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「生きていたの?パパ・・・。どうして・・・・。」

「すべて、お前の為だ。」

「私のため?どういうこと?」

「お前を真の意味で最強の殺し屋にするためさ。すべては、私とジンが仕組んだことだ。」

「パパとジンが?」

「ジンと私は大学時代の友人で若い頃はよく一緒に組んで仕事をしていた。そこで、私が死んだことにしてお前をジンの元で修行させることにした。」

「でも、わざわざ死んだことにしなくても。」

「逃げ道があるとわかれば人は成長しない。」

「だから・・・。じゃあ、ママも・・・。」

「ママは死んだよMaria。」

「えっ・・・、どういうこと?」

「Maria、ママはパパを裏切ったんだ。ママはICPOを裏切ったと装って私達を裏切っていたんだ。つまり、二重スパイだ。」

「だから、ママを消したの。」

「ああ、ジンと相談してな。お前に私の死を信じさせるためにもママを消す為にも一度、一家を本当に壊滅させることにした。」

「そう・・・。」

私は思いっきり拳を握った。

娘が死んだもの、ローバーとを殺さなくてはいけなくなったのもみんなみんなパパが発端だった。

私は許せなかった。

パパは少しも表情が変わらない。むしろ、娘の姿に喜んでいるようだ。

そして、パパは口を開く。

「Maria、これからは私の元に帰ってきなさい。私の後継ぎとして。」

身勝手だ。

みんなみんな身勝手だ。

「パパ、サムが今一体どうしてるか知ってる?」

「サムか・・・。あの馬鹿息子か・・・。妻子のために自分の腕を切り落とすなんて、全く馬鹿な息子だ、私の考えを無にしおって。」

「どういうこと?」

「お前が組織を逃げた時、サムも妻子のために組織を辞めようとした。そして、ジンと組織の制裁を先に受けたのは君だ。どうなるかわかったサムはベネディクトと契約を交わした。二度とこの世界で生きていくことの出来ないような身体になるということと引き換えに組織を辞めることを許可するという契約を交わした。それで利き腕を切り落とした。」

この事実をきいて、私の誤解があったことと、そして、ジンが娘達を殺したことに関わっていたことがわかった。

私はパパの話を聞くうちにその視線がパパから床に移っていた。

「パパ、何でサムはそうまでして妻子を取ったかわかる?」

「さあな、私には理解できんよ。」

「そうでしょうね。パパは家族なんてもの大切に思ってないから、愛を笑うひとだから。冨と権力を手に入れるためには全てを切り捨てる人ですものね。」

「それはひどいな・・・。私はMaria、お前をこの世で一番愛している。だからこそ、私はここまでの犠牲を払ってきた。」

「ちがうわ。パパは私を愛してるんじゃなくて自分の後継者を愛しているのよ。自分の名誉を継承する者をね。私じゃない。」

「失礼します。」

パパが口を開こうとした瞬間、他の女のこえが廊下から割り込んできた。

「どうした。」

「社長。そろそろ、お時間です。」

「そうか、Mariaまた後日話をしよう。お前にはここで自由に過ごすといい。疲れてるだろう。ゆっくり休みなさい。」

そう言うとパパは私の頬にキスをして私の前から姿を消した。

全てはパパの身勝手から始まった。

許せない、このまま黙ってパパの言う通りになるなんて私は納得いかない。


その夜。

私とジンは向かい合って座っていた。

「おどいただろ、Maria。依頼人がお父上だったこと。」

「ええ、そうね。何もかも全てがわかったからね。」

「Maria、ベネディクトを殺す気だな。」

「約束したはずよ、許すって。」

「君は嘘をついてる。私にはわかる。」

「そう。ところで、私の母を殺したのはジン、あなたね。」

すると、彼は溜め息をつき、くちを開いた。

「私も殺すかMaria。」

「ええ、」

「それは嬉しいな。」

そういって、彼は嬉しそうに笑った。

「なぜ。」

「私はお前の母親を心から愛していた。お前の母親エレノアとお前の父親と私は大学で出会った。その当時すでに三人ともその世界に存在していた。そして、お互いが何者であるかわかるのに時間はかからなかった。エレノアの正体を知りお前の父親はエレノアと関わるのをやめた。そして、エレノアも私達から離れようとした。

しかし、私は離れようとはしなかった。エレノアは私が今までであった中で美しく温かい女性だった。私と彼女はしかし知らないうちに互いに惹かれ合っていた。

そして、私達は隠れて付き合うようになった。それに目をつけたのがお前の父親だ。

それからしばらくしてだ、私は突然、エレノアに別れを告げられた。そしてエレノアはお前の父親と結婚してしまった。しかし、彼女はいつも私に真実を打ち明けてくれていた。そう、彼女がお前の父親と結婚したのは仕事の為だ。

しかし、お前の父親はとても鋭い男だ。すぐにエレノアは二重スパイだと気付いていた、しかし、彼はすぐには殺さなかった。それは彼女が組織の中では不可欠な存在を持っていたからだ。そして、彼はエレノアを利用するだけ利用して、そして、私に彼女を消すように頼んだ。

君はなぜ断らなかったのかと思っただろう。

私とエレノアは死の瞬間まで愛し合っていた。そして、それをお前の父親はずっと知っていた。彼は私を常にライバルと考えて生きていた。だから、私にエレノアを奪われたことを許すなんて彼には出来ない。だから、その復讐のために私に殺させようとした。

彼は私にそれをさせるために私とエレノアの間に出来た娘を殺すといってきんだ。」

「ちょっとまって!その娘って・・・・。」

「そう、お前だ。Maria・・・。お前は私とエレノアの娘だ。私はエレノアをお前を両方助ける為に必死だった。エレノアも私がそれに苦悩しているのを気付いていた。そして、エレノアは私に何も言わず突然、自殺してしまった。」

「そんな・・・。」

「Maria・・・。私を殺すなら殺すといい。いや、私はこの世界に嫌気がさした。殺してほしい。結局、私達は愚かな欲望で身を滅ぼすだけだった。得られたものは何一つなかった。」

「この世界は所詮そんなものよ。ジン、私は父の後なんて継がないわ。いいえ、この世界から私は消えるわ。みんな消し去ってからね。」

「Maria。お前の父親は強いぞ。そう簡単にはころせないだろう。」

「刺し違えてだっていい。必ず消すわ。」

「そうか・・・。」


その夜、私はジンとベネディクトを始末することにした。

ジンは私の行動を予測していたためか、その最後はシンプルなものだった。

一方、ベネディクトは私の突然の訪問を喜んでいた。

彼も、ウィル同様、私の死を望んでいるのだ。

彼は床の間の二本の日本刀を取った。

そして、片方を私に渡した。


そして、鉄が焼ける音がする。

火花が散り、金属音が響く。

娘を殺し、ロバートを殺させ、私を苦しませた。

彼が私の日本刀をへし折った。

私の刀は二分の一ほどの長さになってしまった。

彼は思いっきり刀を振り回す。

私はそれを避けて彼の懐に入ってしまった。

すると、彼は私の首に刀を突きつけた。

「これでお前も終りだ。親父さんの後は俺が継ぐとするよ。悪いな。」

「それは無理よ。」

私は折れた手にしていた折れた刀を身体を翻して彼の腹に突き刺した。

「うっ・・・。ちっ畜生。」

「こんな世界、クソッ食らえだわ。」

私はそう言って刀を引き抜いて、彼の心臓に突き刺した。

私はすぐにその場を後にして、父親の元へ向った。


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