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悪魔と呼ばれた男

「どうして、おまえは俺のものにならない。ロバートのようなガキに熱をあげるんだ!この俺という男がいるというのに!!」

そう言って彼は私の髪の毛を掴み床に叩きつけた。

私は辺り一面真っ黒な箱の中のような場所にいた。

真っ暗だからなにも見えない。

聞こえるのは彼の荒い息と私の息の音だけ。

何かに縛り付けられているようだ。

感覚からして椅子。

「ウィル…。姿をみせて。」

しかし、返事として返ってきたのは、腸をえぐるような鋭い蹴りだった。

血の味がする。そして、地獄に落とされた気分。

「なんだ、もう目を覚ましたのか。」

つまらなさそうな声を発するウィル。

彼は私の髪を掴み私の顔を持ち上げる、

彼には私が見えるようだ、でも私には何も見えない。

「Maria、あえて嬉しいよ。やっと、お前を殺せる。十分楽しませてもらうよ。」

「ウィル、私だってあなたを殺しにきたのよ。お互い殺したがってる、どうかしら、ちゃんとした決闘で勝負をつけない?あなたほどの実力なら私を殺すなんて簡単なことでしょう?どうかしら。」

私は腹の痛さに息も絶え絶えだった。そんな様子を見て彼はニヤリとわらっていう。

「何を考えてる??知ってるんだぞ、お前がテリーやロバートをどんな手をつかって殺したか。俺はそんな小賢しい作戦じゃあ死なない。」

「何も考えてなんてないわ。ただ決闘でけりをつけましょうって言ってるだけよ。そのほうがあなたも私を好きなだけいたぶれるわよ。どんな風にして殺してもいいわけなんだから。」

すると、一瞬彼はとまったが、すぐに決めたらしい。投げつけるように私を放して立ち上がった。

「いいだろう。望み道理にしてやろう。」

彼は私を縛っていた紐を解き、明かりをつけた。

その光景に私は驚いた。

「まさか・・・・。」

「驚いただろう。」

そう言いながら、彼は私の元に近づいてくる。

真ん中分けの黒いストレートの髪に、顔は真っ白で不気味なマスクで隠している。左手には刃渡り30cmほどの長さの爪のような剣がある。それはしっかりと手に装着されている。

全身黒のスーツに身を包んでいる。

彼は本気なんだ。私を殺す気でいる。

私はというと丸腰だ。しかし、心配する必要はなさそうだ。

だってここは・・・。

「驚いただろう。ここはお前がいた頃の組織のオフィスだった所だ。」

「そうね。とても懐かしいわ・・・。」

そういった瞬間、私はオフィスを走って出て行った。

まずは武器の確保だ。そのためには地下室へ行かなくてはいけない。

地下の奥深く幹部しか知らない秘密の武器庫がある。

そこは社長と私以外は知らない場所だ、彼らがそれを知らなければ・・・。

まだ武器が眠っているはずだ。急いでいかなくては・・・。

「どこへ行くこの建物の中には武器なんて一つもないぞ。それに、逃げようとしても無駄だ。全てロックをかけている。それを解くコントロールルームはさっき破壊したしな。」

そういって彼はケタケタ笑っている。私が恐れをないして逃げ回っていると思っているのだ。

それは、彼にとってはとても嬉しい出来事。怯えるウサギを殺すのが何よりもすきなのだ。

私は暗く長い廊下を右へ左へ走り回った。そして、地下へ続く扉を開けた。

その後を彼はゆっくりと追いかけていた。無表情の仮面が恐ろしく不気味さをかもし出している。

「自分から隅へ逃げていくなんて可愛いウサギだ・・・。さあ、楽しませてもらうか。」



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