悪魔といわれた男
夜。
私は夜闇の中で夢中で車を走らせていた。
なんで、そんなことをしたのかはわからない。
ただ頭の中が今にも狂ってしまいそうなのに眠りにつくなんてできなかった。
ロバートの言葉
サムの願い
そして、
娘達の叫び声
この三つが私の中で私を拷問にかけていた。
私は悲鳴を挙げるかわりにアクセルを踏む。
しばらくして教会にたどりついた。
私は車を降りて、中に入った。
とぼとぼと歩き最前列に座り、聖母マリアの像をみつけた。
私は両手を組み、瞳を閉じた。
「どうしました?こんな夜更けに。」
瞳を開いた時、そのとなりには初老の神父が座り聖母マリアをみていた。
私は困ったように笑いながらうつ向いて、
「つらいことや、かなしいことがあると、無性に神に祈りたくなるんです。
いえ、別に助けてほしいと祈るじゃないんです。祈る時はなにも考えなくなって楽になるから祈るんです。」
神父はなにも反応しない。
まるで、ここには自分以外はなにもいないかのように。
私はそれを一瞬不安に感じてしまった。
そんな不安を察したかのように、神父は口を開いた。
「懺悔をなさいますか?」
「私には懺悔はできません。そんなこと許される身の上ではありませんから・・。」
「そんなことはございませんよ。懺悔は誰にでもする権利はありますよ。そして、その秘密を守られる権利もあります。辛いのなら懺悔なさってみてはどうですか。そのお気持ち少しは楽になるかもしれませんよ。」
「ですが・・・。」
私は俯いていた。
すると、神父は私の肩にそっと手を置いて、穏やかに言った。
「秘密は守ります。聖母マリアにお誓いします。あなたを救う助けをさせてください。」
私は聖母マリアの姿をしばらく見つめ、決意した。
そして、神父に向き直って硬い表情でいった。
「懺悔をさせてください。」




