現れた僕
••••••ありがとう••••••また会えるから•••
(何だ今のは••••••)
僕は変な夢をみていた。そして、記憶を失っていた。
自分の名前や顔、存在すら分からない。
(痛い••••••)
うつ伏せにたおれていて体の節々が痛く動けなかった。
(記憶喪失ってヤツかな?)とのんきにそんなことを思っていた。
辺りは暗くて何も見えなく、誰もいないようだ。
(助けを呼ぶかぁ••••••)仕方なくそう思い、声を出そうとしたが出ない。少し、いやかなり不安が増した。
心の中で、(お~い、誰かきておくれ~)と情けない声をだしてしまった。
••••••誰?
と、どこからともなく聞こえた。少年は驚いて
(そっちこそ誰?)と思わず返事をかえしてしまった。
その声は何か言いたげだったがすぐに聞こえなくなってしまった。
だいたい20分ぐらいだろうか? やっと体が動けるようになり辺りを見回してみた。
どうやらとても小さな部屋らしい。だが部屋にしては殺風景で、ドアも無い。
またしばらくしてオリが目の前にあることがわかった。
(ってここ独房じゃん!)
わけが分からない、記憶を失って独房にいるなんて••••••
(もしかして僕は、極悪非道の犯罪者だったのかな?)自分に人を傷つける勇気さえないのにありえない想像をしていた。
またしばらくすると、鏡があり自分の姿を見ることが出来た。
髪は黒で男にしては長く、後ろ髪は肩まであり、非常に中性的で女の子のようにも見えてしまう。見た目は15才ぐらいであった。
(これが自分かぁ•••なんかへんだなぁ•••)記憶を失っているためか、自分の姿に違和感を感じた。
その時、どこかのドアが荒々しく開ける音が聞こえた。
(おっ、誰か来たな!)と思いオリにしがみつきアピールした。
来たのは衛兵のような格好をした男だった。その男は、独房に入っている少年をみた途端に驚き、奇妙な声を上げていた。
(なっ、なんなんだ?)驚いていると
「ダリル王子!なぜそんな所に!」とその男は叫んだ。
(おっ、王子ぃ?)こちらも同じぐらい驚いた。
「とっ、な、何故こんなところに?」男は、尋ねた。
「えっ、ああ、その••••••」
なんて言ったらいいのか分からなかった。自分が置かれた状況が全くと言ってもいいほど分からないのに、それを説明することなど不可能であった。
「とっ、とりあえず外へ」男は鍵を取り出しオリを開けた。
ゆっくりと少年は外へ出た。自分が何者なのかもわかならいまま。