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第一章 恋護り

初投稿です。

至らぬところはあると思いますが自分なりに頑張ってみましたので、楽しんで頂ければ幸いです。



 ─俺と付き合ってください─

 女の子に愛の告白をするとき、そんなありきたりな言葉でいいのだろうか。

 たしかに、自分の伝えたい内容を簡潔にまとめるとそうなんだろうが。

 もっと自分らしい個性のある伝え方はないのか?

 告白するときに下らないこと言って、それが相手の地雷踏んで大失敗。

 なんて結果にはならなくて済むだろう。

 だが、それでいいのか?目的のために自分の個性を犠牲にするのか?

 それは男として、いや人間として許せるのか!?


 そんなことを考えながら、俺は一歩前に出る。

貴瀬和人きせかずとです。これからよろしくお願いします。」

 そう、俺は今日この如月高等学校に転校してきた。

「貴瀬は小学校4年生まではこの近くに住んでいたが、親の仕事の都合で5年間引っ越していたそうだ。もしかしたらこの中に顔見知りがいるかもな~」

 ちなみに、さっきから喋ってるのは担任の森木先生。男ではない。すげー煙草が似合いそうな女教師だ。

 なんつーか元ヤンじゃね?ってオーラを出している。

「じゃ、席はあそこな。」

 そういって指されたのは最後列から手前の席だった。

 ──不自然すぎる。

 何故他の席に生徒が座っているのにあんな中途半端なところが空いているんだ?

「先生、そこって遅刻してるだけじゃ・・・。」

 えっ?マジで?

「いいんだよ、遅刻でもサボりでもそんなの居ないのと一緒だって偉大な教師が言ってたんだから。」

 誰だよそんなとんでも発言した偉大な教師って。

「お前らに教えといてやる。其の教師曰く、『人生は椅子取りゲーム』・・・一瞬の油断で自分の立場が奪われることだってある。」

 間違ってはいないがこの場合は違うだろ!

 だがまあいい、別に俺が損するわけじゃないしな。

 俺はとりあえず指定された席についた。

 するといきなり教室のドアが開いた。

「すいません!遅刻してしまいました!」

 おそらくこの席の所有者であろう男が入ってきた。

「おう、お前は今日から席なしだ。転校生に譲ってやった。」

 しばしの沈黙、そして─

「ええぇええぇぇ!じゃあどこで授業受ければいいんすか!?」

 どうして自分の席が転校生に譲られたのかよりもまずそっちを聞くあたり、この教師はどうやらいつもこんな感じなんだろうな。

「これから事務室まで机をとりに来い。」

 そう言って森木先生は教室を出て行った。ついでに遅刻男も出て行った。

 ・・・机って事務室に置いてあるもんなのか?

「私は神奈志保かみなしほ。隣の席だしよろしくね、貴瀬君。」

 突然話しかけてきた声の主は、茶髪のポニーテールで、活発そうな女子だった。

「ああ、よろしく。」

「昔住んでたってことは私よりもこのあたりに詳しいんじゃないかな?私はここへ引っ越してきてまだ1年半だからまだちゃんと覚えてないし。」

「そうでもないよ、5年で店とかもすっかり変わってたから。」

 そんな他愛のないことを話していると

「おー、転校生がいきなりクラス(隣の席)の女の子とのコミュを発生させたー。」

 と、後ろの席の生徒がダルそうな声でアホなことを言ってきた。

 そいつは手を横にだらしなく垂らして机に突っ伏した状態で顔だけあげて、ジト目でこっちを見ていた。

「またあんたはバカなこと言って~。」

「いいだろ別に、俺は石田賢(いしだけん)。まあよろしくな。言っとくが俺の攻略ルートは無いからなー。」

 言われなくても誰が攻略するか。

「この学校はレベル高いからな。それだけ攻略ヒロインも多いと思うぞ。」

「あ、ああ・・・。」

 何なんだこいつは。

 どんだけ恋愛ゲーム感覚なんだよ。

「は~い、みんな席について~」

 気がつけば既に一限目の先生が教室に来ていた。

 遅刻男はいつの間にか戻ってきていて、前列でみかん箱を机代わりにしている。

 森木先生・・・・。いくらなんでもヒドいだろ。あれは机じゃねえ。

 その後、俺は特に問題なく1日目の学校を終えることができた。俺が帰路へ着こうとすると、校門の方から見知った人物が飛びついてきた。

「久しぶりぃ~♪」

「千晴・・・」

 薄い桃色の髪をしたセミロングのツインテールの少女は、東條千晴(とうじょうちはる)

 俺の幼馴染みだ。

 まあ俺にとっては幼馴染みというより妹みたいな感じだが。

「なんで会いに来てくれなかったの~?」

 千晴は頬を膨らませながら少し怒っているようだった。

 こいつはキャラ作りとかじゃなく素で頬を膨らませたりする、精神的に子供だ。

 ──肉体的にもそうなんだが。

「お前の教室も知らないから、仮に会いたかったとしても会えねえよ。」

「あ、そっか」

 千晴はテヘッと舌をだして言った。

 これは、見る人が見れば最高に可愛かったり、最悪にウザかったりするんだろう。

 なら俺はというと、慣れた。

 昔はイラッときたりしたが、長期間過ごしていると慣れてしまったのだ。

 しかも5年間会っていなかったのに平気なのだ。人間の適応能力ってすごいな。

「それよりさ!一緒に帰ろ!」

「悪い、ちょっと寄りたい所があるからまた今度な。」

 久々に帰ってきた町を見て回りたい、ってのが本音だ。一緒に帰るくらいならいつでもできる。

 町見物だっていつでも出来るんだが、早く慣れておきたかったしな。

「え~、残念。でも仕方ないか~。」

 こういうときに物分かりがいいのは助かる。というか頭が単純なだけだが。

「じゃあまた明日ね~!」

「おう、またな。」

 簡単なあいさつをして、俺は町の中をぶらついた。

 コンビニ、本屋、ゲームセンター。大体の町の変化を頭に入れて、俺はふと思い出した。

 そういや幼馴染みってもう一人いたな。


 夕刻だからなのか人が居なく、神社は静まりかえっていた。

「おーい沙紀ー、いるかー?」

 神社の前で呼んでみると、しばらくして一人の女の子がそーっと出てきた。

 黒髪のストレートで、少し垂れた穏やかな目に俺は見とれてしまった。

「和人君・・・?」

 驚いたように綾川沙紀(あやかわさき)が俺の前に立った。

「ひ、久しぶりだね。えっとぉあ、ぉ、おかえり・・・。」

 何故か沙紀はメチャクチャ焦っている。

 見た目はすっかり美人になってるくせに、中身は昔のままなんだな。

「帰ってくるって聞いてたけど、もう来てたんだね。元気そうでよかった。」

「まあな。沙紀も元気そうだな。」

 まさかこれほど美人になっているとは・・・。

「ごめんね。色々話したいんだけど、今は忙しくて・・・・。

時間があるときに話そう。」

「ああ、邪魔して悪かったな。」

「じ、邪魔なんかじゃないよ、ありがとう。」

 なんでお礼言われるんだ?

こいつは昔からよく分からん。

「じゃあな。」

「うん、バイバイ。」

 神社から出て、俺はまっすぐに家へと帰ろうとすると、道端に赤いものが落ちていた。

 ─御守り?

 なんか真ん中にデカデカと『恋』って縫われてるぞ。

 持ち主どんだけ恋愛したかったんだよ。

「おめでとうございます。あなたはこの『恋護りDX~人生が変わる刻~』の所有者として認められました。」

 どこからか声がした。

 は?何、今の?

「ですから、あなたは『恋護りDX~人生が変わる刻~』の所有者に認められました。」

 俺は声がするほうを振り返った。

 すると、そこには少女が無表情で立っている。

 黄緑のショートヘアにどこのものか分からない橙色の制服を着た、中学生くらいの子だ。

 ─さっきから何を言ってるんだ、この子は。

「ですから、あなたは『恋護りDX~人生が変わる刻~』の─」

「もうそれはいいってんだよ!何回繰り返す気だ!?」

 ・・・・あれ?

 俺は今初めてこの子に言葉を発した。

 ってことは、もしかしてこいつ俺の考えてることがわかる?

「はい」

 少女は平然と答えた。

 あー、面倒な感じがするぞ。なんで俺こんなもん拾ったんだ?

「面倒ではありません。男性にとっては夢のようなアイテムです。」

「嘘っぽいな・・・。で、何すればいいんだ?」

 とりあえず、少しくらい話を聞いてやるか。

「別に何かをしろとはいいません。『恋護りDX~人生が変わる刻~』は、所有者に恋愛体験を楽しんで頂けるものです。」

 なん・・だと・・・?

 やっぱり面倒事じゃねえか。

「他を当たってくれ。」

「無理です。もうあなたを所有者と認めました。」

 勝手な奴だな、おい。

「なら所有者としてこのアイテムを放棄する。」

「お断りします。」

「・・・・・」

「・・・・・」

「なんでだよ!?所有者が捨てるって言ってるのに断るっておかしいだろ!?」

「この『恋護りDX~人生が変わる刻~』は所有者の生活に大きな支障をきたさない程度の恋愛要素を取り入れます。」

「話を聞けよ!!!」

 俺の話には耳を貸さず、少女は淡々と自分の話を続ける。

「恋愛シュミレーションをご存知でしょう。それと同じような体験が可能となります。」

 くそっ、とことん無視しやがって。

 だったらこんな訴えは不毛なだけだ。

 そう思って俺は少女の話を聞くことにした。

「恋愛ゲーと同じって、具体的にどういうことだよ?」

「フラれてもやり直せます。」

 な、なんだと!?

 やり直せるってことは、1日をやり直せるのか!?

「1日だけではありません。今日からやり直すことができます。」

 そんな嘘みたいな道具があるのか。

 正直信じがたいが、もしかするかもしれない。それに、俺には大したデメリットも無いみたいだしな。

 ──おもしろい。

「やってやろうじゃねえか!」

 俺のテンションが著しく上がる。

 日をやり直せるなんて、誰もが望む力が手に入る。この際変な設定があってもお構いなしだ。

 日をやり直せるってことは宝くじの当選番号もわかるし、テストも満点間違いなしだ。

「ありがとうございます。警告しておきますが、ワタシの姿や声は、他人には見聞き出来ませんので。」

「それを先に言えよ!人がいたら俺完全に変な奴だったじゃねえか!」

「過去形ではなく、現在形です。」

「うるせえ!」


誰にでも人生の変革期はある。


「所有者が認めたことにより、正式に契約が結ばれました。ワタシは恋神『エリナ』と申します。」


それは、突然やってくるものだ。


「それでは、『恋護りDX~人生が変わる刻~』を開始致します。」



そしてこの刻、俺の人生は変革した。


いかがでしたか?

正直なところ、読んでもらえただけで光栄です。


この後書きでは知人にされたり、感想に書いていただければ質問などに答えていきたいと思っています。作中のゲスト有りで。


というわけで、知人からの質問。

『Q:和人はイケメン?』

(千晴)いやーカズは普通だよ~。

(作者)随分あっさり答えたね。

(千晴)だって本当に普通なんだもん。

(和人)おい、ちょっとは俺を誉めてくれよ。悪くはないとかさ。

(千晴)普通なのもカズのいいところだよ~♪

(和人)はあ・・・。もういいよ。

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