三章 初めての感覚
夜の海・・・月明りでキラキラしていて、サラサラと音を立てながら迫っては退く波が涼しげで心地良い。
「ちょ、ちょっと!?テルメスさん!?」
梨々香は顔を覆って恥ずかしそうに言った。
「ん?どうしたの?」
ワンピースを脱いで下着姿になったテルメスは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「そ、その・・・刺激がッ!!」
「君、ウブだね」
黒色の下着を着たテルメスは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「う・・・うぶ・・・というものではないと思うのですけれどッ・・・」
「エィ!」
梨々香を抱きしめたテルメスは海に飛び込んだ。
「ウワッ!!」
驚く梨々香はテルメスと共に海に落ちた。
海の中に外の音はなくて、水の音だけが聴こえる。
テルメスの肌は柔らかくて、とても温かい。
このまま抱きしめ続けたら、刀なんて握らなくても、虚空の主なんて追わなくても良くなるような気がした。
「パァ!」
梨々香とテルメスは海面に出て息継ぎした。
「どう?ちょっと冷たかったかな?」
テルメスは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「水は冷たかったけれど、そのおかげでテルメスの温かさを知れた気がします」
梨々香はテルメスを見て笑みながらそう言った。
「ん~?エッチ」
嬉しそうに笑んだテルメスは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「そ、そういうつもりじゃ!!」
梨々香は紅潮して動揺しながらそう言うとテルメスが笑った。
「君、やっぱりウブだ。かわいい」
テルメスは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「・・・」
梨々香は恥ずかしそうに黙った。
「良いよ?求めてくれるの、嬉しいから・・・」
テルメスは梨々香を抱きしめてそう言った。
心臓は張り裂けそうなくらい高鳴っている。
気が遠くなる・・・これが恋ってものなのか・・・
「ハッ!!」
砂浜に寝かせられた梨々香は目を覚まして起き上がった。
「起きた?抱かれて気を失うなんて面白いね」
ワンピースを着たテルメスは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「・・・恋するの、初めてなんです。今までも女性と関わってきましたし、好意を持たれたこともあったけれど、ずっとそういう気になれなかったんです」
梨々香は星空を見てそう言った。
「・・・」
テルメスは黙って梨々香の横に座った。
「私、虚空の主という存在を追っているんです」
梨々香がそう言うとテルメスが暗い顔をした。
「でも、刀を握るのが嫌いで、戦うことも苦手なんです」
「・・・」
目を見開いたテルメスはうつむいた。
「・・・海の中でテルメスを抱きしめた時、こう思ったんです。刀なんて握らなくても、虚空の主なんて追わなくても良いんじゃないかって・・・」
梨々香はそう言うとテルメスを見た。
「あ、あの・・・意味が解らない話をしてごめんなさい・・・」
眉を顰めた梨々香は涙を流すテルメスを見てそう言った。
「違う・・・違うの・・・君がそんな可哀想な人だとは思わなかったの」
テルメスは涙を拭きながらそう言った。
「ねぇ、私と一緒に遠くに行かない?」
テルメスは梨々香を見てそう言った。
「遠く・・・ですか?」
梨々香はテルメスを見てそう言った。
「普通の人は刀を握らないし、戦わないんだよ?」
「・・・」
梨々香はテルメスを見つめる。
「一緒に遠くへ行って、一緒に普通の人生を歩もう?」
「・・・はい!」
梨々香はテルメスを見て笑みながらそう言った。
「じゃあ、明日・・・この砂浜で」
テルメスは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「はい。会いましょう」
梨々香がテルメスを見て笑みながらそう言うとテルメスが梨々香の手を握った。




