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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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吠える犬

昔、学校で教わった事で「人は悪いことをして少し経つとすぐに言い訳を考える」というのがあって。そこから広げてみました。

この男はやってしまった。やってしまったのである。

実家に暮らすこの男は夏のある日、蝉が人の声を遮ってしまう程の暑さの中、隣近所の瓦屋根の家の前でやってしまったのである。

「あぁ、きっと許してはくれないだろう」

汗をダラダラと流しながらひたすら走るこの男は数刻前隣近所の家の前を男が通り掛かった時、吠えてきた犬に腹を立てて蹴り殺してしまったのである。そしてどうしたら良いのかも分からず逃げ出してしまったのである。

暫く走って自分がどこに居るかも分からなくなってしまった頃。男はしゃがみ込んで頭を抱えた。

「あぁ、どうしたら良いのか。」

「酷いことをしてしまった。」

ブツブツと呟いて必死に罪悪感を体の外に出そうと努力した。

しかし、男の心は今にも自責の念に押しつぶされそうであった。ぐるぐると犬について解決策を模索するも、何処かどうしようもない事だと気づいてしまっていて、やがて男はただ無意識に自分のことを考えた。

先程の犬が吠えたのに男の落ち度は無かった。あるとすればその後であるが、これも吠えられたと言う主観的に筋の通った理由で片付けられた。

この問題に答えを出した男はもはや犬のことなど考えもせずにトボトボと家に向かった。隣近所の瓦屋根の家の前を通り過ぎたとき、そこに犬の姿は無かった。死体を家主が持っていったのか、実は生きていて動き出したのか定かではない。

ただ、男が振り向くことは無かった。

事の差に大小はあれど自身も主人公と似たような部分があると思います。そして、これは意外とありがちなことだと思っています。

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