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9話 警戒 — 公安資料D-416号





2048年6月12日、東京・永田町。




空は曇り、湿気を帯びた朝。

歴史上、一度は“発生した”事件が再び刻まれようとしている。

それを今、阻止する為に彼らは過去に立つ。




標的は、当時34歳の国会議員・日向彰吾ひゅうが しょうご

安全保障政策の若き旗手。

防衛予算拡大・兵器自立化など、未来の軍事政策における転換点となる存在。

彼の死によって生まれた“空白”は、後の政策停滞と政情不安を生み、日本の防衛構造を十年遅らせる結果となったと揶揄されていた。



そして2048年6月12日午前9時45分。

彼の乗る公用車は、会見場に向かう途中の交差点で停車中に爆破され、混乱の中で至近距離からの狙撃。

――即死だった。

襲撃を行ったのは、東アジア反国家連盟系のテロ組織ではないかと見られているが不明。

構成員には元軍人や傭兵など複数の戦闘経験者が含まれていたとされている。



しかし、首謀者も理由も未特定。

その後、関連情報は国家機密として“封印”され、真相は不明のままだった。




公安資料 D-416号――









「こちら星野。各員、状況を報告しろ」




裏通りの監視用ポイントで、星野は低く発信する。

現場は未来記録の通りに“再現”されつつあった。




「小野田。監視網の解析は?」


「未来での映像データと比較99%一致。……記録にあった軽バンが現着。通信用のアンテナを搭載、改造の痕跡あり」


「黒木です。現場付近で不自然に動かない男二名確認。交互に周囲を警戒、右手に無線トリガーらしき動作あり。襲撃の関係者の可能性あり。距離を置いて監視続けます」


「こちら、柳。日向議員の車、予定どおり出発。北ルート経由、変更なし」




星野は短く指示を出す。




「五十嵐、海野。該当車両へ急行、先制制圧。現場に一般人が増える前に動け。山野は狙撃支援に入れ」


「「了解」」と即応が返る。







未来の記録ではこの直後、襲撃グループによる第一爆破が発生し、その流れで銃による襲撃が行われる。



だが――



「こちら、五十嵐。車両に近接、乗員三名。うち二名が武装確認。M4カービン所持。海野、いける?」


「任せろ!」




同時に五十嵐が閃光弾を投げ込み、すぐに海野が突入した。

小さな爆発と同時に、短い銃撃音。

山野の遠距離カバーが交差し、全員が瞬時に無力化された。




「敵三名、制圧。死者なし。重武装、無線通信装置あり。情報収集中」


「よくやった。死者は、ここでは“発生しなかった”。小野田、襲撃者は現れたか?」


「こちら小野田。未来の映像記録とのタイムラインに変化発生。現時点で他の爆破音、また襲撃者などは確認されず。日向議員、会見場前へ平常どおり進行中」




星野は静かに息を吐いた。




「……任務第一段階、完了だ。各班、第二段階に移行。証拠隠滅と記録偽装を急げ。敵の残党がいないか、周辺警戒も継続」


「了解!」







午前9時47分。

公用車が会見場に静かに到着する。

群衆は押し寄せ、記者たちはフラッシュをたく。




――爆発はない。襲撃もない。




「……それでは、本日の安全保障政策に関する発表を始めます」




日向の声が、クリアにマイクへ乗った。

その瞬間、未来の“死”は上書きされた。










帰還後、拠点。

会議室で小野田が報告する。




「周囲を警戒していた不審な2人は逃走。今回制圧した三名、とりあえず指紋、血液、写真を五十嵐さんに取ってきてもらいましたが、全員が記録にはありません。指紋とDNA、写真照合、他犯罪歴、諸々照合しましたが情報ありません。………不自然な程に。」


「……どちらにせよ、背後に大規模な支援組織がいると見て間違いない」




星野は腕を組み、ホログラムの上に浮かぶ事件リストを見つめた。




「とりあえず一つ、過去が変わった。だが全てじゃない。また、次が来る」




ホログラムに映る新たな予定事件――

“2048年7月3日 新宿駅南口 爆破テロ”





彼らの戦いは、まだ序章に過ぎなかった。









ここまで見てくれたそこのあなた!!さいこーです!

神城クロノと申しますm(_ _)m

今回は、OSMANTHUS — 未来を変える戦い —の9話を読んでくださってありがとうございます!

これから、週2〜3本ペースを目指して執筆していきます

当分の間はストックが溜まってるのでポンポン行きます!

読んで、面白いなーと感じたらぜひ☆の評価ください!

ブックマークも意欲が上がるし嬉しいです\(^o^)/

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