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マデリエネ

 首都の貴族街の中心部に、ひときわ大きな屋敷がある。カルネウス侯爵邸だ。


 マデリエネは、自分の寝室で、手鏡を見ながらため息をついた。

 陶器のような滑らかな肌に、薔薇色の頬、星のようにきらきら輝く黄金の髪をした可愛らしい美少女がそこに映っている。


 ——殿下はどうしてわたくしをお気に召さなかったのかしら……。


 お気に召すべきなのに。マデリエネはそう思った。

 ミュルバリ大公アルヴィッドとマデリエネは小さい頃から何度も顔合わせしてきた。将来は夫婦になるものだと彼女自身は思っていた。だけれども土壇場になって大公はフェーリーン公爵令嬢を選んだ。

 フェーリーン公爵も古くから続く名門、王妃や王子妃を輩出する家だとわかってはいるけれど。


「フェーリーン公爵令嬢とはいえ、お相手はわたくしや殿下の七つも年上だとおうかがいするわ……」


 かたん、と手鏡をテーブルの上に置いた。

 おかしい。何かがおかしい。アルヴィッドの妃はマデリエネだと言われていたはず。

 ああ、そうだ、と思いつく。


「フェーリーン公爵に強要されておいでなのだわ。アルヴィッド様かわいそう……」


 可憐な顔に、ひとすじ涙がこぼれた。そのあと、少女は顔を上げた。


「アルヴィッド様……、このマデリエネのほうが相応ふさわしいのに」


 この令嬢はカルネウス侯爵令嬢マデリエネ。名門であるカルネウス家の令嬢で、国王兄弟のいとこにあたる。王弟アルヴィッドと同い年だった。

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