表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺のゴミスキル、<水ひっかけ>は実は最強  作者: ガギグゲガガギ25
二章 水ひっかけスキルの真の力
9/24

9話 お金が必要だけども

 俺とリンは、人質にされたであろう父さん救出のために資金を集める事にした。

 強力な武器や仲間を手に入れないと目標達成が厳しいからだ。

 だから仕事を得るため冒険者ギルドにやって来たのだけども……


「冒険者制度がないならなんで冒険者ギルドがあんの??!」


 何と受付のお姉さんが、冒険者制度なくなったとか言い出したので、俺は驚愕して詰め寄っていた。


「"君が言う"冒険者制度が無くなったって言ったの」

「俺が言うものじゃなくなった?」

「君が思っている通り、昔は冒険者になるには戸籍も面接もいらないからせいぜい一日で登録が済んだんだけど……」

「だけど……?」

「まともな仕事に就けない犯罪者が潜伏の資金を稼ぐために冒険者になったり、制度を悪用される事態が多発したの。だから最近は面接と戸籍情報が必要になったの。前科がないかとかも調べるわ」


 なるほど、仕組みが最近変わったのか。

 俺の思っているほどゆるい感じじゃなくなったと……でも面接と戸籍さえあればオッケーなのか?

 俺の戸籍はあるのか知らないが、たぶんあの両親なら滞りなく届出を出してくれているだろう。

 となれば面接頑張ればいいのか?


「面接受ければ冒険者として金を稼げるのか?」

「いいえ、数週間ベテランのもとで研修を受けてもらう義務があります。無駄に死ぬ人を減らすべしという上のお達しがあるのでそうなったわ」


 え?

 研修を受けないといけない……だって?!


「そんな悠長な事してられない。何か融通きかせられる制度はないか?俺が冒険者になれるかどうかに人の命がかかってるんだ」

「その人の命は諦めてください、ところで葬式のサポートもうちはやってますがどうですか?」

「ガッ……!」


 受付は見捨てろと言いながら申し訳無さそうに頭を下げた。


 ーーー


「ダメだったね」

「そうだな」


 俺とリンは意気消沈して街の隅っこで、ぼんやり道行く人を眺めていた。


 早速出鼻をくじかれた、クソ、異世界のわりにセキュリティがしっかりしている。

 クソ異世界のくせにクソが。

 もっとゆるくあれよ、偽名使ってる異世界人とかホイホイ冒険者に登録してくれるくらいの倫理観であれよ。

 荒くれものが新入りをすぐ殺そうとしてくるくらい雑な世界なら、俺達は冒険者ギルドに入れたのに!



 ……と、無茶苦茶な怒りを一旦抑える。

 一応別の方法もあるから平静は保てた、そっちを使おう。



 そして


「「恵まれないぼくらに寄付をお願いしまーす!!」」

 俺とリンは往来で叫ぶ、たまにこちらを見る通行人がいる。


「俺の両親は人質にされており、救出のための装備準備金が必要でーす!!」


 うむ、なかなか注目を浴びているな。

 これなら……

 結果として、日が暮れるまでお金は一円も集まらなかった。

 誰も一円持ってこなかったが五百ゴールドは集まったみたいな屁理屈でもない。

 シンプルに金は集まらなかった。収入0。


 人目は集めたのに。


「なぜ金が集まらない?」

 俺の口をついて文句が出た。

「詐欺みたいだからかな」

 リンがたぶん、大した思慮もなく当然のように口にする。

「……え?あぁ――」


 わりとその考えはあっている気がした。

 俺等の言葉が本当だという証拠は無いのだ、詐欺と思われても仕方がない。


 前世でも寄付を募って私腹を肥やす連中のニュースはよく聞いた。

 そういう連中がいると、本当に寄付が必要なトコロがお金を求めても信じてもらえなくなるから最悪。

 そういうのだと疑われてるのか。



 しかし困った。

 コツコツと仕事をして稼ぐ場合、父さんが殺される可能性が跳ね上がる。


 あんま長い間人質を拘束し続けるってこともないだろうし……

 というか本当に父さん、そもそも人質になっているんだろうか?

 実際にそうなってる姿を見たわけじゃないし、単にその可能性が高いだけ。

 もしかしてとっくに殺されてたりして……いや、考えるな。今考えても仕方がない。


 金稼ぐ解決策を考えろ。

 ……クソ、ぱっと捨てられるゴミ案しか頭に出てこない。

 しかもどれもこれも外道しかやらない、唯一の味方であるリンが離反することになるやつばっかりだ。

 強盗とか詐欺とか……リスクとリターンが釣り合わないうえ倫理的な問題がある案ばっか思いつく。

 なんで俺の脳はこんなゴミ案ばっか出す?


「どうしよ?」


 リンにも聞いてみることにした。


「スパイクが考えなよ」

「お前なんかアイデアくらいないのか」

「スパイクが何してほしいのがわかんないのに?」

「……そういえばそうだな」


 指摘されて気づいたが、何をしようとしてるのかあんまりちゃんとリンに対して説明してなかった気がする。

 この機会にしたほうがいいな。


「武器。仲間。情報。この3つを用意できれば、父さん救出しやすくなるだろ?だから金を集めようとしたんだ、結果は焼け野原だけど」

「だけど、お金がないならないなりのやり方を考えないと」

「金を稼ぐのに固執せず、無くてもどうにかするやり方か……」


 たしかにリンの言う、金無しでどうにかする方向性で行ってもいいか?

 でも武器。仲間。情報。

 金無しにそれらを手に入れるやり方か……あるのか?


 一つずつ考えよう。

 情報は……保留。

 今のとこ手が出せない。


 武器はどうだろう

 金がなくて買えないなら、作るというのはどうだろう。

 石斧くらいは作れるかもしれない。

 無いよりはマシくらいでもやっぱり欲しい。


 ……仲間はどうだろうか? 

 金無しに仲間になってくれそうなやつなんているか?

 と、考えたら意外と居た。


 例えば母さん。

 村を逃げてから会えていないが、父さんを助けるためなら間違いなく戦力になってくれるはずだ。

 能力も申し分ない。

 母さんのことは仲間としてカウントしていい。


 だけど今どうなってるかわからない人間に、あまり期待しちゃいけない。

 もしかしたら父さんと一緒に捕まってる可能性もあるわけだしな、アテにするのはダメだ。


 そうだ、父さんも仲間としてカウントしてみよう。

 父さんなら、救出作戦を手伝ってくれるはず。

 能力を無効にされたらしいけど、使えるようにまたできたら間違いなく強い。


 父さんと母さんを仲間としてカウントすると……4人か。

 俺とリンだけでどうにかしようと考えていたけど、冷静になってみれば戦力は4人いる。


 でもそのうち2人は状況がおぼつかないんだよな。


 やっぱり仲間が欲しい、協力してくれると確信が持てるやつ。

 出来たらサポート系のスキルを持っていて、潜入に役に立ちそうなの。

 それに金持ってないから給料なしで働いてくれると助かる。

 ……さすがに居ないんじゃないのかそんな都合のいいヤツ。


「……そうだ。一人いる。リン、仲間になってくれそうなやつ思いついたぞ」

「誰?」

「それは……」


 俺には心当たりがある、仲間になってくれるかもしれないヤツを一人だけ知っている。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ