1話 ゴミスキルとともに俺は転生するらしい
「私は神だ、そしてお前は死んだからこれから転生する、だが死ぬ前の善行を評して褒美をやる。」
子どもを庇ってトラックから轢かれた俺の目の前に、どこからともなくオッサンが現れた。
「死んでないぞ、普通にまだ生きてる」
「生きてねーよ、お前下半身と上半身が別れてて内臓グチャグチャになってんだから死ぬのは確実」
「……死ぬのが確実ってそれまだ生きてるじゃん」
「いいや、死んだ。お前死んだ。どうせ無理、すぐ死ぬ、神だからわかるし」
死んでないっつってんのになんだよこいつ、腹立って来た。
痛いのか痛く無いのかよくわからんぼんやりしたなかで、必死に生きるため命を保ってんだこっちは。
ゴチャゴチャ言いやがってうっせーな、こっち死にかけだぞ。
「死んでねーーーーーっっつってんだろうが!!!!!」
俺は叫ぶ。
すると全身を痛みが駆け抜けた。
大声を出したのがトドメとなり、俺は死んだ。
「お前神に対して無礼な態度ばかりで腹立つ」
暗闇の中でさっきから話しかけてくるオッサンだけが鮮明に映る。
ってかさっきからこいつ神って言ってるな。
でも……
「テメ―が神なのかなんてホントにそうなのかわかんねーし!テメ―が一生懸命生きようとしてる相手に死ぬ死ぬ煽ってばっかだから無礼取られんだろ!」
「それもそうだな、じゃあ一応転生特典やるわ」
転生特典?その言葉はとても魅力的だ。
「それってネット小説みたいなヤツ?」
「うん、すごいのあげるぞ。しかも来世では記憶も引き継ぎだ!」
すごいチートか。
んなら、場合によっては許してやらんこともない。
だが、どんなのだろう。
「……どんなの?」
「水を引っ掛けるだけの凄い雑魚スキルだ!ざまぁみやがれ!しかも記憶を来世で引き継ぐから神に無礼な態度をとったせいでそうなったとお前は後悔し続ける!さぁ転生しろ!」
「ちくしょう!」
なんだこいつ性格悪いぞ?!
本当に神なのか?!
ああ!俺の視界が明るくなっていく、ちくしょう!なんか変なスキル持って転生してしまうのか俺はッ!?!
そして気がつくと、俺はどこかにいた。
どこかの部屋の中である。
とりあえず探索しようと歩いて転んだ。
全身に違和感がある。
腕も脚も思った通りの動きをしない、やけに短いからだ。
……俺は5歳くらいであろう人間の子供になっていた。
そう、俺は転生してしまった。
ゴミスキルと共に。