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3.夏帆の休職

 夏帆は、勤務先の福井北カントリークラブの植木に激突した交通事故を起こしました。大樹は、その日の夜に眠れずに、ふっと夏帆の精神状態が悪いと思い、実家の敦賀に連れ戻します。

 大樹は、診療内科を予約して連れて行くのですが、福井北カントリークラブとの話合いで有利になるように夏帆の状況を把握し、労基署に相談して助言をもらった後に、心療内科に連れて行き、福井北カントリークラブや福井北グループ本社と話し合いに行きます。本章は、そのときの状況を纏めました。

(1)事前準備

 大樹とひろみは、夏帆をとりあえず自宅に戻したことで安堵したとともに、大樹は、夏帆の職場である福井カントリークラブとの話し合いをするため、状況を整理することとした。

 夏帆が自宅に帰宅した次の日は、日曜日だったので、夏帆には「貴方を助けるために、あらゆる手段を講じたい。そのため、職場での状況を整理したい」と話し、まずは、大樹が夏帆に聞取りをしながら、時系列を整理することにした。整理した資料は、次の通り。


2018年4月     福井北グループ入社 直営のパチンコ店に配属

2018年6月下旬   福井北カントリーに出向

2018年11月    福井北グループから福井北カントリークラブへ転籍

2018年12月    直属の上司から寮の部屋でセクハラ

2019年4月    直属の上司が退寮

2021年7月    フロント担当が1人になり、負担が重くなり、具合が悪くなる。

2021年7月~8月  人員が不足していることをマネージャーに話していた。

2021年8月    支配人が不在で残業が増加、直属の上司のフォローなし

2021年9月    相談に乗ってくれているマネージャー退職

2021年12月15日  敷地内の植木に衝突して車が大破


 大樹は、福井北グループに行く前に、労災の基準及び会社との交渉の進め方を有利にするため事前に労基署に相談することにした。大樹は、夏帆を診療内科に連れて行く12月21日で、大樹は、有給休暇を取得しており、1日使える。病院の予約は11時30分で、病院までの道のりは30分あれば十分だったので、12月21日は、次のような計画を建てた。


 9:00~10:30 敦賀労基署

 11:30~12:30 嶺南こころの病院

 13:00以降 夏帆の職場に電話してアポイントを取った後、話し合いに行く。


 当日の移動は、かなりハードで、自宅~敦賀労基署(20分)、自宅~嶺南こころの病院(1時間)、自宅から福井北カントリークラブ(高速利用で1時間30分)である。また、労基署に事前に相談するため、資料には次の項目を追加した。

①直属の上司が帰宅し、残業することがあった。

②福井北グループの入社前の就業マニュアルはあったが、就業規則、賃金規定はもらっていない。賃金や就業規則の話もなく、転籍時の労働契約もなく、それらの話もない。

③タイムカードは携帯電話に写真で保存しているが、給料明細は寮にある。

④本日に嶺南こころの病院に行き、診察を受ける予定


(2)労基署への相談

 12月21日の8時50分頃、大樹と夏帆は、敦賀駅の近くにある敦賀労基署へ向かった。敦賀労基署へは自宅から約5kmで車で約20分のところにあり、9時過ぎに到着した。敦賀労基署は、ハローワークや税務署も併設したビルの中にあるが、人はまばらであり、受付に着いても特に待っている人はいなかったので、すぐに個人スペースに通された。しばらくすると、相談員である山本が大樹と夏帆の前に座った。

 始めに大樹が、「娘の夏帆の方のことで相談に来ましたので、よろしくお願いします」と話し、時系列を記載した資料を渡した。その後、夏帆から時系列に従い内容を説明した。

 すると、山本から残業超過やセクハラ等に関するパンフレットと労災の申請用紙を渡されて記載方法の説明を受けた。また、休職等に関すること、賃金に関することは、就業規則に記載しているとの説明を受けた。夏帆から「就業規則は見たことがない」と山本に話すと、山本から「就業規則は事業所にあるので、行ったときに確認してください。ない場合は、違反です」、大樹から「娘は転籍しているのですが、その場合は、就業規則や賃金等の説明を受けるはずであるが、その説明を受けていない。それはいいのですか」と聞くと、山本は「していない場合は違反です」と回答があった。

 大樹から「娘を診療内科に連れて行った後、職場に連れて行きたいと思います。その時に、今日の相談結果を念頭に、まずは、就業規則を確認したいと思います」といい、夏帆と大樹は「本日は相談にのっていただき誠にありがとうございました」と山本に挨拶し、山本から「何かありましたら、何時でも来てください」と言われて、大樹と夏帆は、「よろしくお願いします」と挨拶して労基署を後にした。

 大樹は、「どうだった。行ってよかったか」と聞いた。夏帆から「よかったし、少し落ち着けた」と言ったので、大樹は「お前、一人で悩んでいたかもしれないが、このような公的機関へ行くと話を聞いてくれるし、アドバイスをくれるでしょうし、味方になってくれるでしょう」と言うと、夏帆がうなずいたので、次に、大樹は「職場等でいろいろと悩んだ場合は、このような機関を活用してほしい」と言い、一旦、自宅に帰宅した。


(3)こころの病院

 10時前に家に着いた。大樹は、「こころの病院へは大樹と夏帆で行くのみでも構わないと思ったが、今後の通院や夏帆の対応は続くし、大樹も常に有給を取れるわけではないので、対応できるようになってほしい」とひろみに言い、ひろみは、納得し、こころの病院には3人で行くことになった。

 こころの病院へは自宅から約40分の若狭町にあるので、10時50分頃に自宅を出て、 11時10分頃に着いた。待合室には他に待っている方もなく受付後、夏帆は診療室に入った。

 大樹とひろみは、約30分、待合室に待っていたところ、夏帆が呼びにきたので、診療室へ向かった。診断室には医師の小谷が待っており、その前の椅子に二人で座ると、小谷から「診断結果は、鬱病であり、 福井で一人暮らし勤務を続けるのは望ましくない」とのことだったので、大樹から「今日、娘の職場に行って話会いたいので、診断書を発行してもらえますか」と聞くと、小谷から「少し待ってもらえたら発行できますよ」と言われたので、大樹から「お願いします」と言い、診療室から出た。

 大樹、ひろみ、夏帆は約20分位待って、診断書を受け取って、帰宅した。途中で昼食を取ろうとしたが、道中は田舎で特に食べるところがないので、途中のコンビニで弁当を購入して13時過ぎに家に到着した。


(4)福井北カントリークラブへ出発

 到着後すぐに、大樹は、夏帆に、「電話をかけて、都合のいい時間を聞いてほしい」と言った。夏帆から福井北カントリークラブに電話したら、対応した従業員から「どうしたの!!何も連絡がなかったので、心配してたのよ」と怒鳴られたが、夏帆から「マネージャーや直属の上司には連絡してたけど、何も言われなかったのですか」と聞くと、従業員は「何も聞いてなかったし、無事で良かったよ、マネージャーに変わるね」と言われ、マネージャーに変わり、「本日の16時から空いている」と言われたので、夏帆は「その時間に両親と伺います」と答えて電話を終えた。

 大樹は、思わず「お前の職場、風通しが悪いみたいなので大丈夫か」と言い、唖然とした。

 その後、大樹、ひろみ、なつほの3人は、コンビニで購入した弁当を食べて、14時頃に出発した。

 福井北カントリークラブは、金津ICの近くにある。金津ICは、福井の最北端のICで、自宅から約1時間30分位かかる。また、途中の南条SAで手土産を購入するために早めに自宅を出発した。途中、大樹は、夏帆とひろみには「今日は、夏帆を休職させるので、手土産を渡してお願いするように話をし、極力、喧嘩をしないように話を纏める」と言い、ひろみと夏帆は、了承した。また、大樹は、ひろみに「会議が始まったらスマホで、音声データを携帯で録音して」とお願いし、ひろみは、「やり方がわからん」と言ったので、大樹は「夏帆にやり方、聞いて」と言い、ひろみは、夏帆にスマホの音声データ機能の操作方法を習い、大樹に「これでやり方わかったので、大丈夫よ」と言い、大樹は「これで万全やね!!」と答えた。

 15時40分頃、金津ICに到着し、夏帆に道案内させながら、福井北カントリークラブの入口に到着し、敷地内に入った。しばらく走るとクラブハウスが見え始め、夏帆がぶつかった植木の木を確認した。大樹は、普通はぶつからないようなところだと感じ、休職させる判断は正しいと再確認した。

 クラブハウスに到着後、車を降りて、受付の女性に会議室へ案内された。


(5)福井カントリークラブでのやり取り

 大樹とひろみ及び夏帆は、会議室待っていると支配人の小林と親会社である福井北グループから応援にきている鈴木部長が入って来た。しかし、夏帆にセクハラした上司の西川は現れなかった。

 まずは、ありきたりの挨拶を行った後、大樹から手土産を渡して、「娘が迷惑をお掛けしまた。また、事故後の対応、ありがとうございました」とお礼を言った。次に診断書を出して「誠に申し訳ございませんが、鬱病と診断結果が出たので休職をさせていただきたい」とのお願いをしたら、すぐに鈴木が電話で部下に手続きを指示して、大樹とひろみ及び夏帆に「本日付けで休職になりますので、詳細は本社で聞いてください」と言ったので、大樹は「少し遅くなりますが、帰りに本社へ行って聞くことは可能ですか」と聞くと、鈴木は再度、電話した後、大樹に「大丈夫です」と答えた。

 大樹は、これで休職が決まったので、目的は達したと安堵した。続けて「事故した車は、どこにありますか」との問いに、鈴木が「福井北自動車にある車置き場にあります」、次に大樹が「福井北自動車は、どこにあるのですか。事故車は修理できるのか」との質問に対し、鈴木が「福井北自動車は、福井北グループの本社に隣接し、夏帆が住んでいる寮の近くにありますよ、車はエアーバックが出ているし、左側が大破しているので廃車でしょう」との答えた。更に大樹が「車両保険に入ってたので保険金がでるでしょう」との質問に、鈴木が「自損事故ではでない」との回答に、大樹は「そんなはずはない!!、福井北グループの保険代理店には大樹が乗っていた時の保険証書をFAXで送信して、これと同じにしてくれと頼んでいたので出るはずだ」との回答をした。その後、大樹から「保険が出る出ないの話は証券がないのでここで議論はできないので、後程確認します」と言い、この話は終わった。

 大樹は、このやり取りから夏帆の勤務先である福井北カントリークラブと福井北グループに違和感が感じたので、少し踏み込んでみることにした。そこで、午前中に労基署の助言で就業規則は事業所にあり、従業員が確認できるようになっているはずとのことから、まずは、「就業規則を確認できませんか」と小林と鈴木にお願いした。すると鈴木は、「持ってきます」といい席を外した。その間、たわいな世間話をしながら15分位待った。

 すると鈴木が帰ってきて「就業規則はここにはなく、福井北グループの本社にあるので、帰りにでも確認してほしい」との回答に対し、大樹は方針変更して少し詰めることにした。

 大樹は「就業規則がないのは違反ではないか、この際だから言うけど、貴社はいろいろな問題があるみたいですね、夏帆は、人手不足で毎日、残業して負担に感じていたみたいですが、何か対策をしなかったのですか」と聞いた。支配人は「人手不足は派遣で対処しました」との回答があった。大樹は事前に夏帆から派遣は1日毎に変わると聞いていたので、「それは継続雇用なのか」とカマをかけた。それに対し「1日交代です」と言ったので、「逆に負担が増して残業が増えるのではないか、なぜ継続雇用にしなかったのか。派遣は3年までできるのではないか」との答えに対し「知らなかった」との回答だった。

 大樹は「知らなかったではなく、マネージャーや管理職なら、それらの内容を調査や勉強して適切に対応すべきではなかったのか、本来の管理職の仕事ではないのか」と言ったら、小林も鈴木も「申し訳ございません」と平謝りをした。

 更に、大樹は「このような問題は、福井北グループの社長に情報共有したのか」と聞いたら、小林も鈴木も「共有はしていたが、日替わり派遣がくることだけだった」と回答があった。大樹は「そのようなときに管理職は、労務に対する勉強等を行い、先程にお話しした派遣の継続雇用等を進言して、職場を適正化するのが仕事でしょう。私も監督職していたが、このようなことはやったよ」と伝えた。

 その他、「セクハラ上司となぜ一緒に働かしたのか、貴社はセクハラに関して軽く考えているのではないか」との答えに対し、明確な答えはなかった。時間は、17時を過ぎ、大樹はこれ以上、話をしても無駄なので、「就業規則と自動車保険の契約の確認をしに本社へ行きたいので、連絡してほしいことと、申し訳ございませんが、夏帆は休職させてもらいますので、よろしくお願いします」と言い、福井北カントリークラブを後にした。


(5)自動車保険契約に関する裏取り

 福井北グループの本社は、福井北カントリークラブから約40分位の道のりである。途中の道の駅さかいで休憩を取り、大樹は、タバコを吸い缶コーヒーを飲みながら考えて、自らの自動車保険の代理店に電話かかけて裏取りすることにした。自らの自動車保険は、大樹が勤務している会社の団体で契約しており、茨城県大洗町に事務所を構える小さな事務所で、社長の大杉と事務員の2人で営んでいる。大樹と大杉は、30年来の仲なので、車両保険に限定付きのものがあるのか、その他、車を変更するときに重要事項説明が必要なのかを聞いてみることにした。

 大樹は、大杉に電話をした。大樹から「お世話になっております。野坂です。大杉さん、今、大丈夫!」すると大杉から「今、大丈夫だけど!!、どうしたの?」と流暢な茨城弁で答える。大樹から「俺のことやないけど、娘の自動車保険のことで困っているので相談に乗ってくれる?」と言うと、大杉は「いいですよ、どうしたの?」、大樹から「娘が自損事故を起こして車が大破したのよ、それで、車の車両保険でどうにかしようとしたのよ、そこで、娘の自動車保険の契約先である娘のグループ会社だったのですが、聞いた話によると、車両保険が限定付きで自損事故ではでないと言われたのよ、私は、車両保険の限定付きというのは知らなかったので、そのようなことがあるの」と聞くと、大杉から「限定付きの車両保険は実際にあるのよ、保険証券に記載しているので、確認してみたら」と言われた。大樹は「娘と娘の会社のグループの保険代理店で契約しているので、まだ、把握していないので、今からそこに乗り込むので確認してみるよ。それと、事故を起こした車ですが、先月に保険切り替えしたムーブで、切り替え時に前の証券をFAXで送ったのに、限定付きに変えられているとは思わなかった。そこで、車を切り替えるときは、保証内容が変わるから、重要事項説明は必要だよね?」と聞くと、大杉は「必要だよ、私と野坂さんも何回かやり取りしたよね!」と言われ、大樹は「重要事項説明を適切にしていないのは違反になるよね?」、大杉は「違反になると思うよ」と言われた。大樹は「時間を取ってくれてありがとう。今から話をしてくるわ」と話し、大杉は「検討を祈るよ!?、また、何かあったら遠慮なく聞いてね」と言われ、大樹は「ありがとうございます」と答え電話を切った。

 大樹とひろみ及び夏帆は、道の駅さかえをあとにして、福井北グループの本社へ向かった。


(6)福井北グループ本社

 3人は、福井市の本社の方へ向っていた。大樹は、夏帆の休職の手続きが終わったので、本社に行く必要はないと判断し、夏帆に「寮に戻って必要な荷物と自動車保険の証書を探して持って帰ってほしい。本社での話が終わったら連絡するのでよろしく」といい、寮の前で夏帆を降ろし、大樹とひろみは、本社へ向かった。

 本社の駐車場に車を置いて、大樹とひろみが中に入ると、福井北グループの総務兼人事の課長である春日が迎えてくれた。2階の会議室に入り着席する。まずは、大樹から「娘がご迷惑をおかけして申し訳ございません。それと事故の対応、ありがとうございます」というと、春日は「こちらこそ、ご足労していただき、誠にありがとうございます。また、お力になれなくて申し訳ございません。就業規則はこの通りです」と渡してくれた。大樹は「確認させていただきます。それと、帰りに事故を起こした車を確認してもよろしいですか」と聞くと、春日は「車は確認することができます」と言ったので、大樹は「よろしくお願いします」と答え、福井北カントリークラブの就業規則を確認した。大樹は、夏帆が3ヶ月後に退職することを念頭に退職金の項目を確認したが、内容がなかったので、退職金がでないことを確認した。

 そこで、大樹は、「夏帆は、福井北カントリーの前に福井北グループに在籍したので、そちらの就業規則を確認できますか?」と言うと、春日は「いいですよ」と答えて、大樹に渡した。

 大樹は、福井北グループの就業規則を確認したら退職金の規定の記載があった。この点、転籍を行うときに会社側は就業上の不利益を労働者に説明しなければならないと考えて、わざと「福井北グループと福井北カントリーではどのような違いがありますか」と質問すると、春日は「給与及び退職金や休暇等がかわります」と答えた。大樹は「娘の転籍前にそれらの説明をして同意を得ましたか?」と聞くと、春日は「同意は得られましたが、これらの内容は説明していません」と回答したので、大樹は「それは、おかしいのではありませんか、就業規則を事業所に管理していないことを含めて労基法上、違反ではありませんか」というと、春日は「すいません!?」と平謝りであった。

 次に、春日から「話は変わりますが、夏帆さんのことですが、本日から休職で手続きをいたします。もちろん、休職の間は、給与がでないのですが、健康保険組合から給与の60%の傷病手当金がでます。後程、弊社から申請用紙をお送りしますので、記載の上、弊社に申請してください」、大樹は「了解しました。ところで、夏帆が借りている代車ですが、本日、お返しします。寮に関してはどうしますか」と聞くと、春日は「寮は、まだ退職していないので、退寮しなくても大丈夫ですよ」と言い、大樹は「よろしくお願いします」と答えた。

 その他、大樹は「娘の車両保険の話を福井北カントリーで聞きました。今、ここで交渉しても無駄ですが、1つだけお聞きしたいことがあります。この会社の自動車保険の団体扱いで車両保険は限定にするようにしていますか」と聞くと、春日は「そんなことはありません。個人で選べますよ」と言った。大樹は「別の日に自動車保険の話をしたいと思いますので、担当者にお話ししておいてください」と言い、更に大樹は、「車を見たいのですが、よろしいですか」と言うと、春日は「了解しました。すぐに担当者を連れてきます」と言い退席した。

 その後、春日とともに福井北自動車の初老の整備士の古賀がはいって来た。春日、古賀、大樹、ひろみは、福井北自動車の自動車置き場に案内された。周囲は暗くなっていたが、春日が懐中電灯で自動車を照らしていた。自動車は、車の右側が大破してエアーバックが出ていた。大樹は古賀に「この状況だったら廃車ですか」と聞くと、古賀は「修理はできないから廃車でお願いします。また、余った自動車税や自賠責保険の返金はありません」と言った。大樹は、前に車の入替えで、敦の会社の福井支店で返金されると説明を受けて返金されたので、返金されることを知っていたが、今後、福井北自動車とは紛争になり悪さを露呈するのに有利だと判断し、携帯のボイスレコーダをONにして、古賀に「自動車税や自賠責保険は帰らないのですね」と聞くと、古賀は「はい、その通りです」と答えた。その後、大樹は「廃車手続きをお願いします。それと娘が借りている代車はお返ししますので、どこにおけばいいですか」と聞いたら、古賀は「本社前においてくれ」と言われて、大樹は、「了解しました。車の写真を撮らしてください」と言って、車の写真を撮った後、夏帆に電話して「終わった?」と聞いたたら、夏帆は「終わった」と言ったので、「代車を本社に持ってきて」といい電話を切った。

 夏帆は、本社に代車を持ってきた後、春日と古賀に「ご迷惑をお掛けして、申し訳ございませんでした」と頭を下げた。古賀は代車の鍵を受け取り本社の中に入り、春日は「ゆっくりと静養してね」と声をかけてきた。大樹、ひろみ、夏帆は、車に乗り福井北グループをあとにした。

 大樹は、夏帆に「よく無事でおれたな」と言った。また、夏帆に「お前の会社とは戦いになるので、よろしくな」と言い、夏帆は「わかった」と答えた。

 その後、3人は、福井市内で夕食を食べた後、敦賀に帰宅した。

 大樹は、12月21日に労基署、こころの病院、福井北カントリークラブ、福井北グループ本社に話し合いに行きました。今、思えば、夏帆は、うつ病の診断を受けているため、いろいろな問題があり1人で悩んでいたとともに、対応不能となったと思われる。福井北カントリークラブや福井北グループの職場環境の悪さや管理職の力量が低いことが確認できて休職させて良かった感じていると同時に、後述するが、父親の大機が動かなかったら大きな後悔をしていたと思える。

 また、前章から少しずついりいろな人物が登場する。自らが勤務する産業医の松原や保険代理店の大杉、労基署の山本などである。勿論、大樹一人では対応が厳しいので、相談したのですが、それが、大樹を冷静にして内容を参考に、夏帆の勤務先に対応している。読者の方で、一人で悩んでいる方、家族の状況がおかしいと感じている方は、寄り添いながら、関係箇所に相談をしてほしい。

 相談する方法は、本章でもこの後にも記載するが、時系列を整理して事実関係を把握してどのようにしたいかを纏めることで、話が進められると思いますので、一刻も早く動いてほしい。

 ここで、体調が優れなくて、困っている読者がいましたら、聞いてほしい。本文中に「傷病手当金」というキーワードがありました。この制度は、就業上の怪我や疾病以外で休職等で賃金が発生しない場合、約60%を受けられる制度ですので、会社の人事や健康保険組合に問い合わせてくださいね。

 また、自動車保険の車両保険には全保証と限定があるので、自分が入っている自動車保険を確認して、場合によっては変更するなどの対処をしてね。

 それ以降、野坂家は、夏帆の労基面の問題や自動車保険に関する2つの対応を行うことになり、次章で記載していきます。

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