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21.それぞれの結果と是正処置

 7月1日に夏帆の多重債務を返済して一段落した。一方、大樹は、対応の疲れから次の日は寝込んでしまう。しかし、これで終わりではなく、保険紛争センターの審理の結果がまだであることと、若狭消費生活センターから朗報があることは知る由もなかった。更に、大樹は、夏帆には、是正処置として、金銭管理に関する教育が必要と思い、一緒になって、現在、自らが取り組んでいる家計管理を教えながら実施した。

 本章は、保険紛争センターの結果、若狭消費生活センターからの朗報、金銭管理の教育の詳細を記載します。

(1)それぞれの結果

 7月1日に大樹と夏帆は、多重債務の返済という決断を行い、銀行で振り込み作業を行った。大樹は、帰宅後、安堵感から意識を失い、気が付いたら夜になっていた。ひろみが大樹を起こした。大樹は、夕食と入浴をすましたが、疲れていたのか、無意識のうちにすませ、床についた。

 7月2日、この日は土曜日のため、大樹は休日であった。6時40分にいつものように目を覚ましたが、倦怠感から、体が思うように動かない。朝食を済ませた後、ひろみに「今日は、具合悪いので寝とくといい」トイレを済ませ寝に行った。また、夏帆も寝ているみたいだ。

 大樹は、横になったらすぐに意識を失った。このところ、夏帆の対応で疲れ切ったのだろう。次に目を覚めたのは、ひろみがパートから帰ってきた昼過ぎ、起こされたためであった。既に、夏帆も起きていたが昼間で寝ていたみたいだった。昼食は3人一緒に取った。大樹は、少し倦怠感が解消し、夏帆に「若狭消費生活センターの塩津さんへ電話して返済したことを伝えて」と言い、夏帆が「わかった」と伝えた。夏帆は、その後に電話したそうであった。

 次の日の7月3日、大樹の倦怠感は少し治まってきた。大樹は、夏帆に「お前、そういえば次の会社は何時から入社するの」と聞くと、夏帆が「9月から」と答える。大樹が「では、10月から返済できるが、基本給はいくらか」と言うと、夏帆が「20万くらい」と言うので、大樹が「だいたい、手取りで17万円くらいだな、その場合、生活に必要なお金を除き、返済金額を決めてね。なお、お前が同居する間は生活費として3万円は別途もらうから、それも考慮に入れてね」と言うと、夏帆は「わかった」と答える。また、大樹は「退職後、お前、嶺南こころの病院に行ってないだろう。だから、予約して行ってね」と言うと、夏帆は「わかった」と答える。

 7月4日、初夏の暑い日差しで快晴であった。大樹は、倦怠感はなくなり心配毎もなくなり、晴れやかな気分で出勤することができたと共に、通常の日常が戻って来たことに喜びを感じていた。

 7月5日の17時40分に帰宅したところ、保険紛争センターからの封書を夏帆が渡してきた。大樹は、「ご飯の後に確認しよう」と言い、受け取った。夕食後、大樹は、夏帆を呼んで、ドキドキしながら、封書を開いた。何枚かの資料があり、1枚目に結果が記載してあった。内容は、30,000円の返金で、理由は、保険会社及び保険代理店の重要事項の説明に一部の不適切を認めるとのことであった。大樹は「保険業界では、まだ、重要事項の説明に関してはあんまり重要視されていないのかなとガックリすると同時に夏帆へ「今後のお前への教訓であるが、保険契約をするときは、しっかりと内容を確認して契約しないと70万円をもらえるはずであったが、たった3万円しかもらえないのよ。今後はしっかりと内容を確認してわからなかったら俺でもいいから聞いてね」と言うと、夏帆が申し訳なさそうに「しっかりと内容を確認してちゃんと聞くようにするよ」と答える。また、大樹は「保険に関しては、弁護士にも相談したが、これ以上の戦いは無駄みたいなので、これで和解書を書くことにしよう。和解書は、お前がかくのだからね」と言うと、夏帆が「わかった」と言い、署名と捺印をする。また、大樹は「お前は成人だから、保険契約だけでなく、その他の契約においても内容をちゃんと確認しないとこのようになるからね」と言うと、夏帆は「わかった。今後はちゃんと確認するよ」と答える。大樹は「明日、出しといてね」と言うと、夏帆は「わかった」と答えて、次の日に郵便局から封書を出した。

 大樹は、さすがに、もう少し考慮されるとおもったが、さすがに3万かと愕然とした。一方、夏帆の多重債務の対応で体力を消耗するともに、裁判をしても厳しいと永原弁護士に言われたこととキク子からもこれ以上の戦いはするなと言われたので、保険対応に関しては終息することにした。

 7月6日、大樹は、いつものように出勤し、17時40分に帰宅した。すると、夏帆から「今日、若狭消費生活センターの塩津さんから電話があり、セレンカードから30万円が返金されると連絡があった」と言ってきたので、大樹が「嘘だろう、どうゆうことよ?」と聞くと、夏帆が「塩津さんも理由がわからないみたいよ、明日、振り込まれるみたい」と言う。大樹は「よかったじゃん。これで、借金が30万円減って約90万円になったやん。こうゆうことがあるから、戦ってよかっただろう」と言う。夏帆が「少しほっとしたよ」と苦笑いで答える。大樹が「明日、塩津さんに連絡して土日に時間を取ってもらえ、それと、夕方に銀行に一緒に行き、30万円を引出し、20万円を大樹の通帳、10万円を俺が管理しているお前名義の通帳に入れるので、よろしく」と伝える。夏帆が「わかった」と言う

 大樹も夏帆も170万円について、あきらめていたので、少しでも返金されるとありがたく感じたし、消費生活センターに相談してよかったと思った。

 7月9日(土)に夏帆、大樹、ひろみは、若狭消費生活センターに行って、担当の塩津さんにお礼を言った。塩津から「このような儲け話はのらないようにね、また、騙されたと思ったときにすぐに相談したらもう少しいい結果になったので、相談してね」と言われ、夏帆は「はい、わかりました」と答える。引き続き、大樹から「セレンカードの件、ありがとうございます。30万円が返金されたのは、本当に助かります。ところで、何で戻してくれたのでしょうか」と聞くと、塩津は「わからない。まあ、これ以上、追及して気分を害したら返ってくるものも返ってこなくなるので、詳しくは聞きませんでした」と答える。大樹が「そうですか。わかりました。では、ありがとうございました」と言い、若狭消費生活センターを出た。大樹は、夏帆とひろみに「ひろみが、サクラメント詐欺の件で俺のカードを使用したときに、すぐに停止して、消費生活センターに相談したので、150万円の請求が確かに1万円になったよな・・・ということは、カード会社が支払いを停止するから、早ければ、早いほど、被害額が少なくなるのではないかな・・・それと、夏帆、もうこのようなことはやらないでほしいが、もし、やっちまったら、一人で抱え込まずに、すぐに相談することだね、それと、もうわかったと思うが、世の中には味方になってくれる人もいることを忘れないでね」と言うと、夏帆は「わかった。もう、このようなことはしないし、ヤバいと思ったら相談するよ」と答える。

 これで、夏帆が抱えていた全ての問題は、終焉を迎えた。大樹は、ひろみや敦が起こした問題に対応してきたが、今回が最も厳しい戦いで、かなり疲れた。


(2)後処理と是正処置

 大樹は、夏帆とともに、今後のことについて、次のように話合い以下に纏めた。


①国民年金は、すでに9月まで支払い済みであるが、その額を借金に上乗せする。

②傷病手当金

 4月まで請求しているが、それ以降の申請をしていないため、嶺南こころの病院へ行き、診断してもらい、申請する。その額から7月と8月の生活費6万円と健康保険費用約4万円及び夏帆の小遣い3万円を除き、全てを返済とし、残額を確定する。

③大樹が家計管理をしているが、方法を詳細に教える。

④9月の就職後は、夏帆自ら家計管理計画を建て、返済額を決める。


 以上のことを決めて、進めることとした。そこで、借金は①を考慮して約100万円になったが、②について、7月の中旬に嶺南こころの病院へ行き、傷病手当金を申請したところ、約48万円が支給されたので、約35万円を返済とし、残金が約65万円になった。また、9月の始めに嶺南こころの病院へ行き、完治いていることの証明書を記載してもらったうえで傷病手当金を申請したところ、約12万円が支給された。既に、8月まで健康保険額をもらっているので、小遣いと生活費を差し引いた6万円を返済とし、残額が59万円となり、就職後の返済額が確定した。

 ③の家計管理について、大樹は、次のようにExcelで予算を決めて、給与後に振り分け管理している。

・若狭信用金庫①:給与通帳、ガソリンと生活費 70,000円

・若狭信用金庫②:大樹小遣い20,000円

・福井シティ銀行①:光熱費

 電話: 請求額(家族割りで敦と夏帆はラインで請求し共通の通帳へ入れる)

 ガス: 20,000円

 水道: 10,000円

 電気: 10,000円

 ケーブルテレビ4000円 → 福井県では民放2局のため多くの家庭で契約

(補足)この予算では余るように設定しているので、冬季の灯油代に使用

・福井シティ銀行②:家賃60,000円

・福井シティ銀行③:生命保険10,000円

・ゆうちょ①:かんぽ保険(3人分)30,000円 

・ゆうちょ②:自動車整備費 5000円

・JA若狭:ひろみからの生活費30,000円

・現金:3,000円(新聞代2,200円、区費800円)

・敦名義通帳:電話代により変動

・夏帆名義通帳:電話代により変動

(補足)

・かんぽ保険と自動車整備費は、ボーナス補填しているため2か月に1回

・ひろみからの生活費は2ヶ月に1回JA若狭に貯金、2ヶ月に1回かんぽ保険へ貯金

・生活費とガソリン代は毎週金曜日におろし、前者が15000円、後者が1000円


 大樹は、夏帆に管理方法を説明し、9月以降はExcelで表を作成して管理するように伝えた。

また、各通帳に振り分けを行う日は、銀行に連れて行き、2人で確認しながら振り分けを行うようにし、実行した。大樹は、夏帆への説明で「お金が明確だと、貯金もやりやすいし、無駄使いをしなくなるよ・・・だから、俺の小遣いが少ないのもその意味ね・・」と言うと、笑いながら「うん、わかったと答える。

 9月に入り夏帆は、転職先の株式会社アストラムに入社して、自宅でリモートワークとなり、10月に給与をもらった。そこで、④を話しながら決めた。


・給与     170,000円


・生活費     40,000円←長風呂と1人のとき冷暖房を使用し、光熱費高騰のため10,000円上乗せ

・電話代     15,000円

・小遣い     30,000円

・化粧・美容院 15,000円

・借金返済   20,000円

・貯金      50,000円


 以上を夏帆は、自宅にいる間、確実に実施した。

 次章は、最終報として夏帆を含む野坂家のその後を記載いたします。 

 保険紛争センターの審理の結果は、保険会社及び保険代理店の重要事項の説明に一部の不適切を認めるとのことであったがたかが3万円だったことに愕然としたが、もう、これ以上の戦いは無理と判断して終息させた。一方、若狭消費生活センターからセレンカードから30万円の返金の知らせと申請できなかった傷病手当が支給されたことで夏帆の借金が約59万まで減少した。

 その他、大樹は、夏帆に金銭管理に関する教育を行う必要性があるので、大樹が夏帆に教えながら一緒に野坂家の家計管理を行った。9月に、夏帆は、転職先の株式会社アストラムに入社し、自宅でリモートワークをし、自らの家計管理を実施した。

 次章は、最終回として、夏帆を含む野坂家のその後を記載したいと思います。

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