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13.苦悩・退院・追及

 前章では、4月15日に夏帆宛のニギスカードを見つけてしまう。大樹は、過去にもひろみがサクラメント詐欺にひっかかって、大樹のカードを無断で使用されたときの対応を行うとともに、離婚寸前までいったときの悪夢や、敦がサラ金3社から借り入れたときに対応したときの悪夢を思い出す。一方、今回は、夏帆が入院しており、19日には夏帆が退院してくるが、病み上がりのため、厳しい追及ができないが、請求額は約42万円、遅延利息を確認すると年利20%で、月に約7000円増加するので、早く対処しないといけないが、無理をさせられないので苦悩する。

 本章では、大樹の苦悩と夏帆の退院及び追及の詳細を記載しました。

(1)苦悩

 4月15日、大樹は、ニギスカードからのハガキを見て驚愕する。それは、2011年に、ひろみがサクラメト詐欺に引っ掛かり、大樹のクレジットカードを無断使用したときに消費者センターへの相談・対応と離婚寸前までいったことや、敦が2015年 に、サラ金3社から借り入れたときの対応したときの、厳しい戦いを思いだして、すごく嫌な予感をした。一方、架空請求では!!と一抹の期待もあった。

 まずは、ハガキが親展と記載しているので、夏帆にラインで「ニギスカードからハガキが届いているが、中身を開けていい」と聞いた。すると、夏帆から「いいよ!!」と返事があったので、開いていたら、督促状であり、金額は約42万円であり、使用明細は、含まれていなかった。

 大樹は、どうしても現実が受け入れられないが、まずは、事実確認が必要だと思い、震えながらラインで「ニギスカードから約42万円の督促がきたけど、使用したのか」と書いて送ると「ごめんなさい、使用しました」と回答があった。

 大樹は、夏帆・・・お前もか・・・と落胆し、怒りをおぼえたが、居ても立っても居られなくなりニギスカードの電話をした。すると、ニギスカード側は本人でないと答えられないと頑なな態度で回答する。一方、大樹は、敦がサラ金からお金を借りたときに、聞き出した方法で対応することとし「娘は返済能力ないよ・・現在、無職だから、給与も抑えることもできないし、破産させるしかないよ・・・その時は、そちらが困るのではないのか」と食い下がるが、ニギスカードは、ルールなので、詳細は本人しか対応できないと頑なに答えないので、あきらめて電話を切る。

 大樹は、冷静にハガキを見ると年利と遅延利息が20%と書いている。そうすると、毎年84000円の利子が発生し、1日当たり約230円、1月あたり約7000円になるので、できるだけ早く返済しないと、利息が膨らみ返済額が大きくなるため、早い対処が必要と考える。

 一方、大樹は、使用明細を入手して何に使用したのかを明確にし、本人が何に使ったのかを徹底追及して厳しく指導しないと同じことを繰り返す。また、詐欺等にあった場合は、妻のひろみの対応を行ったときのように帳消しにすることもできると考えた。しかし、夏帆が退院して、追及や調査等の対応させないといけないが、退院開けで完治していないので、厳しい追及は、無理はさせられないのできない等、対応方法をどのようにしていくか、苦悩していた。

 

(2)退院

 4月19日、天気は、晴れていて気持ちいい日であった。この日、大樹が一人で対応する予定であったが、ひろみも休みなので、11時頃に、一緒に病院へ行き、2階の病棟についた。病院からの請求書は約40万円であったが、看護師から「高額医療の証明を見せると、1割負担になる」と言われた。

 大樹、ひろみ、夏帆は、病棟に挨拶して、受付に向かった。受付では高額医療証明書を提示し、生命保険の申請に関する書類を渡す。請求額が約10万円で、生命保険の証明は1週間後の夏帆の通院時に渡すと言われ、大樹は、カード払いで支払った。大樹は、どのくらいお金がかかるかドキドキしていたが、約10万円でありホットしたと同時に、生命保険を申請すれば、どうにかなるとも思った。

 夏帆は、気まずそうに大樹を見ているのが解ったが、今日は、体調のことを考えて触れないようにした。

 自宅に帰宅後、大樹は、夏帆に「やっと帰って来たな・・・聞きたいことは、いっぱいあるが、今日は休んでね!!、それと、生命保険は、来週の通院後に郵便局で申請してね・・・」と伝え、夏帆は不安げな顔で「わかった・・・」と答えた。大樹は、ニギスカードの対応をすぐにでもしたかったし、感情的になりそうだったが、とりあえず抑えた。


(3)追及

 4月20日、大樹は、17時40分頃に会社から帰宅して、夕食中の様子を見ていたが、特にしんどそうな状況ではなかった。21:00頃、大樹は、夏帆とひろみを呼んで、冷静に声をかける。夏帆の顔は曇っていた。

 大樹は、深呼吸しながら冷静になるように夏帆に言う「なぜ、呼ばれたかわかるよね・・・」、夏帆は頷く。大樹はニギスカードのはがきを見せて「これさ~、本当に使ったの・・・」と言うと、夏帆は不安そうな顔で頷く。怒られると思っているのだろう。大樹は「こんなに使って、返済できると思ったの」と言うと、首を横に振る。大樹が「何で、使ったの・・・」と聞くと、涙目でこちらに向く。更に、大樹は「このままで放置してもいいが、返済できないと、せっかく新しい会社に入り、給与が上がったのに、差し押さえられて、生活に必要なお金しか残らないよ・・・これでいいの??」と言うと、首を振る。大樹は「お前、これ対処できるの?、できるのならば、何もしないが・・・」と言うと、夏帆は首を振って「できない!!」と言う。大樹は「どうしてほしいの?」と聞くと、夏帆は頭を下げて「助けてください」と言う。大樹は、怒りたい感情を抑えながら「このままでは、返済できない。まずは、使用明細を持ってきて、何に使ったかを明確にしてほしい」と言うと、夏帆は「わかった。どうすればいいの」と聞いてきたので、大樹は「明日、ニギスカードに電話して、使用明細を取り寄せて」と言うと、夏帆は「わかった」と言う。大樹は、ため息をつきながら「絶対に取り寄せてね」と言うと、夏帆は「わかった」と言う。大樹は「スマホで電話すると高額になるので、自宅の固定電話でやってね・・」と言い、話が終わった。大樹は、夏帆が何に使ったのか・・・と考えていたので、その夜は、眠れなかった。

 4月21日、野坂家は、重い雰囲気であった。大樹は、朝食を食べて職場に向い。ひろみは、パートに出かけ、夏帆は、午前中は一人になる。

 大樹は、勤務中、ちゃんと連絡したかな・・・と考えながら業務を進め、夏帆は、ニギスカードの電話した。ニギスカードは使用明細は送ることはできないが、口頭で教えることができると言われて、使用履歴を手書きでメモにした。内容は次の通り。


日付   店名        金額

2021/8/30 Bizスタート     344,253 

2021/9/14 AAA          1,667

2021/9/15 AAA          8,960

2021/9/16 AAA          2,980

2021/9/17 AAA          6,248

2021/9/19 AAA          3,216

,, ガソリン        3,490

2021/9/21 AAA          2,934

,,     AAA          5,980

,,     AAA          3,586

2021/9/22 AAA          5,180

2021/9/25 BBB          6,250

2021/9/27 スーパー         630

,,     AAA         2,990

2021/9/28 AAA         2,990

,,     AAA         59,521

2021/10/3 AAA         3,440

2021/10/21 ネット配信サービス  2,190

2021/10/29 ガソリン       2,400

2021/11/1 ネット配信サービス  2,190

2021/12/1 ネット配信サービス  2,190

2022/1/1 ネット配信サービス  2,190

2022/2/1 ネット配信サービス  2,190

2022/3/1 ネット配信サービス 2,190

小計       422,755


 17時40分に大樹が帰宅する。大樹は、夏帆に「ニギスカードに電話した」と言うと、夏帆は「電話したが、明細書は送ることはできないが、口頭で教えてくれたのでメモした」と答えて、大樹にメモを渡す。大樹は「夕食して入浴後に話を聞く」と言った。

 21:00に大樹は、夏帆を呼んだ。大樹が「夏帆にメモを見せて」と言い、内容を確認する。そこで、大樹が質問する「bizスタートて何?、何で30万位使ったのと」聞く。夏帆は「洋服を購入してメルカリに売って稼ぐ副業サイトの登録料」と言う。大樹は「そんなの、副業サイトに登録しなくても自分でできるのではないの」と聞くと、夏帆は「副業を行うためのノウハウやマニュアルを購入するための費用」と言う。大樹は、これは悪徳業者に騙されたなと推測したが、更に追及する「では、そのマニュアル見せて」と言うと、夏帆は「専用のチャットに9月までは記載されていたが、そのあとは、消えて見えなくなった」と言うので、あちゃ・・・・テレグラムみたいなソフトで証拠を消したな・・・やられたね・・と思い落胆しながら、更に追及する「それでは、9月にいっぱい買物をしているみたいだが、何を買った」と聞くと、夏帆が「洋服を買った」と言う。更に、大樹が「では、その洋服見せて」と言うと、夏帆が「ない」と言う。大樹が「なぜ!!」と言うと、夏帆が「洋服はそのサイトの宛先に送って、売ってもらい。その売上をもらう予定であった」と言うので、大樹が「利益が出たの」と聞くと、夏帆は「利益がなかったと」いうので、大樹が「問い合わせたの」と聞くと、夏帆が「チャットから連絡先が消去されており、連絡できずに、騙されたと思った」と言う。大樹が「何で、相談しなかったの」と言うと、夏帆が「怒られるのが怖かったから」と言う。大樹が「もう半年たっているから、厳しいな・・・すぐに相談してたら、カード会社の支払い停めれたのに・・・」と言い落胆した。

 更に、大樹は、「なんで、こんなサイトに手を出したの・・」と聞くと、夏帆が「給与が安くお金がなかったので、手っ取り早く稼ぎたかったから」と言う。大樹は落胆とため息をつきながら、「給与はどのくらいだったの」と言うと、夏帆が「手取りの8万位」と言う。また、大樹が「それは厳しいと思うが、お前が儲かる手段を知っていたら、人に教える。それも、見ず知らずの人に・・・」と質問すると、夏帆が「教えない」と言うと、大樹は「そうだろう・・・うまい話はほとんどが詐欺と思わないとな・・・、それと、駄目で元々であるが、明日に若狭消費生活センターに電話して日曜日に相談した言いなさい」と言った。若狭消費生活センターはひろみがサクラメント詐欺にひっかかり大樹のカードを無断使用したときに対応してもらったところである。

 その後の追及で、10月以降については、自らのために使用したとのことだった。大樹は、また、半年位、あの戦いをしないといけないのか・・・と項垂れて、ため息が出たと同時に、「何で、いつも俺はこのような目に合うのか・・・・それも、俺以外の家族の・・全員のケツ拭きか・・・・」と思わず叫んだ・・・

 4月22日に、夏帆は若狭消費センターに電話して、14:30~の予約を取った。大樹は、ひろみに「これからは、大変な戦いになり、俺一人では対応は厳しいので、お前も行ってもらうよ・・・あそこで、お前の対応したから、その時はどんだけ大変だったかお前もわかると思うよ」と言うと、ひろみは「あの時は、ごめんなさい、一緒に行くよ」と言った。

 4月23日、天気は小春日和であった、大樹とひろみ及び夏帆は、12時に昼食に向かった後、若狭消費生活センターがある小浜へ出発した。

 若狭消費生活センターに14時に着くと、初老の女性相談員が席におり、大樹が「本日、予約しました野坂です」と言うと、会議室へ案内された。

 夏帆が退院して、ニギスカードの使用について、追及した結果、bizスタートという副業サイトに騙されて支払った金額がほとんどであることがわかり落胆した。

 大樹は、bizスタートに引っ掛かった後から半年であるため、厳しいと思うが、駄目でもともとと思い、昔、ひろみのサクラメントの対応をしてもらった若狭消費生活センターへ相談する決断し、夏帆が4月23日に予約して、4月23日に大樹、夏帆、ひろみの3人で向かった。

 次章では若狭消費生活センターでの状況とその後を記載したいと思います。


 ここで、本文中の内容の補足説明を以下に示します。

(1)親展

 ハガキや封書に「親展」と記載されていた場合は、法律上、本人しか開くことができない。もちろん家族でも駄目である。このことから、大樹が夏帆に同意を得て開いたのである。

(2)高額医療請求

 入院や手術をするときは医療費が高額になるが、健康保険組合に申請すると1割負担となるので、このような状況になったら是非、申請してください。

(3)クレジットカードやサラ金の返済が滞る場合

 クレジットカードやサラ金の返済が滞る場合、本人の所有物(預貯金、家、土地、自家用車、電化製品、貴金属)を差し押さえて競売等を行い回収するが、若年層の場合は、これらの財産がないことも多い。以前に敦の対応をしたときにサラ金業者と話したときには給与を差し押さえることが多いとのことである。

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