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第壱話(その32)
他の人からしたら「そんなことで?」と思うかもしれないけど、誰の温かみを感じることができない辛さはよく分かる。
「拙も以前、周りの人が誰も必要最低限のことしか関わってくれなくて、他人が人の温かみを与えられているのを見た時、心の蔵が絞めつかれるような感覚をしたことがあるから、貴殿の気持ちは分かります」
「お前もなのか。・・・・・・以前はってことは、今は違うのか?」
「はい。今は拙のことを思ってくれる人がいるんです。でも、貴殿はずっとここで一人でいて、拙と比べ物にならない程苦しんでたんですよね・・・・・・」
「・・・・・・羅桜」
「・・・・・・え?」
「羅桜。俺の名前だ。お前の名前は?」
まさか名前を教えて貰えるとは思わず、驚いてしまったものの、こちらもちゃんと教えないといけないな。
「えっと、拙は夜魄と言います!」
「そうか。夜魄と言うのか。よろしくな」
拙の頭を優しく2回叩きながらそう言った羅桜さんの表情は、少し嬉しそうな感じだった。




