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第壱話(その2)
森をでると、偶然にも町奉行の方と目が合い、拙たちの方に駆け寄ってきた。
「君たち、どうしてこの森から出てきたの? まさか、あそこに行ったのかい・・・・・・?」
怖い表情をしながらそう尋ねてきて、内心焦っていると友人たちが、
「いえ、追いかけっこをしてたら森の中に入っていっただけです」
「あそこには行っていないので、安心してください」
と答えると、町奉行さんはそうかと言い、優しい表情に戻った。
「君たち、そろそろ暗くなるから、気を付けて帰るんだぞ」
「「「はい」」」
町奉行さんの言葉に拙たちは元気よく返事をして、町奉行さんの姿が見えなくまで見送り、その場で解散した。
「夜魄。またな」
「うん。またね」