第壱話(その24)
拙もいつか剣術を習いたいなと思いながら横になっていると、瞼が重くなっていき、何もすることがないからこのまま寝ようと思い、目を閉じた。
*
目を開くと、数日前と同じ光景が見え、今回は桜の木の間近まで来ることができた。
あの声の主は近くにいるのだろうと思い周りを見渡すも、全然人の気配を感じなかった。
桜吹雪がないと現れないのだろうか・・・・・・。そう考えた瞬間、桜吹雪が発生し始めた。
前の時とは違い、桜吹雪の中に人がいるのがはっきり見え、そこには長い髪を一つに結っている男性がいた。
「何で俺だけこんな目に・・・・・・。俺はただ、人の温かさが欲しかっただけなのに・・・・・・」
そう言いながら、涙を流していた。とても悲しそうで、どうしてもほっとけず、おもわず彼の手を取った。
「そんな顔をしないで・・・・・・」
拙がそう言った瞬間、彼の表情は怒りに代わり、桜吹雪が強くなった。
「お前に俺の一体何がわかる! 俺は誰にも・・・・・・」
「そんなこと言わないで! 拙が必ず貴殿を見つけて、人の温かさを教えてあげるから・・・・・・」
涙を流しながらそう伝えると、明らかに動揺している様子だった。
「何故そんなことを言い切れる。どうせ、其の場凌ぎの言葉だろう・・・・・・。騙されないぞ!」
「すぐに信じてとは言わない。でも、貴殿には今からでも人間の温もりを知って欲しい気持ちは嘘じゃないって知って欲しいんだ・・・・・・」
少し苦しい気持ちになりながらそう伝えると、視界がぼやけてきた。
「・・・・・・お前がもし、本当に俺を見つけたら、少しは信じるか検討してやるよ」
その言葉が聞こえた瞬間、視界が真っ暗になった。




