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第壱話(その21)
白米が冷めるまで待っていると、突然腕を掴まれ、机の下に押し込まれた。
急にどうしたのだろうかと思っていると、母上の話し声が聞こえた。どうやら、母上が台所に向かっていることに気が付いた奉公人さんが、母上と拙を顔を合わせさせないように、咄嗟に腕を引っ張ってここに隠したらしい。
「もうすぐ先生方が来られるから、茶菓子の準備をお願いね」
「わかりました、奥様。本日はどの菓子をお出しすればよろしいでしょうか?」
「そうね・・・・・・。それじゃあ、今日はこれを出して」
隠れている机の下から母上の姿が見えた。どうやら、お茶菓子の指示をしているようだ。
今気が付かれるとまずいと思い、拙は息を殺しながら早く台所から離れて欲しいと願った。




