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おじいさんと僕   作者: 金橋すずめ
2/2

洋館の夢と現実

ある日,よく行く丘で見つけた見知らぬ洋館。その洋館は,夢にも出てきた。夢の中で,その洋館からはおじいさんが出てきたのだが,僕が中に足を踏み入れると目が覚めた。

 気が付くと僕は洋館へと向かっていた。

 洋館にたどり着き,立派だなぁと改めて思っていると,ドアが開いた。

 キィ…と音を立ててね。

 そして,中から出てきたのはおじいさん。白いひげを生やし,長い白髪を束ね,丸眼鏡をかけた優しそうな人が,僕を見て微笑み,手招きをした。

 あの夢と何もかもが同じだった。本当にまだ夢の中なんじゃないかって?僕も最初はそう思ったよ。でも,この時は,洋館に足を踏み入れても目が覚めなかった。それに,ほっぺたをつねったら痛かったし。

 僕は,そのおじいさんに案内してもらいながら洋館の中を歩いた。廊下には,ゴッホやダ・ビンチが描きそうな絵が飾られていた。ミケランジェロが作りそうな彫刻も置いてあった。

 でも,おじいさんが言うには,これは全部彼の友達が作ったものだという。ちなみに,おじいさん本人も絵を描くのが趣味だそうで,自分が描いた絵も所々に飾っているんだって。

 一通り建物の中を回り,客室でおじいさんの淹れてくれたコーヒーを飲んで休憩していると,おじいさんが口を開いた。

「特別なものを見せてあげよう。」

「特別なもの?」

「ああ。これを見せるのはお前さんが最初で最後だよ。さあ,着いて来なさい。」

 何だか,とてもわくわくした。僕は,おじいさんの後を少し緊張しながら歩いた。

 はしごを使わないと届かないようなところまで本がびっしりと並んでいる図書室を通り過ぎ,絵の具とおじいさんの力作が壁一面に並んでいる絵画室を通り過ぎ,らせん階段を一番上まで上って,奥へ奥へ進み,やっとたどり着いたのは,この家で一番奥まったところにあるであろう部屋だった。

「ここは,私の部屋だよ。」

 おじいさんはそう言って扉を押し開けた。

 一人の老人の部屋とは思えないほど,広くて,立派な部屋だった。でも,置いてあるものはごく普通だ。テーブル,いす,本棚と本,ティーカップ,ポット,ソファー…

「特別なもの」っていうのは,この中にあるのかな?


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