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無気力

作者: 六藤椰子〃

 僕はここ二日間、寝るだけで過ごした。

本来ならば会社宛に送るはずだった郵便物も保留した。

何故、無気力だったのか?

 身内で親しい人が亡くなったから?ー違う。

 やるべき事が無くなったから?ー違う。

 尊敬していた人が亡くなったから?ー全部違う。そもそもそんな事実すら無かった。

 いきなり、とでも書こうか。不意にとでも書こうか。

僕は二日前に急に人生の価値を突如として、見失った。何故だか僕自身にすらその原因、理由などが分からない。

 『人生は死ぬ為に生まれてくる』のであって、生きてる間に存在理由を見つけようとする。しかし、そもそも存在理由は必要あるのだろうかと疑問に抱いた。

元々存在していなかったのに、あたかも存在している事が当たり前のように、我々人類は振る舞っているが、そもそも死んで全てが無に還るのであれば、頑張る必要はないのである。ましてや、無になるのに努力するなんて以ての外だ。

 初めから生物さえいなければ、こんなくだらない思考でさえも必要なかったのだ。

生きてる内に価値観などどうせ死ねば全てが無駄になる。名前を遺す為にとは言え、努力も何もかも死んでしまえば全て無駄、無意味、となる。

 だったら悪に成った方が楽だ。善意的な行為をするにしろしないにしろ、結局は悪に走って快感に溺れて死んだ方がよっぽどマシに思えてくる。

生きてる間に他人の為に尽くせとは言うが、それこそ慢心する為の行動ではないのだろうか、そう思えてくる訳だ。

人類はエゴの為に数多の犠牲を出してきた。

 僕には生きてる価値観は見出せない。自分自身はおろか、他人でさえも。どんなにお偉いさんであろうと、どんなに底辺で頑張ってる人に対しても、僕には無駄にしか感じないし、そう思いしか浮かばない。

過去に路上生活同様の暮らしをしてきた一銭も稼げない経験もある僕にとってみれば、他人の笑い話や悲しい話などは理解は出来ても一切同情出来ない。

先ず笑えないし悲しくもない。どうでも良いようにも感じる。

 辛い経験ある人は強くなるとよく聞くけれど、この経験も死んだら結局はその一生涯だけ有効で無駄になるのだ。だったら、経験も努力も必要ないのではないか?

意味がないんだ。全て無駄なんだ。無意味なんだ。幾ら頑張ったところで、才能が開花したところで、どんなにお金を稼げたところで、どんなに経験積んだところで、どんなに他人から感謝されようが、結局は全て無駄となる。人生は無駄の極みそのものである。

僕は自分自身の生きる価値観を見失った。

自殺するのも面倒臭い。食べる事も面倒臭い。今まで仕事する為に食欲すら無いのに無理して食べてきた。

生きるって何だろう。

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