探索者のお仕事なのですの?
第三作です。そろそろ連作やってみましょうかね。
私は探索者ですの。
探索者とは偏に何かを探すことが仕事です。
たまには何かを集めるようにも言われますが、根本的には探すことのみが専門です。
また、遺跡街における発注が常に遺跡内部だけではなく、街の中や街の外に広がる森などへも出掛けます。
えぇ、例えば街にいるはずの職人さんを普段入り浸っているという酒場から遺跡の入り口付近、街の外にまで探しに行ったりとか。その時は入れ違いが重なってその職人さんの家の前で捕まえましたね。・・・・・・あのヒゲオヤジめ!
話が逸れました。
つまり、私が言いたいのは『探す』というだけでもとてもとても大変で、高度であるということです。
今回、私のもとに来た発注は『兎蝙蝠の羽一対。紫キノコ3株。馬鈴薯2こ。黒パン5こ。ベーコン小2枚。霊石1こ』です。
途中からごはんの材料ですわよね?これ?
最後の取って付けたのか思い出したのか、霊石1こっていうのが、なんというか・・・・・・。
何はともあれ。仕事は仕事ですの。むしろ市場で手に入るものも多い分、楽な方でしょう。
その後市場を巡るとすぐに馬鈴薯・黒パン・ベーコンは見つかりました。
残るは兎蝙蝠の羽と霊石。どちらも遺跡に入るか協会で購入できます。
ただ、他の材を買った分、若干コストがかかってしまいました。
この上さらに買って揃えるのは、コスト的にも探索者としての矜持としても忸怩たるものがあります。
うん、遺跡で霊石と兎蝙蝠の羽は見つけましょう。
なんて考えた私が愚かでしたわ。
なんでこんなに兎蝙蝠がいないのでしょう。
いつもなら5匹前後でグループを組んで飛んだり天井にくっついているはずの兎蝙蝠が今日はいません。
その代わりに、床には大量の血痕がありますわね。
1、何かに襲われた
2、何かと戦った
3、何かに喰われた?
まぁ某かと戦闘になったのでしょうね。
あ、羽の片っぽがズタズタな状態で落ちてました。
「キィィ!」
「あ、まだ生き残りさんがいましたのね」
もしかしたらグループの唯一の生き残りかもしれません。これを逃したら・・・・・・面倒そうです。
よって!
「水の精霊たちよ。戒めの縄を。刃の先に。『流水の門』」
「キギィ!?」
羽を傷つけずに捕縛第一!!
ゆっくりと落ちてきた兎蝙蝠の羽を切り落とし、胴体にも短剣で一突き。
「これで残るは霊石ですわね」
ただまぁ、わざわざおつかいをさせられた身としては色々思うわけでして。
「ランタンの霊石がそろそろ換え時なんですのよね」
霊石には変わりないわけでして。
「早めに依頼主に渡した方がいいかもしれませんしね。食材」
「お、ありがとうよ!」
「食材もありましたし急いで来ましたのよ。一応確認してくださいな」
依頼主たるいつぞやのヒゲオヤジ・・・もとい職人さんの目の前に食材各種と兎蝙蝠の羽、そして霊石を見せた。
「おう、確かに!また頼まぁ!!」
「もうおつかいは嫌ですの」
にっこり。
ニヤリ。
お読みいただきありがとうございます。遺跡街の仕事人として、探求者・狩人・探索者を紹介していきました。
ぼちぼち連作に挑戦します。主人公はちゃんとカッコいい感じにしていきたい!(希望)