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吸血鬼の冒険録  作者: ノア
序章 吸血姫と世界樹
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希望を創るため

 奪の魔眼を使用したことによりこの戦い長引けばわたしの有利となります。

 そうはさせてくれる相手ではないでしょうけど。


「体がだるいな、その目の色が紅くなったことと関係あるのかい?」

「さあね」

 

 目の色が紅くなったとはどういうことですかねわたしの眼は蒼いはずですが、もしかすると魔眼を使うと色が変わるのですかね要検証ですかね。


 そして始まる攻防わたしの爪と男の剣が高速で交わっていきます。

 ついにわたしの爪はローブを切り裂き男の顔があらわになりました。


 三十くらいでしょうかね顔には先ほどわたしが付けた傷から血が流れていましたがそれ以外に傷はなく黒い瞳はひたすらわたしを見つめ黒い髪は風によってなびいていました。


「思ったより老けてますね」

「若いとは言われたことがあるが老けているとは初めてだな」

「で、目的は何ですかねいきなりアルスを襲って食事なら提供するよ」

「闘争、血を血で洗うような戦いだな、奴は強そうだったからなここでなら余計なしがらみもなく戦える」

「そうですか」


 戦闘狂ですかそうですよねそうでなきゃ食用にも素材にもほとんど使えないアルスに襲い掛かるわけないですもんね。

 でもどうしますか食料渡して済むものじゃないですもんね。仕方ないやりますか。


「俺は強さの極地が見たいそのためにただ闘争を求めるより強くなるために」

「蛮勇ですかいくつもの死地を巡っていったんでしょうね目的はただ戦うこと寂しいですね」

「それでも俺は進むそんな問答は当の昔にし終えた」


 そうですかならわたしが言うことはないでしょう。ですが捨てて置けません気づいているのでしょうかあなたの顔は見るに耐えないほどひどいですよ。

 何があったか知りませんし知る必要もありませんですが死ぬ可能性がある戦い、自ら飛び込んだ死地になぜそんなにも辛そうな顔をするのでしょう。

 生きたいのですよ本当は死地ではない目的が必要なのですよね。いいですよあなたの目的にわたしがなってあげます。


「紅『ルート』」


 なぜ目の前の男にこうも気持ちが揺れるのかわかりませんだけど間違ってはいないはず。

 

 紅『ルート』は赤き一筋の線と円状の模様が入っている剣、特殊能力は血による成長。それを男に向ける。

 初めて握ったはずの剣のはずなのに手になじむ使い方がわかる、初めて吸血鬼と理解したときの感覚に似ている。


「フェイス」

「グラン」


 わたしが名乗ると男も名乗り返してきて剣を構えました。

 そしてわたしは魔眼を閉じ宣言する。


「グラン見せてあげるわたしの力、わたしが勝ったらわたしの元に来てもらうそしてあなたに目的を……戦い以外の目的を与えてあげる」

「いいだろうこんな亡霊を欲しいと言うなら力を見せてみろ、そして俺に希望を見せてくれよ!」

 

 激突する剣と剣、先ほどとは違うお互い全力の一振りだけどお互い一切引かないただ攻めるだけ。


 肩に腕に胸に傷がつく、でもそんなかすり傷を気にはしない。

 体が動く技が使える知らないはずの剣技をわたしは知っている。


 グランが放つ技を受けてはこちらが技を放つ一進一退の攻防、吸血鬼の身体能力についてくるグランは人間の中でもかなり強い部類なのでしょうね。

 それゆえ苦労もあったでしょう。だけどその全てをわたしが塗り替えましょう。


 魂が叫ぶ。

 姿勢を一気に下げ魂に刻まれた技を放つため言葉を紡ぐ。


「歯向かう敵に地獄を流離う魂に楽園を」


 グランあなたを、戦いしかない亡霊たるあなたを人間に戻してあげます。

 

「王伝 リ・アステロラ」

「無伝 カテナチオ」


 王から伝えられし王伝と無から編み出された無伝がぶつかり合う。


 グランやはりあなたは亡霊であるべきではありません人間であるべきです。

 無伝、無から伝える剣技あなたは誰かに伝えたいのでしょうその技を。

 

 だからその技にわたしは負けません。

 その技はもっと強くなる。


 わたしの剣技はグランを切り裂いた。わたしの方も無傷とは言えませんが致命傷にはなりえません。

 伝えられる技は時代を経て進化するわたしとあなたの剣技は重ねた歴史が違ったのです。


「ふっ負けたか」


 地面に倒れこんだグランにはもう戦う気力が残って無いようで体を大の字に広げて横たわりました。

 

「で、希望はみえた?」

「まあな、俺の正真正銘の全力を出し切ってわかったわ、俺はただ強さだけを求めた闘争その過程で生み出したこの剣技をなくしたくなかったんだな……だから俺はこの剣技をより成長させながら誰かに伝えるそれが当面の目標にする、それにあんたに救われたんだ俺の忠誠を捧げよう。今なら王に忠誠を誓う騎士の気持ちが分かるわ」


 随分スッキリとした顔になりましたね。

 わたしは近づき指先をかんで血を流し眷属の誓いを立てます。


「フェイスに永劫の忠誠をグランに希望を」


 別に口上はなんでも良いのですただの儀式なのですから。重要なのはわたしの血をグランが受け入れること。


「俺は姫に忠誠を誓う」


 そしてグランの口にわたしの血を垂らし初めての眷属が誕生しました。


 姫ってなんですか!?


もう少し文才あって設定細かくして話長くすれば割りかし良い話になりそうな回。

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