世界樹のリノア
「ちょっと起きなさいよ!」
「もう、うるさいな静かにして」
気持ちよく寝ている所にうるさい声が響きました。
「うるさいって何よ!もうお昼すぎなのにいつまで寝ているのよ」
吸血鬼は夜行性なのですから日が出ている間に寝るのは極自然なことです。
てか誰ですかわたしの安眠を台無しにするのは。
「潰しますよ」
「怖っ!えっほんとにやらないよね?」
そういえばわたしは誰と話しているんでしょう?アルスはわたしの血の中にいますしそもそも喋れません。
やっと頭が回ってきてこの状況に違和感が出てきました。
仕方ありませんまだ眠いですが起きますか。
「ぬっ!やるの良いわよ、やるなら受けて立ってやるはでもわたしに何かあったらお母さんがただじゃ置かないわよ!」
立ち上がると目の前に小さい羽の生えた人がシャドーボクシングをしながら浮かんでいました。
エメラルド色の髪に同じ色の微かに肌が見えるドレスを着用して背中の白い羽がパタパタ動かしている目の前の人物は妖精か精霊でしょうか?
「あなたは誰?」
「あなたこそ誰よ!」
会話のキャッチボール1回目にして失敗。
疑問に疑問で返さないでほしいです。でも大人のわたしが先に折れることにしましょう。
「わたしはフェイス」
「そうフェイスね覚えたわ、わたしはリノアよ。そんなことより何でわたしの中にいるのよ!」
「中?」
この子は何を言っているのでしょう?きっと頭のかわいそうな子なのでしょうね。
「ちょっと何かわいそうな子を見る目で見ているのよ!わたしはこの世界樹そのものなのだから変なこと言ってないわよ」
「へ~随分大きな木だと思っていたけど世界樹だったんだどおりで大きいはずだ」
「知らなかったんだ。それにしてもも全く驚かないのね」
「得には」
世界樹って要するにものすごく大きな樹のことでしょ少し枝や葉が貴重なくらいのそれを特段驚く要素になりませんし。もしかして売ればいい値がつくかもしれませんね、出る時少し貰っていきましょうか。
「あなた今変なこと考えたでしょ」
「いや全然」
ジト目で追求してきたのでとりあえず真顔で即答しときます。
ちっ、無駄に感がいいですね。
「まぁいいわそれよりもフェイスは何でこんなとこいるのよ」
いきなり呼び捨てですか気にしないから良いですけど。
「何でって言われても雨風凌げるからわたしの寝床にしたんだけど」
「そういうことを聞いてるんじゃなくて普通は外からこの世界樹は見えないようになっていてこの周囲には生物避けの結界が張られているから来れないんだけど」
「でも昨晩は普通に見えたよ」
「それはあなたが一度この世界樹を認識したからでしょうねこの結界は認識されないことに特化している分認識されたら全く無意味になるのが問題よね」
ならアルスが認識していたのはわたしの眷獣になったからでしょう。
それに転生したてにこの樹が見えなかったことも生物が一匹も見当たらなかったのもこの結界のせいでしょうね。
「確かに最初は結界の影響を受けていたけど走り回っていたらいつの間にか着いていたよ」
「あまり考えられないけどたまたま結界の脆弱な部分を通り抜けたみたいね。あとで検査しなくちゃ面倒くさいわね」
だるそうにため息をするリノア、要するに偶然ですか。
「それでわたしはどうすればいいの出ていくべき?」
「別にいいわよ。どうしてここにいるのか気になっただけだし、わたしを害するならともかくあなたにその気配は無いし好きなだけ居ていいわよ」
わりと融通の効きそうな人ですね。とりあえず住処を追い出されずに済みそうですね。
あれっ?そういえばわたし世界樹を傷つけて水をだした気がするのですがどうなんでしょう?
「別にあれくらいなら傷の内に入らないわよあなたは蚊に刺されたくらいで傷ついたって思う?」
「ここまで大きいもんね、そりゃ感じないわ。とりあえず食事にしていい?」
「良いわよ折角ならわたしの実食べる?ちょうど今旬なのよ」
「貰う貰う、こっちも肉あるけど食べる?でもその体じゃ食べられないか根っこの近くにでも埋めとく?」
「いえ貰うは、この体は実態があるから食べられるのよ、栄養も一応吸収できるけど全体からしたら誤差程度だから娯楽になるけどね」
リノアはちゃんと実態があるのですね、霊体とかだと思っていたので一応触れて確認してみます。
手のひらサイズですので力を入れすぎずほっぺを突いてみると小さいのにふにふにした感触がしっかりと指先に伝わってきました。気持ちよくてずっとふにふにし続けたいです。
「もーやめなさいよ!擽ったいじゃない」
「えーでも気持ちいいからやめないよ」
「もーいいかげんにしなさいよ」
嫌がっている素振りはするものの満更では無いご様子、ほっぺだけでなく頭も撫でてあげるとさらに気持ちよさそうに声をあげています。
可愛いですねずっとこうしていたいです。
フニフニ
フニフニ
そして日が暮れるまでこのやり取りは続きました。