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吸血鬼の冒険録  作者: ノア
第二章 竜贄の少女
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幼女の境遇


 宴会は日付が変わるほど遅くまでやり解散になり、今は宴会の名残が散らかった状態で村人は各々の家で睡眠しだしたようです。

 先程まで賑やかなだったのが噓かのように静かですね。


 そんな寝静まった村ですがわたしの前にはグランとメリッサがベットに腰を下ろして座っています。

 二人が今だ起きているのは主にわたしの頼み事のせいですね。

 まあ、二人共睡眠は大して必要がないので一日くらいは余裕でしょうけど。


「グランから聞いたからちゃんと姫様の命令通り探りを入れてみたの。どうやらずいぶんとその子供はむごい境遇のようね」

「俺は深くまでは聞けなかったがそれでも胸糞悪くなる程度にはイかれてる村って事がわかったな」


 二人から話を聞くとやはりここの村人たちの幼女に対する扱いは村長がしていたように随分と気持ち悪い扱いのようです。

 

「こんな辺鄙な村だと子供が大人の仕事を手伝うのが普通のことなんだけどね、その子──エイファちゃんって言うみたいなんだけどね、そのエイファちゃんの仕事量はとてもじゃないけどお手伝いの域を超えているみたいなの」

「まあ6歳の子、ましてや女の子に力仕事をさせるってのは相当イかれてるな。奴隷でももう少し適した仕事を与えてるぞ」


 芋を洗って運んでいるあのときでも何時もよりは楽だったのですか。

 親の手伝いで畑仕事をやるのが普通なのにあの子は一人で大人がやるような作業をこなしていると言うから驚きですね。


「それでなぜそのような境遇なのです?あの眼が原因ですかね」 

「それも原因の一旦のようだけどそれだけじゃないわね。エイファちゃんの両親が主な原因ね」

「確か母親が亡くなって父親は出ていった、でしたっけ?」

「あら知ってたの?その両親の馴れ初めが事の始まりね」


 メリッサの顔が険しくなります。

 それだけ今から話すことは気分の良くないものなのでしょうね。


「エイファちゃんの母親はこの村の人だったみたいだけどね……父親はそうじゃなかったの」

「なるほどな、よそ者の血が混じっているからあんな扱いなのか。

 随分とまあくだらない理由だな、こんなチンケな村にしては随分上等なことじゃないか」


 グランの苦言にも納得です。

 王族や貴族、伝統ある血筋ならともかくこんなただの村でよそ者を嫌って排斥するとは馬鹿じゃないですかね。

 むしろ閉鎖的な村だからこそ外からの血を大切にしないと近親婚ばかりになって大変なんですけどわかってないんですね。


「エイファちゃんのお父さんも今のわたし達と同様に最初は冒険者の依頼でこの村に来て随分と感謝されていたようなんだけどエイファちゃんのお父さんがこの村の娘に恋して状況が変わったの。

 それがただの片思いで済めばよかったのだけど生憎とエイファのお父さんが魔物に襲われていたエイファちゃんのお母さんを助けたもんだからエイファちゃんのお母さんも好きになって両思いだったからさあ大変」

「それで村八分になったということですか……」

「最初は歓迎されたとは言わないけど拒絶されたわけでもないのよ、エイファちゃんのお父さんは冒険者だしそれなりに強かったから魔物退治やらでなんとか受け入れてはもらってたみたいよ

 でもエイファちゃんが生まれて状況が変わったの……」

 

 普段明るくお調子者なメリッサの声のトーンが落ちます。

 快楽に正直なメリッサからしたらこう言う重い話は苦手なんでしょうね。


「それまでギリギリ有用だから受け入れられていたのに生まれた子供が悪付きだったもんだから風当たりが強くなっちゃったの」

「悪付き?」

「ようするに生まれながらに障害がある人のことね、今回は目が見えない事が村人から気味悪がられてよその血を入れたからとなったわけ」


 それがこの村、ひいては国の常識なのでしょうか。

 自然と拳に力が入っていきます。


確かに障害があるなら普通の人より出来ることは限られますし人手が欲しい村なら落胆もするでしょう。

ですがこの村を見る限りそこまで人手が足りないようにも見えないのですけどね。


 いいえ、そんなの関係ありませんね。

 ただ気に食わないよそ者の攻撃点ができたのですからそこを攻める、ただそれだけなのでしょうね。

 

 醜く嫌らしい人間の感情……本当に気持ち悪い。

 しかも当人がいなくなり残された無垢な子供にもその感情をぶつけるとは……


 そんな虐げるならわたしが貰ってあげましょう。


 椅子から立ち上がりグランたちを見ながら言います。


「そんなに虐げ蔑むならさっさと消えて欲しいんでしょうね……ならわたし達が貰ってあげましょう」

「いいわね!可愛い子だしこれから楽しくなりそうね」


 わたしの案にメリッサは嬉々として乗ってくれました。

 グランの方も文句はないようです。


「こんな環境にいちゃその子も何年生きられるか分からねーからな、それこそ姫の伝で聖女様に預けたらいい、立派な聖職者になれるだろう」

「えーせっかく可愛い子なのに預けちゃうなんてもったいないわよ」

「こんなあてのない旅に連れていく訳にはいかんだろ」


 グランにメリッサが文句を言いますが至極真っ当な意見により黙ってしまいました。

 確かに子供を引き連れて旅を続けるのは厳しいですね。かと言ってリノアのところに戻ってもリノアは喜びそうですが子供には良い環境じゃないですし。

 子供は大勢の友達と共に成長していく、とは言いませんが限られた狭い世界で育てても良くないですからグランの言うようにアリスに預けるのがいいのでしょうね。


 それにしてもグランって以外なとこ気を使えますよね。

 それに引き換えアリスはだめですね。こんな国の紹介をするんだなんて、何がいい国ですか初っ端から気分が悪くなりましたよ今度あったら文句でもいいましょう。


 アリスへの恨み言は一旦胸にしまいわたし達は明日へ備え休むのでした。


小説を書くって思ったより大変ですね。

大筋は考えられてもそこに肉を付けていくのが大変で……

仕事で行っている人とか尊敬しますね。

まあ次も遅くなるでしょうがやめることなく続けます。

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