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吸血鬼の冒険録  作者: ノア
第一章 聖女の葛藤
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邂逅

 時間は既に日を跨ぎ何処も店が締まりだし寝静まった街を歩いているのはほとんどいません。

 わたしはむしろ心地よい時間ですが普通の人は寝てますからね。


 夜の街は昼間と違ってこれまたいいです静かな街並みに奥に建つ街を一望できる神殿がもた神秘的でもあります。

 

「あそこからの眺めはきっと素晴らしいのでしょうね」


 そう思いましたので神殿に行ってみましょう。

 手頃な家の屋根に飛びそこから神殿方向へ次々に屋根を飛んでいきます。翼で飛んだほうが楽なのですが人は少なくても0ではないので余計な面倒を犯さない用の配慮です。


 夜の街を横断して神殿の真下までやってきました。

 神殿の壁を渡っていき一番上までたどり着きました。


 夜景と言うには明かりが少なすぎますが吸血鬼の眼からしたら関係なく何の遮蔽物もなく見渡す街並みと隣の森にわたしたちが来た山脈の合わさった静けさは美しいというよりも神秘的な感じがします。

 

「きれいですね。わたしにも夜景を見て感動する心があったんですね」


 転生前なら一切興味ないことでしたからね夜景を見てはしゃぐ女子の気持ちも今ならわからなくもないですね。

 そんな感情に浸っていると透き通った声がわたしに向けられました。


「ここは一応神聖な神殿ですので眺めるなら屋根ではなくこちらでお願いします」


 見ると横のテラス部分に一人の女性がおりわたしを見ていました。

 女性はわたしのような銀髪ではなく白髪それも一切の穢がない美しい髪で夜風になびいており身長はわたしくらいで胸にある大きな2つの塊は幾つもの男性を虜にしてきたことでしょう。


 ああこの人が聖女なのですね。


「それはすみませんね」


 わたしは聖女に謝りすっとテラスへと屋根から聖女の隣に飛び降りました。

 近くで見ても夜を照らすようにその髪はなびいています。


「キレイですよね特に今日は雲一つ無くて星が一つ一つはっきりと輝いています」

「そうだね」


夜景のみに見いっていたわたしは聖女の言葉を受け夜空に目を向けました。

そこには満天の星空が広がっておりわたしは言葉を失って暫らく見とれてました。


「眠れない時はこうして夜空を眺めるの。そうするとこの世界からしたらわたしたちはちっぽけな存在って否応なく理解させられるわね。そう思わない?」

「ええちっぽけですね星に比べれば大した時も生けずに死んでしまう」

「でも人によってはあの星の輝き以上に輝くことができる……わたしはそうなりたいわね」


 それから暫らくわたしたちは無言で夜空に見いって過ごしました。

 ふと先ほど宿で少し飲もうとお酒を一本持ってきていたのを思い出し取り出します。


「どうお酒でも?夜空を見ながらの晩酌も乙かもよ。それとも聖職者はお酒がダメ?」

「いえ頂きます聖神教では推奨はされていませんが特に禁止されているわけでもありません飲み過ぎなければ大丈夫です。少し待っていて下さいコップを持って来ます」


 そういうと静かに部屋に戻っていきコップを2つ持って戻ってきました。

 わたしはお酒の栓をを開け注いでいきます。


 これはわたしが気に入ったエルフ製の森酒で少し高い酒精なのにすっと飲みやすく口の中にほのかに森の香りが広がりゆっくり飲んでいくのに最適なのです。


「森酒ですか好きですよこの口いっぱい広がる森の香りがなんとも言えませんね」

「そうですね簡単に飲めますけど酒精強いんですよね」

「大丈夫ですよ飲み過ぎたら回復魔法で酔を覚ましますから」


 ずるいですねそんな裏技があるなんて、とは言え酔い難いわたしも大概ですかね。

 二人で少し語らいつつお酒を嗜っていき聖女が唐突に質問を投げかけてきました。


「あなたはもし自分の正義と相容れない相手と出会った時どうしますか?」 

「敵対するなら徹底的に闘う」

「たとえそれが多く血が流れるとしてもですか?」

「争うね自分の正義と相手の正義がぶつかるんだからそれはただの戦争」


 聖女が何を言いたいか薄々わかりますだからわたしはまともに返します。


「その覚悟もなくて自分の正義を貫くことも相手の正義を否定する権利もないよ」


 正義を貫くには時に多くの屍の上を歩まなければいけないその覚悟が自らの信念となり相手を正義を否定する権利となる。その覚悟がなければそれは正義ではなくただの理想、理想は所詮理想止まり現実にはなりえません。

 わたしの答えを聞き聖女は深く、深く考え出しました。


「わたしに必要なのは覚悟なのでしょうか、ですが……ただ皆が幸せに生きる理想はダメなのでしょうか?」

「ダメじゃないよでも犠牲なくしてその理想を現実にすることはできないだけ」


 でもその理想はかなり難しいですよ矛盾しますが犠牲の上になりえない理想ほど厳しいものはありませんから。

 

「ありがとうございます。少し酔ったみたいですねわたしの弱音に付き合わせてすみません、ですが次に合うことがあるならもう少ししっかりした姿を見せますから」

「うん、悩んで良いんだよ後悔ない答えを必至に探して、足掻いてそれでも見つからないのがあなたの理想で正義なんだから少しでも良い答えが見つかるよう祈っているよ。じゃあね」


 わたしはテラスから飛び降り帰路へつきました。



弱音から始まったせいで聖女が設定よりか弱く見えます。

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