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吸血鬼の冒険録  作者: ノア
第一章 聖女の葛藤
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ココナ亭

「ようあんちゃん恵まれない俺らにチーっと酒代恵んでくれねーかい?」

「だぜだぜ俺らはあんたみたいに恵まれていないからな」


 月光と街頭の光が照らす闇の中わたしは夕食を求め彷徨っていました。まだどこの店も閉まっていなかったのでどこに入ろうか悩んでいたらいつの間にか裏通りに来てしまいこの状況になってしました。

 折角ローブまで着てこのローブそこそこ良いものみたいでこのように絡まれています。これだったら本気・・で闇夜に紛れて行動すればよかったです。


 ですが潰すのは容易ですが昼間に大金を得たわたしは余裕があるのでこの程度では怒りませんよ。


「お酒がほしいなら食事が美味しい酒場にでも案内しなさい」

「「へぇっ!?」」 


 わたしが反抗せずに提案に乗ったからでしょうチンピラ二人組は口を開いて唖然としていました。

 たかだか酒代くらい今のわたしには痛くも痒くもありません!


「さあ早く案内しなさいそうすれば酒代くらい奢ってあげますよ」

「おお言ってみるもんだな」

「ああならこの先のココナ亭ってとこがうまい飯出しやすぜ酒も豊富で他国のうまいのもありますぜ」


 そういえばお酒って一回も飲んだことがありませんねこの機会に試してみるのも良いかもですね。できれば血が欲しいとこですが街中では我慢ですね。


「ならそこに案内しなさい」

「「へいっ!」」


 さてやっと夕食にありつけられそうですね。

 

 


 歩くこと数分、目の前にココナ亭が見えてきました。


「あそこですぜお嬢」

「ええでは入りますか」


 ちなみにわたしの声でどうやら女性とわかったようで二人共わたしのことをお嬢と呼んでいます。

 姫呼びに慣れたわたしに今更お嬢呼びで恥ずかしがる心は残っていませんでした。


「おらっ!お嬢の来店だ」

「野郎ども席を開けろ!」


 チンピラ二人が勢い良くココナ亭の扉を開けると同時にバカなこと抜かしやがりました。

 店内を見るとお酒を煽っていた客も料理を運んでいた店員も奥のバーカウンターにいたマスターも驚いていますよ。てか別に満席って訳ではないじゃないですかテーブルも空いてますしカウンターにいたっては誰もいないじゃないですか!


「おいおいドラムにブトム何言ってんだふざける暇があるなら付けを返せよ」

「いやそれは月末まで待ってくれ」


 おやおや二人は付けまでしていたからあんな真似していたのですね。

 いいでしょうここでわたしの華麗な登場です。ローブを脱ぎ髪をさらけ出し店内に宣言します。


「さあ今日はわたしの奢りです好きなだけ飲み食いして下さい!」

「「「…………」」」


 あれ?おかしいですねここで店中から歓声が上がるはずなんですけど皆さん冷ややかな目で私の事見ていますよ。

 

「おい、なんだあの子は」

「いや街中で酒代せびったら美味い飯屋連れて行ったら奢ってくれるって言うから……」

「馬鹿かオメェらあんた子供にせびって情けなくはならないのかよ!それならうちで付けで飲んでいたほうが何倍もマシだぞ」


 チンピラがマスターにこっ酷く怒られていますね。

 長く続けられてもわたしの夕飯の時間が短くなるので怒鳴っているマスターに白金貨を一枚親指で弾きわたします。


「うぉっと」


 おおいきなり投げたのにキャッチしましたよ。

 マスターは手に取った白金貨を見てかなり驚いているようですね。


「足りないならもう一枚あるけど?」


 そう言ってもう一枚白金貨を見せるととうとうわたしが望んだ状況になりましたよ。


「「「うぉっしゃーゴチになります」」」

「好きなだけ楽しみなさい!」


 ふふっこれを待ち望んでいたんですよこれこそがお金持ちの醍醐味ですよ。

 店の中は結局全体の半分程度の人間しかいなかったのでゆったり過ごせそうですね。


 他の人がはしゃいでドンドン料理やお酒を注文しだし店員ももう勝手にしろとばかしにお酒は樽で料理は特大の大皿で運ばれてきました。

 そんな賑やかな場を横目にわたしはマスターがいるカウンター席へと座りました。テーブル席でワイワイもいいですけどやっぱり酒場のカウンター席は憧れますよね。


「マスターオススメの料理と飲物は血をお願いするよ」


 おっと本音が出ましたが血なんて出るわけ無いですし飲み物はお酒なんかいってみますかね、飲めますかね楽しみですよ。


「良いぜ自家製のローストビーフを使ったサンドイッチを作ってくるぜそれとスッポンの生き血だ。通だねこれを飲むなんて」


 おうっ、まさか出てくるとは思いませんでしたよですがわたしにとっては嬉しいので良しとしましょう。

 異世界でもスッポンの生き血って需要あるんですね……。


「で本命の飲み物はどうする」

「お酒は初めてなのでオススメをお願いするよ」

「初めてなのかじゃあこのりんご酒がいいな甘みがあって酒精も少ないしな」


 そう言ってりんご酒を出したマスターはサンドイッチを作りに行きました。

 そこで一気にスッポンの生き血を飲み干します。サラッとした舌触りを味わい元気が出てきました。


 やはり血は美味しいですね転生前じゃ考えられなかったですよ。ここの街にはありませんがそのうち吸血用の奴隷を見るのもいいですかも知れないですね。

 もちろん吸血以外の人権は守るので安心して下さいよ。

スッポンて美味しいのですかね?

自分食べたことないのでいつか食べてみたいですね。

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