ハゲデブ親父
「ええい無能どもさっさと荷を守らんか!ここにあるのは聖女様に献上する最高級品ばかりお前らの命より価値があるのだぞ!お前らはその魔獣を討伐したらいくらでも払ってやるだからさっさとしろ」
なんですかこのハゲデブ親父なぜこんなにも上から目線なのですか。これはお金だけ貰ってさっさとおさらばするべきですかね。
この馬車の向かう先に行けば街に着くでしょうし。
とりあえずこの芝居をさっさと終わらせますか。
ついでにアルスに馬車を自然に壊すよう命じときます。嫌な奴には天誅です。
アルスが馬車を掴み投げたりわたしが切りつけたりグランが蹴飛ばしたりと見た目は派手な攻撃を続けます。
本来ならこんな派手な攻撃などせずに攻防するのですけどグランが派手にしたほうが印象が強いとのことなのでわざわざ大振りにしたり意味もなく大きく飛んで避けたり、多分見ている人からは大分戦っていると思われているでしょう。
「グォォ」
「パパわたしは追いかてトドメを刺してきます」
「ちょっとま──」
「行きます!」
適度な所で大きくアルスがたじろぎ傷ついた風を装って逃げ出したので面倒事をグランに任せてアルスを回収するためわたしも追いかけます。
少し振り向くと嫌そうなグランと安堵したような護衛に怒り狂う商人が見て取れましたが気にせずアルスを追いかけます。
暫く進んだところで完全に見えなくなったであろう場所まで来たのでアルスに接触します。
「よくやりましたね途中から自然に馬車を壊してましたし逃げる時にさらに壊したのは上出来です」
「グルゥゥ」
よくできたので褒めて撫でてあげたら気持ちよさそうに唸っています。
「それにしてもあのハゲデブ親父うざかったですね、あまり関わりたくない人ですから金だけふんだくったら去りますか。あーあ小説のようにコネは手に入りませんね」
女になったからかあのハゲデブ親父が生理的に無理なのですよねさらに性格も最悪そうですし体がギトギトしてますしとりあえずキモいです。
ですがあまりグランを一人にしておくと後でうるさそうなのでそろそろ戻りますか。
アルスを戻し来た道を駆け戻っていきます。
直ぐにグラン達が見えたのでとりあえず逃げられたと報告でもしておきますか。
「パパ森のなかで見失いました。逃げ足は早かったです」
「おうそうか、でだ金は払ってもらうぞ」
「ふざけるなよこちらの荷物はズタボロしかも魔獣も討伐できずによく言えたものだな討伐できれば魔獣の革で補填できたものをこの責任どう取ってくれるんだ!」
上から目線で顔を真赤にして怒り狂ってますがどうして助け出したわたしたちが払う必要があると考えているのですかね。
ハゲデブにバカを足してあげましょう。このハゲデブバカ親父め。
「だから何で俺たちが払わねえといけねーんだよ」
「ふん、お前らが早く助けに来れば被害なく行けたのだだからお前らが払うべきだ」
「ふざけるなよ」
グランが段々怒ってきましたね。それにしてもこんな謎理論を展開するような愚か者が商人なんてできているのでしょうかね。
どうしましょうね面倒くさいのですがここまで来たのですから折角ならお金は手に入れたいですね。
「どうせお前らのような浮浪者に金など無いだろうだからそこの娘で許してやる。見てくれは良いから貴族にでも売れるだろうしなんなら儂の愛人でもかまわないぞ」
「はっ何言ってるんですかキモい」
あまりにも気持ち悪い視線が上から下まで舐め回すようにめぐり背筋がこおりましたが反射的に暴言が出てしまいました。
「儂を敵に回して無事でいられると思うなよ儂の商会から物が買えなくなると困るのはそちらだろう。それお前の奉仕次第で父親の処遇を考えてやっても良いんだぞ」
「てか誰ですかあなたは。キモい死ね消えてろ」
「なっ!?」
顔を赤くし怒り出す商人、誰が愛人になるもんですか男に抱かれると考えただけで吐き気がします。
女になってもそこは変わらないです。いえイケメンに出会ったらもしかしたら違うのでしょうかね?
てか自然に暴言が出てきますね。
「おいお前ら奴隷に落とされたくなかったこいつら捕まえろ」
「えっ」
商人が治療をしていた護衛の人に命じますが護衛の人が混乱してます。そらそうでしょう護衛の人達からしたらわたしたちは命の恩人でさらに十数人で挑んでても足も出なかったアルスをたった二人で退けた強者で間違っても戦いたくない相手ですよね。
そんな心情を理解できず怒り狂いながらさっさとしろと怒鳴ってますが動かない護衛の人達。
流石に可哀想なので対処してあげますか。そろそろこのハゲデブバカ親父の顔を見ているのも苦痛ですし。
ゆっくりとハゲデブバカ親父に近づいていきます。
「そうだ大人しく来るんだ」
何か勘違いしているようですが訂正する気も起きませんね。
そしてハゲデブバカ親父の腹に拳を放ちます。
「ぐへぇっ」
汚い悲鳴と共にブヨンブヨンの腹部に拳がめり込んでいき手に気持ち悪い感触が伝わってきました。
そのまま一気に商人をふっ飛ばし地面を何回も跳ね止まった時には商人の意識は完全になくなったようです。
「ほんと気持ち悪い」
最後に思いっきり蔑んだ眼で見てやりましたよ。
ああ、これじゃご褒美になっちゃいますね。




