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SOMNIUM

作者: Allen

長い長い夢を見た。そう、この夢は僕が幼稚園にいた頃の夢だ。幼稚園の頃、僕は毎日泥まみれになりながら元気に外を走り回っていた記憶がある。あの頃の僕は、自分で言うのもなんだけど本当に可愛かったなと思う。そのとき、僕には好きな人がいた。本当にありがちなことだと思うが先生のことが好きだった。

「先生、僕大人になったら先生と結婚する!!」

無邪気な僕は、何の恥じらいもなくそんな言葉を先生に向けて話す。先生がその時何を言ったのか。正直なところ覚えていないけど、先生はきっとそんなの慣れっこだからそんな僕の言葉を笑って受け流したのだろう。

「○○君。ほら、お昼寝の時間は終わりだよ。起きて」

僕の大好きだった先生の声が聞こえる。でも、僕はこの夢から醒めることは出来ない。



次は、小学校にいたことくらいの頃の夢だろうか。そういえば、初恋もこの頃だったっけ。ふと、幼稚園の先生のことを思い出したがあの感情はきっと恋愛のそれとは違うのだろうと思い、そっとその感情に蓋を閉じた。僕の初恋のあの子は今どこで何をしているんだろうか。そういえば、結局この子はどこかに転校してしまったんだっけ。僕の初恋はそんな淡い終わり方をしてしまったようだ。そこに、

「○○君。まだ寝てるの?起きて一緒に遊ぼうよ」

唐突にあの子の声が聞こえた。しかし、さっきから肝心な名前の部分が聞こえてこない。本当にあの子は僕のことを呼んでいるのだろうか。誰かを呼んでいる少女は本当に僕が好きだったあの子なのだろうか。



場面が中学生の頃に切り替わる。この頃の僕は今までとは打って変って本当に人とは関わらない静かな人間になった。クラスでいじめられたりしていたわけではないけども友達と呼べるような人は一人しかおらず本当に一人ぼっちだった。それもそのはずであろう。僕は父を亡くした。後から目撃者の話を聞く限り事故だったらしい。そんな僕に転機が訪れた。クラスでの唯一の友達にサッカーの観戦に誘われたのだ。今まで、僕は一度もサッカーをすごいとも面白いとも思ったことはない。でも、その時は違った。比喩とかを抜きにして本当に全てがキラキラして見えた。遅い、いや遅すぎるとは思ったが僕は学校のサッカー部に入った。家では自分のプレイの様子を見て改善点を直したり、筋トレをしたりさまざまなことをした。青春を全部捧げたと言っても過言ではない。たちまち、レギュラーになった。周りからは妬まれたり、ちやほやされたり大変だったが毎日が充実していた。

「おい、○斗。朝だぞ。起きろ」

死んだはずの父の声が聞こえる。周りを見渡しても父らしき人は見当たらない。どこから聞こえるのだろう。そして、僕の名前はいったい何なのだろう。



これは、高校生の時だろうか。というか、今僕は高校生である。いや、もうこれは過去の話になるか……

僕はサッカーのプロを目指すがために私立のサッカー強豪校に入った。この時の僕は成績優秀でこれもまた自分で言うのも恥ずかしいが僕は少しもてていた。中学校の頃の経験を活かしてサッカー部に入っていた。一応エースだった。そう、だった。僕は、ある試合で致命的な怪我をしてしまった。頑張ってリハビリをしたからふつうの生活は遅れる。しかし、サッカー部には戻れない。というか、学校にも戻れない。怪我をしてしまった、いやサッカーのエースでない僕なんかのための居場所なんかどこにもなかった。僕を私立に行かせるためにパートを掛け持ちしてまでした母はもうこの世にはいない。

もう、本当に疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。なんで、どこでミスをしてしまったのだろう。そんな僕に死んだはずの母と父が手招きをしている。

「颯斗。もうそんな辛い夢を見なくてもいいんだよ。こっちへおいで」

僕は手を伸ばす。やっと、やっと、思い出した。大切な母と父がつけてくれた名前。もう、忘れたくない。いや、忘れない。そういって、僕は一歩前へ踏み出した。























どこかで、なにかが落ちる音が聞こえた。


初めまして。Allenと申します。

高校の文芸部で小説を書いています。高校で書いたものだったり、オリジナルだったりさまざまな作品を書いていくつもりです。応援のほどをよろしくお願いします。

ちなみに今回の小説のテーマは走馬灯です。友達に最初見せた時「これ死後の話?」と言われたので少し変えました...

もともと部活で25分小説という25分で小説を一本書こうという活動で書いたものを少し編集した感じです。

感想、アドバイスなどお待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 空いた空間に時間を感じました。経過がちょっとわかりにくい感じかも。
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