7.フレンド
投稿したあとに誤字とかに気がつく・・・
度々直していますので、ご安心(?)ください。
「みんなー!今日も私の歌を聞きに来てくれてありがとー!」
私は大勢のファンの前で手を振りながら笑顔を振りまいた。
私だけのステージ、私だけのファン、私だけのクラス・・・
「クリスちゃーん!!」
大勢のファンが私の歌を待っている・・・これだけでも私はこのゲームをやってよかったと思えた。
「さぁ、聞いてください!一曲目は・・・・」
今日も、私は皆のために歌う・・・・
「うわああああああああぁぁぁ!!??」
俺は絶叫しながら起きた・・・。
幸いなことに、視界には大勢のファンの姿はなく、いつもどおりの俺の部屋だった。
「あ、悪夢だ・・・いやむしろ夢でよかった・・・!」
何が、『大勢のファンが私の歌を待ってる』・・・だよ!? 男にモテても全然嬉しくねぇよ・・・
時計を見ればもう7時だった。そろそろ朝ごはんに呼ばれる頃だ。
「どうしたの?部屋で大きな声を出してたけど」
俺がテーブルにつくと、母さんが俺を心配そうな目で見ながら言ってきた。
「い、いや、ちょっと怖い夢をみてさ、ははは・・・」
言えない・・・言えるわけがない・・・。俺は適当にごまかし、焼いた食パンにタマゴとベーコンを乗せ、卵の黄身が垂れそうなのを防ぎながら完食した。
「おっす」
「おっす・・・」
学校に着いて席に座ってると篠田がやってきた。
同じおっすなのになぜここまでテンションが異なるんだろうか。
予想通りというべきか・・・教室内の大半がイマージョンについての話をしていた。
中には俺達のようにVRMMOを一緒にやるかどうかの話をしてる奴らもいる。
「いやー、昨日は先に落ちて悪かったな」
「俺もあの後買い物ちょっとやったくらいでそこまでプレイしてないよ」
篠田は先にログアウトしたことを謝ってきたが、そんなことを気にしてもな・・・
それにやったのは買い物ぐらいだし・・・その買い物が大変だったんだけどな。
「そーいや、篠田、マイナースキルはどうしてる?」
「俺か?俺は剣術とヘイトアップと重装の心得を取ったぞ。基本的に盾役でプレーするつもりだからな」
篠田は盾役向きのスキルを今後取っていくつもりのようだ、確かに篠田はあまり生産とか興味なさそうだしな。
「須藤はどうなんだ?」
「俺は生産系を多めにとることにした、鍛冶・採掘・錬金とかそんな感じ、戦闘面で使えそうなのは、バフ効果アップとかMP消費軽減とか。あとは保険のためにHPアップもとっておいた」
俺自身は割りとオンラインゲームの生産職は結構好きだった。だから生産系のマイナースキルを取ったことは後悔してない。
「お、それなら俺の装備とかも作ってくれよ」
「余裕があればな」
俺があいつの装備を作る日なんてそうそうこないと思うけどな、俺はあんまり長続きするタイプじゃないし。
「しっかし・・・うちの教室じゃアルカディアはあんまり人気じゃないみたいだな」
篠田は周りの様子を見て結構残念そうに言った。
イマージョンでできるVRMMOはアルカディアだけじゃない、むしろイマージョンのためだけにゲーム部門を作った会社もあったほどで、VRMMOの群雄割拠の状態だった。
「(まぁ俺にとってはありがたいけどな・・・)」
俺は心のなかでそんなことを思った。
俺がVRMMOで歌姫なんてクラスでプレイしてるのが皆に知られたら・・・
まぁいじめられたりはしないだろうが、からかわれるだろうと思っているからだ。
「じゃ、今日もアルカディアでな」
「ああ」
学校が終わった途端、篠田がアルカディアに誘ってきた。
まぁ言われなくてもログインするつもりだったけどな。
夕食を食った後、俺はイマージョンを装着した。
「今日中に初期装備のマイクから卒業しないとな・・・」
そんなことをつぶやきながら俺はアルカディアにログインした
「・・・・やっぱりこの姿か」
もしかしたら、別の姿に・・・と期待してたが、現実は非情だった。
「ナタのやつはどこかな・・・って、あれ?なんか来てるな」
俺は周囲を見渡してナタを探そうとしたが、『クリス』宛にメールが来てる事に気がついた。
メールはフレンド登録するためのメールだった。
「えっ・・・・」
ただしメールは『2通』あった、一つはナタ・・・篠田からだった。
フレンド登録すればどこにいるかわかるらしいし、これは助かる・・・だけど
俺は篠田よりもずっと前にきていたメールの差出人に驚いていた。
フレンド登録お願いします! byミリア
「・・・・・・・・・・」
完全にメールの内容が最初っから書かれている定型文だった。
俺はメールを開いた。すると、ウィンドウで『ミリア さんをフレンド登録しますか はい/いいえ』と出たので
俺はそっと、『いいえ』を押した。
いや・・・無いだろ、確かにサービスとかしてもらったけど、それ以上に買い物(強制)のインパクトが強すぎた。
次に俺はナタをフレンド登録した。
さぁ、レベル上げに・・・・
『メールが届いたよ?』
最初の名前を決める時に聞いたあの声が俺にメールが届いたのを教えてくれた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺はメールを確認した。
フレンド登録 byミリア
「(あ、これは逃げられないやつですね、わかります)」
恐らく、フレンド登録を拒否する度に送る気なのだろう。
ブラックリストに入れて一切連絡できないようにしようかとほんの少し、雀の涙ほど考えたが・・・
「まぁ・・・悪い人ではなさそうだったしな・・・」
それに袖触れ合うも他生の縁っていうしな・・・きっかけが悪くても、きっかけはきっかけだ。
こういうチャンスを物にしないとフレンドなんてそうそう増えないだろう・・・
そう思って。俺は『はい』を押した。