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5.銭闘

「少なくとも防具はマシなのを装備したい・・・それにMPポーションも買わないとな」

マイクは当分これ(初期装備)でなんとかするしかないが・・・流石に最弱クラスのエネミーにも簡単に殴り殺される防御力はなんとかしないといけなかった。


俺はとりあえず目に入ったプレイヤーの店に行ってみた。

まぁ店とはいっても露天のような感じだけど。

その店には猫耳の獣人の女性が店員のようだった。

見た目は正直オレの好みだったが、目がちょっとキツめで少し威圧された。


「あのー、私でも装備できる防具って無いかな?」

俺は威圧されつつも(本人にその意志があるのかは不明だが)同じ女の子(見た目だけ)であることを活かそうと女の子っぽく話しかけた。


「ん」

たった一言で返された。

店員は商品である防具達をを指差してるようだ。


「(見た目だけ愛想悪いと思ってたけど、中身も愛想悪かったー!!)」

恐らくリアルだったらクレーム物の対応をされたが、見た目良ければ全て良しだった。

とりあえず、俺は示された防具達を見てみることにした。


「(まぁ実際に買うのは俺だしな、俺が見たほうが一番いいか・・・それにしても、軽装備ばかりだからかなんか洋服店みたいに感じるな)」

このゲームでは重装備と軽装備で分かれてるようだったが、軽装備は鎧というよりもローブとか服とかそういうのを指すようだった。


俺はとりあえず頭と腕の装備を買うことにした。体装備と足装備も欲しいが一応初期装備がある。

だけど俺は頭と腕に何も装備してなかった、だからまずはそっちを優先することにした。


流石にゲーム開始してあまり時間が経ってないからか、めちゃめちゃ性能の良い物とかはなかった。


「あ、これなんて、いい感じかな」

ざっと見た俺は、黒色の皮でできた手袋を手にとってみた。


黒蛙の手袋:守備力+5 闇属性耐性+2%


「・・・・」

か、カエル・・・PCゲームならまだしも、VRでは少し抵抗があった。

俺はそっと手袋を戻そうとした。


ガシッ

「!?」

しかし、手袋を置こうとした俺の腕を、店員は掴んだ。


「あ、あの・・・離してくれないかな・・・?」

「・・・その手袋、似合うと思うよ」

俺が離してくれるように頼むとそんなことを言われた。

まぁ俺も黒が似合うかなーって思って手にとった訳だし、その言い分は理解できた。



「それに、その手袋は防具としても優秀・・・だから買っておくといいよ」

「い、いや、即決するより、他の防具も見ておいたほうがいいかなーって・・・」

俺は手袋を棚に戻そうと力を込めるが、全く叶わなかった。


「むぐぐ・・・・」

いくらなんでも筋力に差があり過ぎないか?

もしやと思い、俺は相手のレベルを確認してみた。


ミリア LV10 クラス:モンク


あ、これは勝てないですね。

歌姫と格闘家の筋力なんて子供と大人以上に差がありますよねー・・・・。

てか、もうレベル10かよ・・・恐らく俺達が行った森よりも強いエネミーがいる場所でレベル上げしたんだろうな・・・。


「はぁー・・・分かったよ、買うよ・・・・ちなみにいくら位するの?」

俺はどうあがいても勝てないので買うことにした。


「1000G」

俺は再び腕に力を入れた!


「無理無理無理無理!お金がなくなっちゃうよ!」

なぜ無理か? 俺は所持金が1100G位にしかなかったのだ。

手袋だけで1000Gとか払えるか!


「なら、持ってるものを売ってもいいよ」

お?これはちょっと有りがたかった、俺の持ってる素材だけじゃ、まだアイテムを作れないだろうし、これは助かる。


俺は空いてる方の手でアイテム袋から今日狩りまくったエネミーの素材をとりだした。

この袋、小さい割には何でも入るからな・・・4次元空間にでもなっているんだろうか?


グリーンフロッグの皮・トライホーンラビットの角・馳走鶏の羽・・・

どれもこれもあまりいい素材には見えなかった。それに解体のマイナースキルを持っていないからか、そこまで品質も良くなかった。


「まぁ・・・使えないこともないかな、最初だしサービスして300Gで買い取ってあげる」

300G・・ものの相場がわからない俺にはこれがいい売値なのかわからなかったが・・・まぁサービスって言うぐらいだしいい値段だと信じることにした。


「これで取引成立」

結局、俺は1000G支払った。合計的に700Gで買ったと考えるなら、まぁ悪くない話だった・・・と思う。

だが、どこの世界に腕力を使う取引があるんだ・・・

あ、ファンタジーなら稀によくあるのかもしれないな。


「・・・あと、これとこれもセットで持ってっていいよ」

俺が目の前の獣人・・・いや、もう名前で呼ぼう、ミリアさんに対しての心の評価をだだ下げしてるとそんなことを言ってきた。


「え、ほんと!?」

防具を2つももらえるなら1000Gも払ったかいがあったかもしれない。

俺はミリアさんの差し出した防具2つを確認した。


黒蛙の服:守備力+10 闇属性耐性+3%

黒蛙のブーツ:守備力+4 闇属性耐性+3%


「あ、ありがとうございます・・・」

ま、まぁ防具としては優秀らしいし、それに、主にカエルで出来てるとは思えないほど綺麗だった。


「はぁ・・・」

「・・・買ってくれてありがとうね」

いや、あんたが無理やり買わせたんだろーが!!

と、大きな声で叫びたかったが、まぁセットで防具をくれたことだし、良しとしよう。


だけど、礼を言われるのも無理は無いなと思った。

俺が買い物(強制)してる中、誰もこの店に寄ってこなかった。

品物が悪いわけではなかったが。本人の見た目のせいか、誰も買い物に来なかったのだ。

そりゃ、強制的にでも買わせたくもなる・・・と俺は無理やり納得することにした。


まぁ、紆余曲折あったが結構良い装備を手に入れたことには間違いなかった。

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