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16.お手本

「(だいたい、なんで俺の武器だけこんなに特殊なんだよ・・・)」

だんだん、作り方を考えることではなく、愚痴を考えるようになっていった。



「あー・・・どこかにヒント・・・お手本を・・・あっ!」

と、俺は自分のつぶやきで気がついた。

そう、お手本があればいいのだ。


そして俺はそのお手本を持っていることにやっと気がついたのだ。


初期装備のマイクだ。


俺は早速マイクを分解してみることにした。

初期装備というだけあって、かなりシンプルな作りであることも幸いし、すぐに分解することができた。


持ち手の部分は俺が手に入れた魔力結晶よりも大きい魔力結晶入っていた。

魔力結晶はこのゲームだと電池のような役割を果すのだろうか?


問題は玉の部分だ。中を見てみると細かい穴が大量に開いた黒い布のようなものが内張りされていて、中心には小さな魔力結晶が入っていた。

電池を2つ使うのか?・・・・なんか、ちょっと前のゲーム機のようだ・・・。


と思ったが取り出して見てみると


・魔力結晶(サイズ 小)(特殊効果:反響(小)


反響という特殊効果がついていた。

恐らくこれのおかげでマイクとして機能するのだろう。


俺は分解したことで大体の仕組みを理解することができた。

ここからは実際に鍛冶場で作らないといけない。

・・・・・・鍛冶場で作るものがマイクって中々にシュールだな・・・。


「(まずは持ち手から作るか・・・てか、自分の商売道具を自分で作るって、歌姫というより、売れない芸能人みたいだな・・・)」

なんとも言えない気持ちになったが、この俺はあくまでゲームのアバター、気にしても仕方ない。


まずは鉄のインゴットを持ち手の部分にすることにした。

実際の鍛冶を知らない俺だが、熱してみるとすぐにインゴットはふにゃふにゃになりそれをハンマーで叩くことで形を整えていった。

なんだろう・・・粘土みたいだな・・・これ・・・。

やり方自体は簡単だが、棒を作ればいいわけではなく中を魔力結晶を固定できるようにしないといけないし、俺がつかめるサイズにしないといけなかったので、何度も何度も微調整をしなくてはいけなかった。

なかなかうまくいかずにイライラしてたが、なんとかそれっぽい形にはなった。


次は玉の部分を銅で作ることにしたが・・・玉の部分はまさに苦行だった。

音が入っていけるように金網のようにしないといけないので、インゴット全部を使うのではなく、一部ずつとりだし針金のようにする。

それを繰り返して溶接するのだが・・・


「・・・・・・・・・・・」

最初は「面倒くせぇ!」とか「もっと楽な方法はないのかよ」とか考えていたが何度も同じ作業、同じ光景を見ることで、俺は考えるのをやめ、無心になって作業を続けた。

キャラの行動をAIに任せることができないRPGで、最初の町付近で永遠とレベル上げしてるような感じといえばいいのだろうか?最初はただ苦痛をかんじるだけだけど、途中から無表情で作業を繰り返してる感じだと思ってくれればいい。


玉の部分を若干発狂しながら作り終え、中の内張りの黒い布はナイトバットの飛膜を使うことにし、先ほどの作業で培った経験で作った針金(銅製)を使って固定した。

理由としてはエネミーの素材を使ったほうが強そうと思ったからだ・・・我ながら小学生みたいな考えだな・・・。


次は魔力結晶だが、持ち手の魔力結晶は前のやつをそのまま使うことにした。

いや・・・持ってないしね、そのサイズは・・・。


問題は玉の部分の魔力結晶だ。

どう考えても重要な部分で、ここは妥協するわけには行かなかった。


「反響とか音波・・・で考えると、ナイトバットの頭・・・というより喉が使えそうだな・・・」

というより、関係ありそうな素材がそれくらいしかなかった。


早速、釜に魔力結晶とナイトバットの頭を入れてみる。

少し時間を開けてから開けてみると黒い魔力結晶があった。


「失敗した・・?」

今日から俺は歌も歌えないただのパンピープレイをするしかないのか・・・


と思ったが、取り出してみるとちゃんと特殊効果はついていた。


魔力結晶(サイズ 小)(特殊効果:超音波(小) 反響(中))

・・・なんか変なのがくっついているが気にしてはいけない。

超音波は恐らく蝙蝠の素材で作ったからだろうな・・・効果は分からないがさすがにマイナスの効果ではないだろう・・・



俺は魔力結晶をそれぞれにはめ、持ち手の部分と玉の部分を溶接する。

ネジとかでくっつけたほうが良さそうかもしれないが・・・めんどくさかった。


「で、できた・・・!」

最後おもいっきり手を抜いた気もするが、俺の前には確かにマイクがあった。

だけど俺はここで余計なことに気がついてしまった。


「・・・なんか、普通だな・・・」

そう、マイクの形になったのはいいがそれだけを考えて作ったので地味だったのだ。

一度そう思うと頭から離れず、もっとインパクトが欲しくなった。


そこで、玉と持ち手の境目に前の魔力結晶をくっつけ、ナイトバットの羽をそこから広がるようにくっつけてみた。


そこにはさっきまでとは異なり、個性を感じられるマイクがそこにはあった。

・・・なんかちょっと厨二というか・・・痛々しくなった気もするが、俺の見た目にもあってるし、大丈夫だろ・・・多分。


こうして俺は新しいマイクを手に入れたのであった。

実は作者はレベル上げが割と好きです。

というより、負けイベントを無理やり勝とうとするタイプです。

国民的RPGのⅦとか大好きです。

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