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11.異名を冠するもの

洞窟を進むと今までの通路とはちがうそこそこ大きい部屋にたどり着いた。


「やっとここまで来れたか・・・」

ナタがしみじみと言った。確かに最初の楽勝ムードからまさかの撤退をしたしな。


「敵の姿が見えないけど・・・ボスはどこにいるの?」

俺が部屋を見渡してもエネミーは一匹もいなかった。


「ああ、ちゅうお・・・」

「もっと中心に行かないとボスは出てこないよ、ちなみにボスはメイジスケルトンね」

ナタが説明しようとしたのを思いっきりミリアが被せてきた。

せ、説明してくれるのはありがたいが、ナタがなんとも言えない表情になっていた。


「ま、まぁ、この面子なら楽勝だろ、βテストの時も来たけど、お供はナイトバット2体だけだし、メイジスケルトンの魔法だけが怖いがスピードに特化したアタッカーもいるし」

確かに、大体のゲームで魔法使いは火力はあるが接近されるとすぐに倒されるというのが一般的だ。

一気に相手の懐に入れるミリアには絶好のカモだろう。


俺達は俺が戦神・翼人・祈りそれぞれの歌を重ねることで、一気に勝負を仕掛けることにした。


「よし・・・いくぞ!」

「・・・うん」

ナタとミリアが部屋の中央に接近する、俺は歌声が届いてればいいので、接近せず、後ろの方にいることにした。


すると、床に魔法陣が現れ、魔法陣の中央から魔道士っぽい帽子と杖をもったスケルトンとナイトバットが現れた。


「・・・鉄砕拳!」

先手必勝とばかりに、ナタとミリアがメイジスケルトンに向けて駆け出し、スピードに勝るミリアが先に攻撃を繰り出した。



だが



「「「・・・・え」」」

3人同時にそんなマヌケな声を出していた。

ミリアの拳が当たる直前、メイジスケルトンの姿が『消えた』のだ。


そして

「なっ・・・!?」

俺はふっ飛ばされた。

『後ろから』来た魔法をモロに食らってしまったのだ。

本来なら、俺なんて一撃で倒されているほどの魔法だったが、闇属性であったため、黒蛙の特殊効果である闇属性耐性のおかげでギリギリHPが残っていた。


「な、なにが・・・」

視線を向けるとそこにはさっきまで部屋の中央にいたはずのメイジスケルトンがいた。


「クリス!・・・メイジスケルトンが瞬間移動できるなんて聞いたこと無いぞ!?」

「私も・・・」

どうやらふたりも予想外だったようだ。


だが、疑問はすぐに解消された。答えは相手の名前にあったのだ。


神出鬼没の メイジスケルトン


「こ、これってまさか・・・」

「ああ、間違いない・・・二つ名持ちってやつだろう、運がいいのか悪いのか・・・」

そう、ただのエネミーではなかったのだ。

いろんなゲームで二つ名持ちがでてくるが、基本的に普通のエネミーより強い、厄介というのが常識だ。このアルカディアでも例外ではなさそうだ。



俺はすぐに距離をとり、HPポーションをがぶ飲みした。 

祈りの歌も回復できるがあれは一気に回復することはできない、なのでHPポーションを使って失った分のHPを回復した。


あんまり連続で飲むとポーション酔いを起こすが、そもそも俺はHPの最大値が少ないので飲む回数も少なくすんだ。


「戦神の歌!翼人の歌!」

俺は再び歌を重ねた。さっき攻撃を食らったせいでバフが全て切れてしまったのだ。

祈りの歌を重ねなかったのは、ミリアはそもそも攻撃を滅多に被弾しないし、ナタも今はHPに余裕があったからだ。まぁ一番の理由はMPの節約だが。


「ミリア!まずは俺が攻撃するから、エネミーが瞬間移動した時は任せたぞ!」

ナタは瞬間移動をわざと使わせ、リキャスト中にミリアに攻撃させるつもりのようだ。


「わかった」

ミリアも予想外の敵であまり余裕が無いようだ。ナタの提案に素早く答えた。



「いくぞおらぁ!」

ナタがメイジスケルトンに斬りかかる。案の定メイジスケルトンはナタの前から消えた。


「鉄砕拳!」

再び現れたメイジスケルトンを素早く見つけたミリアは魔法を発動される前に一気に懐に飛び込みスキルとラッシュで一気にメイジスケルトンのHPを削っていった。


「♪~♫~」

まぁ、皆が戦闘してる中、俺はなにしてるかというと、離れた所で歌を歌ってるだけなんだが・・・。

だが、かといって前線に行ってバフを切らしては元も子もない、自分の役割を放棄したら、パーティが総崩れになる可能性もある。


一見この完璧のように見える戦法だが、一つだけ問題があった。


戦闘が長引くのだ、ミリアがせっかくラッシュをかけてもある程度殴ると瞬間移動で逃げられてしまう。

しかもネームド故に通常のメイジスケルトンよりも体力が多いそうだ。


まぁ前線の二人は戦闘が長引こうがあまり関係はないだろう、問題は・・・



「♪~『ま、MPが・・・・』♫~」

そう、俺のMPが底付き始めたのだ。祈りの歌を抜いても戦神と翼人だけでMPをそこそこ消費する。

しかも歌は『歌ってる間ずっと』MPを消費し続ける。長期戦になればなるほど俺にとって不利だった。


俺達がこの戦法を取れるのも、正直、翼人の歌の効果が大きかった。ミリアはともかく俺とナタは足が遅いから、敵を追いかけるにも、魔法を避けるにも移動速度アップの影響は大きかった。

それに戦神の歌がないと更なる長期戦は免れない。


俺はMPを回復するためにアイテム袋に手を突っ込んだ。





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