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【詩集】Shangri-La

かげろう

作者: 野鶴善明


 ぼくのこころに生まれた

 青い 透明な

 ほっそりとした

 かげろうの幼虫


 あなたを想うと

 幼虫は

 ことりと動く

 のどもとが

 つまりそう

 息が苦しくて


 幼虫が

 寝返りを打つ

 透明な尻尾が

 ぼくの白い心臓を

 そっとくすぐる

 誘われるのは

 やわらかなめまい


 あなたのことしか

 考えられなくて

 あなたの横顔ばかり

 思い浮かべて

 夕霞のような

 うすいさびしさが

 あたり一面に折り重なる


 これが恋なの?

 それとも

 ぼくのわがまま?

 いますぐ会いたいと

 こころをしぼられるのは


 ぼくは知っている

 幼虫が

 美しい羽を広げてしまえば

 あなたへの想いは

 数日しか生きられない


 だからこのまま

 おとなにならないで

 時よ 満ちないで

 すこやかに

 ぼくのこころのなかで

 しずまっていてほしい


 ぼくのこころに生まれた

 青い 透明な

 ひっそりとした

 かげろうの幼虫



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― 新着の感想 ―
[良い点] 素敵な美しい詩ですね。
2019/10/16 09:36 退会済み
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