第1章 5話 神器に選ばれし姫・シャルレシア
グレイグ
ま、明日の事はもうこれ以上言う事はねえ。
明日を迎えるだけだ。
ソール
わ、分かったよ。
で、俺はどうやって城に入ったらいいんだ?
グレイグ
ん?
そうだな。
俺と一緒にいれば問題ないだろ。
ソール
はぁ?
そんなんで大丈夫なの?
ていうか、あんた城の関係者なのか?
グレイグ
ん?
まあ、関係者っていやあ関係者だな。
ま、そこは深く考えるな。
大丈夫だよ、きっと・・・。
ソール
わ、分かったよ。
で、明日どうすればいいんだ?
どこに行けばいい?
グレイグ
ん?
明日なんか待たないでいいぞ。
この後に俺と一緒に城に戻るんだからな。
お前さんは。
ソール
はぁ?
マジか?
グレイグ
なんだ?
何か問題でもあるのか?
ソール
い、いや、ねえけどよ・・・。
グレイグ
だろ?
そうと決まったら行くぞ。
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グレイグ
おら、ここがローザリアのお城だ。
ソール
やっぱ大きいな。
これぞお城って感じだ。
グレイグ
関心してねえでこっちだ。
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
警備兵
グレイグ様、おかえりなさいませ。
グレイグ
おう、相変わらず仕事熱心だなぁ、おい。
ご苦労なこったぜ。
警備兵
グ、グレイグ様、そちらの方は?
グレイグ
ん?
こいつか?
こいつは俺の懐刀だ。
害はないから安心しろ。
警備兵
で、ですが明日は・・・。
グレイグ
わーってるよ、そんなことは。
ちゃんと上には通してある。
問題ねえよ。
警備兵
そ、そうですか・・・。
これは失礼しました。
さ、どうぞ中へ・・・。
グレイグ
おう、行くぞ。
ソール
あ、ああ。
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
な、なぁ。
本当に話は通してあるのか?
グレイグ
ん?
お前さんのか?
心配すんな。
ちゃんと通してあるよ。
OKはもらってないけどな・・・。
ソール
はぁ?
い、いいのかよそれで。
グレイグ
いいんだよ。
OKはもらってねえが、ダメとも言われてねえ。
ダメと言われてないってことは、OKってことだ。
さ、着いたぞ。
中に入るぞ。
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
メイド
おかえりなさいませ、グレイグ様。
グレイグ
お、相変わらず愛想がいいね。
報告がある・・・。女王陛下は今どこに?
メイド
はい、女王陛下様は、今は姫さまとお食事中でございます。
グレイグ
食事中か。
分かった、待ってるから帰ったことを伝えてくれ。
メイド
はい、かしこまりました。
え、えっと。
グレイグ様、そちらのお方は・・・。
グレイグ
ん?
こいつか?
こいつは、あれだ、騎士。
俺の騎士。
害はない。
あと、気遣いは無用だ。
メイド
は、はぁ。。。
かしこまりました。
それでは伝えますので、しばらくおくつろぎなられましてお待ちくださいませ。
グレイグ
おう、頼むぜ。
おい、ソール、こっちだこっち。
ソール
なんかオレ、めっちゃ怪しまれてるんだけど、大丈夫なの?
グレイグ
ん?
お城ってどこもこんな感じなんだよ。
気にするな。
ソール
そ、そんなもんなのかな・・・。
グレイグ
おら、こっちだ。
ここで待つぞ。
ソール
お、おう・・・。
ソールとグレイグは女王の食事が終わるまで、しばらく待っていた。
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
メイド
グレイグ様、女王陛下様がお待ちです。
グレイグ
おう、分かった。
ーローザリア城・謁見の間ー
ローザリア女王・エレシア
「グレイグ、よく無事で戻りました」
して、今回の旅は目的は果たせたのか?
グレイグ
ああ、とりあえずは及第点は出せるな。
それに明日は姫さんの祝い事じゃねえか。
それに合わせて戻ってきたってところだな。
エレシア女王
ほっほっほ。
そなたは相変わらずじゃのう。
安心したわい。
姫もそなたの帰り、きっと喜ぶじゃろう。
「これ、姫をこちらにと伝えよ」
メイド
はい、かしこまりました。
エレシア女王
ところで、グレイグよ。
そなたと一緒の殿方は誰じゃ?
そなたが客人を連れてくるとは珍しいからの。
いったい誰なのじゃ?
グレイグ
こいつか?
リーガス島からの帰りの船で知り合ったソールだ。
おい、ソール。
お前さんも挨拶しときな。
ソール
は、初めまして。
ソールです。
グレイグ
おいおいおい、何だその挨拶は。
らしくねぇ挨拶だな。
もっとこう、いつもの感じでいいんだぜ?
何緊張してんだ。
ソール
う、うるせぇ。
初めて城に来たから慣れてねぇんだよ。
エレシア女王
ほっほっほ。
グレイグが気にかけるとはきっと何かがあるんじゃろう。
ソールと申したな?
妾もそなたを気に入ったぞ。
そなたを客人といたす。
存分にくつろぐが良い。
ソール
あ、ありがとうございます。
グレイグ
というわけだ、しばらくはここにいな。
どうせ行く宛がないんだしよ。
お、そうだ、女王よ。
忘れねえうちに伝えとくぜ。
神器についてだ。
エレシア女王
ほう、何か分かったのか?
グレイグ
分かったこともある。
まずは刺さってる剣についてだ。
あれは未だに抜けるやつがいないみたいだな。
おそらく奴らではもう無理だろう・・・。
で、その剣だが・・・、
どうやらレグナザークではない剣だ。
ま、一安心ってところだな。
エレシア女王
そうか、よくぞ調べた。
グレイグ
それから最近発見された3つ目の神器だがな・・・。
発見されたのは本当らしいが、まだ謎が多い。
そして、発見された場所は、ローザリアとは真逆と言っていい場所だ。
あの魔法大国・プリスティン法国だ。
しかも・・・
神器の中でも最強って話だ。
魔法ってだけでも厄介極まりないってのに、ここに来て神器の登場だ。
敵には回したくはねえな。
エレシア女王
そうか。
プリスティンじゃったか。
あそこは自ら動くところではない。
油断は出来ぬがすぐに動くこともないじゃろう。
ましてや・・・、神器を扱えるものがいるとも限らんしの。
グレイグ
ま、そういうこった。
よその神器については以上だ。
さて、神器について本題に入るぜ。
エレシア女王
何じゃ?
まだ何かあるのか?
グレイグ
ああ、こっからが重要な話だ。
エレシア女王
申してみよ。
グレイグ
ついに分かったぜ・・・。
弓に足りなかったモノが。
エレシア女王
何と。
本当か?
グレイグ
ああ、本当だ。
これで弓もきっと大丈夫だ。
エレシア女王
して、それは何じゃ?
グレイグ
女王さんよ、弓に足りなかったのは・・・
こいつだ・・・。
グレイグは女王に本とクリスタルを渡した。
エレシア女王
これが足りなかったモノじゃと?
ふむ・・・。
本とクリスタルか・・・。
して、この本には何も書いてないが、何なのじゃ?
グレイグ
女王さんにも見えねえか・・・。
その本の中身は神器に選ばれた人ならば見える。
そのクリスタルも選ばれたやつに反応するクリスタルだ!
エレシア女王
ふむ。。。
して、反応する者に心当たりはあるのかえ?
グレイグ
ああ、あるぜ。
神器もきっと反応する。
エレシア女王
誰じゃ?
神器に選ばれし者は・・・?
エレシア女王が聞こうとした時・・・
姫
「久しぶりね。グレイグ」
あいからず口が悪いわね。
いつ戻ってきたの?
グレイグ
おお、姫さん。
今日だ。
昼にも戻ってきたんだが、女王も姫さんもいなかったからな。
エレシア女王
なんじゃ、シャルレシア
客人の前じゃぞ?
少しは姫らしくせんか。
ローザリア王女・シャルレシア
客人?
あ、あぁーーー。
あなたは昼間の・・・。
ソール
や、やあ・・・。
また会っちまったな・・・。
シャルレシア
ど、どうしてここに・・・。
エレシア女王
なんじゃ。
シャルレシア、ソールとは知り合いじゃったのか・・・?
ソール
・・・・・。
シャルレシア
ちょ、ちょっと昼に森であったのよ・・・。
グレイグ
なんだい、姫さんとはもう会ってたのか。
エレシア女王
そうじゃったのか。
ソールは客人となった。
しばらくは城におる。
年頃の男性がおれば、少しはそなたも姫らしくなるかもしれん。
良い機会じゃ。
シャルレシア
わ、わかりましたわ。
私はシャルレシアよ。
ソール
俺はソール。
ま、よろしくな。
エレシア女王
そうじゃ。
姫が来たから忘れるところじゃった。
グレイグよ、いったい誰なんじゃ?
神器に選ばれし者の名は。
グレイグ
ああ、そうだったな。
ちょうどよかったぜ。
神器を使えるのは、姫さんだ!
シャルレシア姫だ。
エレシア女王
な、なんと。
シャルレシアが・・・。
グレイグ
ああ、間違いないだろう。
試してみればわかるさ・・・。
エレシア女王
そうじゃな。
うむ、シャルレシアよ、これを読んでみよ。
エレシア女王はシャルレシアに本を手渡した。
シャルレシア
・・・・・。
何なの?この本は?
何も書いてないわよ?
私をからかってるの?
エレシア女王
グレイグ!
どういうことじゃ?
グレイグ
あれ?おっかしいなぁ。
姫さんで間違いないと思ってたんだけどな・・・。
シャルレシア
あら、キレイなクリスタルね。
お母様、そのクリスタル見せてくださいます?
エレシア女王
そうじゃな。
エレシア女王はシャルレシア姫にクリスタルを渡した。
シャルレシアがクリスタルを受け取った瞬間、クリスタルは眩い光を放ちだした・・・。
シャルレシアの胸にある紋章もクリスタルに呼応するように輝きだした・・・。
そしてシャルレシアの身体をクリスタルと紋章の光が包みだした・・・。
シャルレシア
な、何?
か、身体が・・・。
光に包まれたシャルレシアは、不思議な声が聞こえていた・・・。
ー光に包まれたシャルレシアー
聞こえますね?
私はあなたの中にある紋章に反応してあなたに語りかけています。
私は神器の精霊です。
あなたには神器を扱うにふさわしい魂を持っています。
ですが、まだその力は弱く、神器全ての力を使うことは今はまだ無理でしょう・・・。
でも安心してください。
魂を成長させていれば、いつかきっと神器の力を解放する時が来ます。
神器は神器が認めた者の魂で扱うことができます。
ですが、決して己の魂を神器に飲み込まれないようにしてください。
清く正しい心があればきっと大丈夫でしょう。
神器は人を殺めるために存在してるわけではありません。
神器は人を守るため、何かを守るため、自分のためではなく、誰かのために使う時、神器はあなたの魂の呼びかけに反応します。
神器でできることは本に全て書いてあります。
ですが・・・、あなたの心の魂のレベルに応じたモノしか見ることができないでしょう。
心が解放された今、本を見てください。
今のあなたにできることが分かります。
弓の矢と弦は心のイメージです。
あなたの心の光が弦になり、また矢にもなるのです。
最後にもう一度言います。
神器は人を守るため、何かを守るため、自分のためではなく、誰かのために使う時、神器はあなたの魂の呼びかけに反応します。
このことを絶対に忘れないようにしてください。
私はいつでもあなたの中にいます。
神器を、私を正しいことに使ってください。
あなたならきっとできると信じています。
そう言うと、神器の精霊はシャルレシアを包んでいた光とともに、シャルレシアの紋章へと消えていった・・・。