新たな旅立ち
ーリーガス島ー
7つの神器を巡る争いが続くルーンガルド大陸の中において、神器の争いとは無縁の生活をしている火山に囲まれた孤島。
竜やドラゴンも生息する。
ルーンガルドに生息する竜には
大地を駆け巡る・地竜
水の中に生息する・水竜
大空を飛び回る・飛竜
の3種類の竜が存在している。
リーガス島には人間の他にエルフ、獣人族や竜人族が暮らしている。
リーガス島には神器の一つがあると言われているが、詳細は不明。
ルーンガルド全体で繰り広げられている神器の争いの中、
なぜリーガス島が攻め込まれないのかは不明だが、
島の人達の認識では、ルーンガルド全体でも珍しいドラゴンの1種がいることが大きな理由の一つだという認識である。
争いがあまりないことも影響してか、観光に訪れる人も多く、島としてはそこそこ経済的にも、それなりに裕福な島でもある。
国としては独立はしておらず、リーガス島は本土のローザリア王国の領地になっている。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
「ソール、ソールはおるか?」
ソール
なんだよ、じじい、俺はここにいるぜ!
老人の呼びかけに、飛竜と戯れていた少年が答えた。
おお、そこにいたか、ソール。
ちょいと頼まれてくれんかの?
ソール
なんだよ今度は。
老人
これを娘の所まで届けて欲しいのじゃ。
ソール
これを届けろだって?
おいおい、近所のお遣いじゃねんだぜ?
娘っていっても、この島にはいねえじゃねえか・・・。
ローザリア王国まで行ってこいってか?
じじいには世話になってるし、頼みごとを聞かないわけにはいかねえけどよ、、、。
分かったよ。
ちょいと行ってくるぜ。
ところでよぉ、今大陸は争ってるのか?
老人
どうじゃろうな。
最近は大きな争いはなく、落ち着いてはいるみたいじゃと聞いておるがの。
ソール
そうか。
ま、もし争いに巻き込まれても、軽くねじ伏せてやるけどな。
そして「7神器」でも手に入れた日には、一回は使ってみたいしな。
老人
これこれ、ソール。
7神器は誰でも使える物ではない。
7英雄の血筋を分けた者だけにしか扱えん物じゃ。それに神器も人を選ぶという。
仮に一族の血を分けた者だとしても、扱えるとは限らん代物じゃ。
ましてやお前さんは一族の者じゃない。
夢を見るのはやめるんじゃな。
ソール
でもよ?
俺の胸には紋章があるぜ?
これは7英雄の紋章じゃないのか?
老人
ソール。
何度も言っておるじゃろう。
違うとな。
お前さんも絵で見たことがあるじゃろう。本当の紋章を。
ソール
そうだけどよ、、、。じゃあこの胸のはなんだって言うんだ?誰も分からねえじゃ納得いかねえよ。
俺は真実を知りたいんだ。
俺の親父や母ちゃんのことも含めてな。
老人
お前さんの気持ちはよう分かる。じゃがの、今は分からないことに悩むのではなく、できることをやるんじゃ。
そうすれば、いずれ真実に辿り着く日が来るかもしれん。
焦るでないぞ。
分かったらもう行け。
船の時間がなくなるぞ。
ソール
分かったよ。行ってくるぜ。
老人
そうじゃ、お金を渡すのを忘れとった。こいつを持っていけ。
それからの、ソール。
そのお金は行きの駄賃しかない。
娘に届け物をしたら、しばらくはここに帰ってこんでええ。
ソール
なんだよそれ?
俺に帰ってくるなってか?
必要ねえって言いたいのか?
老人
そうじゃない。
お前さんは若い。無限の可能性を秘めておる。こんなちっぽけな島におって可能性を潰すこともあるまい。
それに・・・
お前さんの親のことも、向こうで何かわかるかもしれんじゃろ。もし向こうでお前さんの親に出会うたらならば、向こうで親と暮らすのが一番じゃ。
わしのことなんか気にせんでええ。
ソール
何言ってるんだよ、じじい。
俺が親のことを知りたいって言ったのは、一緒に暮らしたいからじゃねえ。ただ、真実が知りてえだけだ。
俺の家族はじじいだけだ。
老人
ありがとうよ、ソールや。
じゃがそれでもお前さんはしばらくは向こうにおるべきじゃ。
お前さんにしか出来ない何かが向こうにきっとある。
ほれ、もうよいじゃろう・・・。
船がなくなるぞ。
はよ行ってこい。
ソール
分かったよ、じじい。
じゃあ行ってくるぜ。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★