第1章 9話 シャーク・レイ・ドラグーンの女総領
リリア・ハーディー
後から来る人も、この道を通るんでしょ?
だったら無理に街に行かなくてもいいんじゃない?
引き返すのがムリなら、ここで待ってればいいわ。
シャルレシア
そ、そうね。
それが賢明だわ。
そうしましょう。
ここで待ってましょう。
どうせ今は夜だし、先には行けないし。
ソール
そ、それはそうだけどよ・・・。
リリア・ハーディー
じゃあ決まりね。
今夜は一緒に夜を過ごしましょう。
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ソール
なぁ、リリア・ハーディーはさぁ、紋章あるんだろ?
リリア・ハーディー
ええ、あるわよ。
ソール
神器には興味ないのか?
リリア・ハーディー
神器かぁ・・・。
興味がないって言ったらウソになるけど、正直どうでもいいかなって気持ちの方が強いかな・・・。
ただ・・・
なぜ神器なんてモノが存在するのか?ってことに関してはすごく興味があるわ。
ソール
ふーん。
神器がある理由ねぇ・・・。
リリア・ハーディー
そういうあなたちこそ、神器についてどう思ってるの?
ソール
俺は神器なんてモンは実際に見るまでは、本当にあるなんて思ってもみなかったけど、もしあるならば使ってみたいとはずっと思ってた。
リリア・ハーディー
実際に見たって、神器を?
ソール
ああ、そうだ。
シャルレシアの神器を見るまでは。
シャルレシア
・・・・・
リリア・ハーディー
ええ?
シャルレシアって神器の使い手なの・・・?
もしかして、7英雄の末裔?
シャルレシア
い、一応私は英雄の末裔みたい、、、。
ローザリア王国の王女なの・・・。
リリア・ハーディー
ええ?
シャルレシアってお姫さまなの・・・?
ローザリア王国は女王が治めてることは知ってたけど、お姫さまについては知らなかったわ・・・。
そして神器の使い手なんだ・・・。
シャルレシア
い、一応ね・・・。
ま、まだ使ったことないし、実際に使えるかどうかも分からないけどね、、、。
それに、、、
さっきの話聞いた後だから、ちょっと複雑な気分・・・。
リリア・ハーディー
さっきの話?
ああ、私たちの先祖が、英雄になり損ねたって話?
そんなの気にしなくてもいいわよ。
あの話だって私は別に気にしてなんかいないし。
ただ、まあ、あれね。
この話は一般的には知られていないけど、当事者たちの末裔の人たちにしてみたら、ものすごく恨みを持ってる人たちもいるから、気をつけたほうがいいとは思うけどね・・・。
なんでも、魔王の決戦の後にも何か色々あったみたいだから・・・。
シャルレシア
ねえ、リリア・ハーディーは見た感じ、私たちとあんまり歳が変わらなそうだけど、その歳で海賊の総領って、すごいわね。
リリア・ハーディー
私のことはリリアでいいわ。
シャーク・レイ・ドラグーンは、代々私の家系が総領を務めてきてるの。
紋章を宿してる者が総領を務めるのが、代々の決まり事なの。
一族の中で、紋章を宿してる人が総領を受け継いできたんだけど、女の子が総領を受け継いだのは、私が初めてだわ・・・。
今までも女の子でも紋章を宿した人はいたことはいたんだけど、女の子だけにしか紋章がないってことは、これまではなかったみたいだわ。
そんな経緯だから、私が総領を務めてるのよ。
と言っても、受け継いだの最近だけどね・・・。
前の総領は、私のお父さん。
でも去年、何か重要なことをやらないといけないいからって、お父さんはどこかに出かけたの・・・。
そして、それきり戻ってきてないの。
生きてるのか死んでるのかも分からないのよ・・・。
シャルレシア
そうなんだ・・・。
イヤなことを思い出させちゃったわね・・・。
リリア
ううん、気にしないで。
私が総領を務めてるのは、お父さんがもう何年も前から、仲間に私が次の総領だって言ってたのもあったから、みんなも納得してくれたんだと思う・・・。
ソール
ところでよぉ、リリアはなんでこんなところにいるんだ・・・?
だってこの先の街は、リリアたちとは関係ないんだろ・・・?
なんでいるの・・・?
リリア
確かに街は私たちとは関係はないわ。
でも、私たちのところに応援要請がきたのよ。
私たちのところだけじゃないわ。
別の海賊のところにも応援要請は言ってるわ。
デビル・レイサーは海賊の中でも、私たちとは考え方が違ってて、デビル・レイサーだけが独自の方針で活動してるのよ。
だからデビル・レイサー以外みんな協力体制をとってるのよ。
私たちはこっち側にいるけど、逆側には私たち以外の海賊がいるわ。
ソール
なるほどねぇ、、、。
海賊も色々大変なんだな・・・。
ま、とにかくこの先の街のことは分かったからよ。
とりあえず、様子みることにするよ・・・。
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ー翌日ー
ソール
ふぁ〜、、、。
お、みんなもう起きてたのか?
おはようさん・・・。
シャルレシア
おはようって、今何時だと思ってるの・・・?
もう昼よ?
リリア
あら、おはようソール。
ふふ、気持ちよさそうに眠っていたわよ・・・。
ソール
たくさん寝たからスッキリしたぜ!
それにしても、お前たちも何もしないでよく平気でいられるな、、、。
俺だったら絶対に我慢できねぇ。
リリア
ふふ、海賊は船の上でも長い旅が続くこともあるから、慣れているのよ。
それに、、、
ただ何もせずにここにいるわけでもないわ・・・。
海賊兵
「お頭、偵察に行っていた兵が戻ってきました・・・」
リリア
「そう、では呼んでちょうだい」
海賊兵
「へい」
リリア
「向こうの様子はどう?」
偵察兵
ここ数日は大きな衝突はありませんでしたが、デビル・レイサーに動きがあります。
おそらく、今日か明日に総攻撃を仕掛けると思います。
リリア
そう、いよいよね。
ところで、デビル・レイサーが血眼になるほどの神器については、何か分かった?
偵察兵
へい、噂では神器と思われるモノの場所が分かった地図があるみたく、デビル・レイサーはそれを手に入れようとしてるみたいです。
リリア
神器の地図?
それは本物?
神器の地図は今までもいくつもあったわ。でも全部違ってたらしいじゃない。今回のも偽物じゃないの・・・?
偵察兵
おそらく、今度のモノは本当のモノかと・・・。
デビル・レイサーはこれまで街を襲うくらいの大掛かりなことはしてきませんでした。
おそらくデビル・レイサーがずっと探していたモノだったからではないでしょうか?
リリア
なるほど、何が何でも手に入れたいモノってわけね。
よし分かったわ。みんなを集めてちょうだい。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
リリア
いい?
デビル・レイサーはいよいよ勝負に出るみたいだわ。
これ以上デビル・レイサーの好き勝手にさせてわいけないわ!
デビル・レイサーを街から追い出すのよ!
それから・・・
街に行くのは8割、1割は今まで通りここに残って、残りの1割は港に行って港に待機してるドールと一緒に、いつでも船も出せるようにしてちょうだい。
さあ、行くわよ!
海賊兵
「おぅ」
リリア
ソール、シャルレシア、それにエリー、というわけで私たちはこれから街に戦いに行かないといけないの。
あなたちとはここでお別れね・・・。
ソール
あ?
俺たちも行くぜ?
リリア
それわダメよ!
デビル・レイサーはとても強いわ。それに手段を選ばないのが彼らのやり方よ・・・。
危険だわ・・・。
ソール
何言ってんでぇ。危険なのはリリア達だって同じだろ・・・?
それに、昨日はアツイ夜を一緒に過ごした仲じゃねぇか!
シャルレシア
ソール!なんかあんたの言い方はいつもイヤらしいわ、、、。
ソール
俺たちはあの街に用がある!
ダメと言われようが、絶対に行くからな!
それに・・・
こっちにはシャルレシアがいる。
いざとなったら、神器が役に立つかもしれねぇだろ?
シャルレシア
そういうこと!
だから私たちも行くわ!
リリア
そう、わかったわ。
でも、そこのメイドさんは戦えないでしょ?
ここに残ったほうがいいわ。
シャルレシア
そうね。エリーはここに残って待っててちょうだい。
メイド・エリー
あ、それでは私は一旦ローザリアに戻ります。
元々シャルレシア様たちを案内したら、戻る予定でしたので・・・。
シャルレシア
分かったわ。ここまでありがとう。気をつけて戻ってね。
メイド・エリー
はい、シャルレシア様もご無事で。
リリア
準備はすんだようね。
それじゃあデビル・レイサーを止めにいきましょう!
こうして、リリアとソール達はデビル・レイサーが待つ街へ向かったのだった・・・。
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