栗毛の馬
明るい昼
雲薄く
風少し
青い屋根
小さな家の
小さな庭
日向に
真っ赤な薔薇
日陰に
純白のカラー
蜂の縞の黒の針
蟻の足の取れたの一本
しっかりとした家の柱
出はいりする人の影
笑い声と笑い声と……
飛行機が飛ぶ
低く唸り雲を曳く
午睡の夢
金の埃の粒
軽やかに
壁の向こうの
座敷の
知らない
子どもの足音
ととととと……
ととととと……
いないことは
存在しないこと?
地面の下を
流れている
確かに流れている
水の音
……
……
聞こえないことは
存在しないこと?
始まりの風が吹いている
どこへでもいける
でもどこへ?
静まりかえった黒い瞳
睫毛の影で俯く栗毛の馬
お前に乗って
あの国へ辿る
荒れる海の波になり
立ち昇る山の気になり
もう誰も迎えない
国境を越える
お読み頂いてありがとうございます。