ある相棒の心
相棒目線です
俺の前に広がるのは受け入れがたい光景
驚きで目を見開く姫と彼女を抱きしめながら身を盾にしている相棒
止めを刺そうとする間者を倒し
彼らの元へと駆ける
息を引き取ったあいつ、呆然とする姫
事後処理を遅れて駆けつけてきた部下に任せ
あいつの側へとしゃがみこむ
その満足げな表情を見て
なぜこうなったと忍びに有るまじき涙を流した
最初の出会いは
長に呼ばれて行われた里での顔合わせ
俺の相棒になるといわれ紹介された
無感情に見るその顔を見て
何故か俺は苛立った
月日が過ぎあいつと共に城へと呼ばれた
その時俺はあいつの感情を始めてみた
それから人間らしくなったあいつをからかいつつ見守った
俺でなかったのが残念だったが嬉しかった
...だからこそその思いの名前に逸早く気づいてしまった...
それだけならまだよかった
最悪は姫も同じ感情を持ったこと
主従であるがゆえに許されない想い
日々幸せそうに生きる二人を見て
俺はこのことを秘する事を決めた
それぞれが隠し続けて数年
姫の輿入れが決まった
相手は幼き日より彼女に懸想していた武将
それを伝えられたときの俺の心情は
きっと誰にも解らない
白無垢に身を包んだ姫
だけど隠しきれない悲痛な心
それに気づかない相棒は
初夜の警護を俺に任せ
暗闇へと消えた
いく年月が過ぎ戦が始まった
物いいたげな視線で姫を見ることが増えた武将
何事か彼女に伝え戦場へと行った
その直後、舞い降りた情報
間者が城の中にいる、と
すぐさま相棒は彼女の基へと駆ける
それを追い俺も続く
嫌な予感が纏わりつく
姫の部屋へと遅れて着けば
彼女に覆い被さるように倒れた相棒を見た
間者を倒し彼らの側に行った
最初は頬を染めていた姫
しかし手に付いた相棒の血を認識し蒼白となった
取り乱し声を荒げる彼女
不意に微かに聞こえたあいつの声
他に言う事があるだろうと思わず呆れてしまった
それを聞き届けた姫は歪で綺麗な笑みを彼に見せた
それを見た後あいつは満足げな表情をして目を閉じた
次の瞬間姫の叫びは城中に轟いた
もしもこの世に神とやらが居るんだったら
一つだけ我侭と言えない我侭を叶えやがれ
もしも来世と言う物があるんだったら
たった一つだけの望みを叶えろ
もしも運命と言うものが決めることが出来るんだったら
一つの宿命をわたせ
次に生を受けるときには
その時は平和な世であることを要求する
次に生を受けるときには
身分なんて無い時代に生きる事が出来るようにしろ
次に生を受けるときには
二人が二度と離れないようにしろ!
(ある時代、ある場所で
ある男女が巡り合う
それは果たして叶わなかった思いへの慈悲か
それとも強き想いの為せる事柄か__)
悪友と言うイメージだったんですが......
これはこれでオッケー!
如何でしたでしょうか?
感想お待ちしております(ペコリ)