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 は? 紙? 髪? ……神? 何?


 「神よ! 我が願いをきけ! 神よ! 神よ! 神よ!!!」

 

 やっぱ文脈から言って「神」だよなー。

 いや、しかし、神よ神よ言われましても……。

 俺はマンガ家……もとい、ただの高校生ですし。


 「神よ! 責任を果たせ! 我が願いをききいれよ!」


 責任!? 俺ってばいつの間にパパになっちまったんだー! って、ないわ……。残念だけど、それだけは確実にない。理由は聞かないで。

 

 アホなこと考えている場合じゃない。

どうみてもこの状況はよろしくない。人気のない夜の住宅街で、いきなり俺を神呼ばわりする珍妙な格好の少女から脅迫を受けているのだから──。

  

 少女はしびれを切らしたのか、おぼつかない足取りで俺の方に一歩、踏み出した。

 

 「神よ!」

 

 一歩。じっとりと張り付いた黒髪の隙間から、少女の黒い瞳がぎろりと俺を睨め付ける。


 「神よ!!」


 また一歩。白い腕をゆらりと伸ばし、宙を掴むように手招きする──。


 「神よぉぉぉおおおおお!!!」


 ギャーッッッ!!!

 

 なんだよ、これ! 少女との出会いってもっとときめいてメモりあうやつじゃないの? なんでこんなサイコホラーみたくなってるわけ?

 ダッシュで逃げようと身体を翻した瞬間、俺の首に少女の細く冷たい手がかかる──。

 嘘!? 何こいつ! 足早すぎじゃね?


 あ、これ死ぬやつだ。

 俺がそう確信したとき、耳元で少女の声が響く。


 「神よ、魔王を救い給え」


 俺は首に食い込む少女の指にしがみつき、つばを撒き散らして絶叫した。

 

 「──わ、わかりました! ウグゥッッッ! わかったからぁぁぁっっつ!!!」


 瞬間、視界が純白の光に包まれる。

 あまりの閃光に瞼は自然と閉ざされる。

 

 俺は再び確信する。

 ──これ、絶対死ぬやつだ。

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