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東方物語集  作者: Ra
幻想の歴史 始まりの物語
35/56

幻想の始まり 20

三人が境界を越えた先には。



一年前にみた、美しい毛並みをした金色の九本の尾を持った大きな狐がそこにいた。

前より強いなにか憎しみや怒りのような感情があるようだった。



ほかの陰陽師たちも続々と駆けつけてくる。そして結界と識神を構え九尾との臨戦態勢に入っていた。


一年前と違うのは九尾が他にも妖怪を引き連れているということだった。



「深夜でもないのに九尾の百鬼夜行に遭うなんてね」

紫はぽつりと呟く。



紫はこの美しい狐の命を奪ってしまわないといけないのが非常に悲しかった。これだけの美しい大妖怪を殺さなくてはならないのかと思うと何かどこか辛い感情があった。

一度しか見たことがないけれど、なぜか彼女はこの妖狐に感情を持っていた。

何故かはわからない。けれど何か特別な感情があった。



九尾が尻尾を振るい攻撃をしてくる。他の陰陽師は式神を使って対処しているが、さらに九尾の周りにいる妖怪までもがそれに乗じて攻撃しようとしてくる。


そして九尾が口を開ける。光が九尾の口元に集まっていく。

その真正面にいる紫。彼女はただ九尾を見ていた。彼女はその時が来て欲しくないと思っていた。





真正面に向けて九尾が光弾を放つ、つまり光弾が紫に向けて飛んできた。

当たる直前に紫は落ち着いた様子で境界をふっと二つ開く。一つは自分の真正面に。もう一つは九尾の真後ろに。



光弾が境界の中に入り、九尾の真後ろに展開された境界から射出された。

九尾は自分の光弾によって体を傷つけた。まさか自分の攻撃が飛んでくるなど思ってもいなかったのだろう。


状況を理解していない九尾は怒り、様々な方向に向けて光弾を放った。

が、その度に紫が境界を展開していく。その度に九尾が傷つけられていくのであった。



血だらけになった九尾の尾の力は徐々に弱まっていった。だがそれでも地面を抉るくらいの力はまだ十分にある。


九尾が痛みで怒り、雄叫びをあげる。

身体を丸め回転させながら九本の尾で地面を抉りながらものすごい速度で自分の方に向かってくる。

抉られた地面は砂埃となって竜巻のようになっていく。

当たればそこにあるものを全て塵にしてしまうくらいの力を秘めていた。




紫は少し悲しい顔をしながら九尾と接触する前に境界を開いた。

この境界は、境界の世界へと繋がる境界だった。


九尾はその中に入っていった。


九尾がその場にいなくなったことにより、他の陰陽師たちは先程よりずっと戦いやすくなったようだ。九尾以外の他の妖怪に対処すればいいからだ。




「麗夢、他の百鬼をよろしくね」


「わかってるわよ、九尾はあなたに任せるわ」


「じゃあ行ってくるわね」




紫はその言葉のあと、足元に境界を開き自分も九尾のいる境界の世界に入っていった。

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