二人の秘密を封ずるための 2
「頼みごとって、どんな頼みごと?」
「うーん、それが何を言ってるのかはっきり聞こえなくて…ただどこかで聞いたことのある声なの。誰の声かはわからないんだけど」
「どこかで聞いたことのある声?」
「どこかで、というよりはなんとなく聞いたことのある声としか言えないけれど。はっきり聞こえないし何も言えないのよねぇ…もしかしたらいつも聞きなれてる声なのかも」
「それって最近毎日出てくるから聞きなれてしまったんじゃないの?」
「そうかもしれないわね」
メリーの相談らしい話というのはどこに向かいたいのか、よくわからない。ある意味ただの雑談に過ぎないのかもしれない。それでも別に文句はないのだけれど。
「ねぇメリー。昔のようにその世界から何かものを持ってきたとかそういうのはあるのかしら?」
「そういえばそんなこともあったわね。最近の夢ではそんなことは何もないわよ」
「もしかしたら当時の夢には関係のないのかもしれないわね」
「それは何とも言えないわ。私が“なんとなく”そこの世界だと思っただけよ。きっとそれに関するって思っただけ」
さっきから言っている“そこの世界”というのはメリーが夢の世界でいったことのある世界で、話によると紅いお屋敷があったり、人間のように目が真正面についているのに人間じゃなかったり、全身から火を出していた女の子がいた世界らしい。
その時メリーは紅いお屋敷でもらったクッキーと、竹林で拾った天然の筍を拾ってきた。最初はただの夢の話だと思っていたけれど、私から言わせるとそんなことが起きれば質量保存の法則が成立しない。本当に夢の中の世界なら物理学上ありえないことが起きているのだ。
そもそも私もメリーもほかの人にはない不思議な能力を持っている。私は空を見ると今立っている場所と時間がわかる。実際には星を見ると時間がわかって月を見ると今いる場所がわかる。メリーはそれを気持ち悪いっていうのよ。酷いわほんと。とても便利で使える能力なのにね。夜限定だけど。
メリーの能力は結界の境目を見る能力がある。秘封倶楽部の半分はそのおかげで成り立っているようなものなんだけど。まぁ秘封倶楽部のメンバーは私とメリーの二人だから半分なのは当然なんだけど。
彼女の能力で過去に宇宙に行ったり…実際は行ったっていうのは語弊があるんだけど、半分は行ったようなものね。私はメリーによってビジョンを見せてもらっただけだし、疑似体験っていう方が正しいのかな?ただそこで怪物に襲われて、私はなぜか無事でメリーだけ傷を受けてしまって。メリーはそのあと療養していたのだけれど、その時に2500万年前伊弉諾が国生みの時にできた石をなぜか持っていて。
昔メリーの夢の世界の話を聞いた時に、全部無かったことにして忘れてもらおうとかも考えたけれど、私の興味本位でその能力を使って色々なところにいこうとか言ってしまった。彼女は自覚が無いかもしれないけれど、見る能力から操る能力に変わっているのでは無いだろうか。
最初はそんなことないと思ってたけれど、伊弉諾の石を持っていた時に能力が強まっているのではないかと思った。
そして最近になってまた夢の話…
色々考えながらメリーと話しているうちに陽も落ちてきた。
「ねぇメリー、そろそろ陽も落ちてきたし外食でもしない?」
「そうね。どこか行きたいところとか食べたいものとかある?」
「うーん、お腹が空いたしどんなものでも美味しく食べれそうな感じだけどね。どこでもいいわ」
「おかげで夕食がなんでもいいって言われる奥さんの気持ちがよくわかったわ」
「よかったわね、大人になれて」
「嬉しくなんか無いわよ」
そうして、二人はメリーの家を後にした。
更新が遅れてしまい申し訳ございません。そして次の更新も遅れる可能性が高いです。ごめんなさい。今週はテスト週間とかでして・・・
今回の話は前回に対してかなり長いかもしれません。読みにくかったり誤字などあればぜひ指摘して下さい。また意見などもあれば待っています。よろしくお願いします。
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