幻想の始まり 14
衝撃は徐々に収まっていった。衝撃が完全に収まった後境界がすうっと閉じていく。
陰陽師が自分に向かって歩いてくる。それが怖かった。そして今の映像がこの人達にも見えていたのか。それを知りたかった。
陰陽師が自分の目の前に来る。少しの沈黙―――――
先に沈黙を破ったのは陰陽師だった。
「…やはり君の能力である可能性が高いね」
「…何が起きたのか教えてくれませんか」
「君の方からだったら何も見えなかったかもしれない。今私達が見たものを話してあげよう」
話を聞くと境界がすぐ開かなかった理由は、恐らく以前九尾の攻撃を飲み込んだことにあるらしい。
以前九尾の光弾を境界で飲み込んだ事によって、境界が開くまでに時間が少しかかった。簡単に言うと容量が大きいものを吐き出す形になった。その際に少しラグが発生した。
そして境界が光弾を吐き出し、式神の光弾と衝突し大きな衝撃が起きたらしい。
実際には境界から光弾が出る瞬間しか見ていないから、ラグが発生したことに関しては憶測でしか無いという。
ただ式神たちは私が両手を突き出した時に空間に異変を感じていたらしい。というより強大な力が迫ってくる感覚があったらしい。
実は最初に打ち込んだ光弾はただの光で、無害なものだったらしい。
先ほどまでの攻撃だったら緊張感が無いということがわかっていたから、緊張感を持たせるために放ったものだったとのこと。
だけど、式神たちが危機を感じ取ったのを見て急遽その光を結界で包み、衝撃に耐えられるようにしたらしい。
「と、まぁ術の難しい話は置いておいて、だ。境界が君の能力だろうと私はほとんど確信している。君は自覚していないだけだ。まだ実感はわかないかもしれないが、また以前のように必要な時が来るかもしれない。だから能力をはっきりと自覚し、自分のために使えるようにしておいた方がいい」
「そうですね、実感は湧きませんが…」
「境界を操れるならば、かなりの力を持っている。だけれどそれは悪用すればただの大妖怪になる。能力に溺れること無く生きていくんだ」
「…わかりました」
「君から何かあるかな」
1つだけ疑問が残っていた。
「…先ほどの衝撃の時にあなた達は何か映像が見えましたか?」
「映像…?私は境界と光弾しか見ていないが…」
「私もそれ以外何も見ていないわ」
「何かあったのかな」
不思議な映像が脳内の中に流れ込んできた話を陰陽師たちに話した。
特別見たことがあるわけでもない人達が出てきたことを。
「…そのことに関しては私達は何もわからない。君の言ってる人たちの特徴を聞いても、思いつくような人もいない。君自身しかわからないからその件に関しては力になれない…」
「そうですか…いえ、ありがとうございます」
「あ、それとこれを君にあげよう。きっと君なら使えるし、守ってくれるはずだ」
二枚の札が手渡される。
「…これは?」
「この札は何かを式神にすることができる。例えばこの狼の式神は元々竹林に住んでいる狼だったが、同じような札で式神とした。式神にできるのはその主となる人の力以下の力を持つものしかできない。あぁ、人を式神にはできない。どちらの札も守ってくれるはずだ」
「わかりました。ありがとうございます」
そうしてその日の実験は終了した。




