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東方物語集  作者: Ra
幻想の歴史 始まりの物語
26/56

幻想の始まり 11

「待って!」


大声で静止をかける。

式神を見た彼女は一つ質問をしたくなった。式神も陰陽師も動きを止める。



「私のこと妖怪だと思ってるんですか?あれが私の能力だったら、妖怪とみなすんですか?」


少しの怒りと、大きな不安を帯びたその質問は彼女にとって重要なことであった。

もし、自分の能力だとしてそれが証明されてしまえば自分は妖怪扱いされるのだろうか?確かにあんな能力を持つ人間がいれば、それは人間ではないような気がするが自分が妖怪扱いされるのはとても耐えられない。



師匠の陰陽師が答える。

「君のことは妖怪には見えない。それにその能力が君のものだとしても、君のことを妖怪としてみるのは難しいと思う。それほどまでに君は人間らしいし、人間を襲っても来ない。仮に君の種族が妖怪だとしても人間には無害な妖怪だ。もちろん人間に害を為すようになるならば、妖怪として君を見ることになるだろう。昨夜も言ったように君の心次第だよ」


「では何故私のことを式神で攻撃しようとするのですか?私を妖怪と思っているからではないんですか?」


「直接的な攻撃以外、私達は攻撃手段は式神や武器しか無い。武器なら君に対して危険過ぎる。直接攻撃したならば、境界が現れた時に私達の身が危険になるかもしれない。九尾の攻撃が境界の先に飲み込まれたように私達も境界の先に飲み込まれてしまうかもしれない。その時私達はその世界から帰ってくる手段を持っていないだろう。だから一番安全な式神で攻撃するしか方法が思いつかなかった」



彼女はその言葉で納得する。妖怪のように思われているのかと不安で、聞かざるを得なかった。自分の少しでも出来ていっている居場所を壊したくはなかった。



「そちらから他に質問はあるかな」


「答えてくれてありがとうございました。私からはもう無いです」


「ではこちらから幾つか頼み事がある。私達の式神を直接君に攻撃させるつもりで式神を操らせてもらう。その際昨日の九尾の光弾のように真正面から攻撃させる。だから君も同じように出来るだけ昨日の再現をするつもりで行動してほしい。いいかな?」


「わかりました。それでお願いします」


「じゃあ攻撃をそろそろ開始する。君のことは傷つけないように攻撃するつもりだ。逆にいうと恐怖心もあるだろうがあまり動かないで対処してほしい。動かれると君に思わぬところでキツい攻撃をしてしまうかもしれない。いいね?」


「わかりました」


「君の能力ではないと判断したらその時点で諦める。では攻撃を始める」



鎧武者の式神が自分に対して走りこんでくる。短刀を持っているようだ。式神が目の前から刺殺するかのように攻撃してこようとする。



私は恐怖心で一瞬息が止まった。だが目的は忘れていない。

恐怖心はあっても昨日のように手を前に突き出す―――――。

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