二人の秘密を封ずるための 1
私の名前は宇佐見蓮子。京都のある大学に在学中の女子大生。
大学では超統一物理学を専攻しているわ。最近はその中でも「ひも」理論の研究をしているのだけれど。
まぁこんな難しい話は置いておいて。
私は秘封倶楽部というサークルに入っているの。名前を聞いただけじゃわかりにくいけれど、よくあるただの霊能者サークル。わかりやすく言えばオカルトサークルね。まともな霊能活動も行っていない不良サークルって周りにはよく言われるけど、実のところはそんなことないわ。だって私たちちゃんと活動してるもん。私たちって言ってもメンバーは私含めて二人だけなんだけど…でも、だからこそ楽しいのよ。サークルなんて楽しければいいのよ。
今日は土日で学校も休みだから、講義もなければサークルも無いし、一日中家でゆっくりしようと思っていたのだけれど、そのサークルの私以外の唯一のメンバーが私に話したいことがあるっていうのよ。急に連絡してきて何かあると思ったらこれだから…でも彼女との時間はとても楽しいからいいんだけどね。そんなわけで彼女の家に到着。
「メリーさん?話を聞きに来てあげましたよ」
「あ、蓮子ね。来てくれてありがとう、今鍵を開けるわ」
今出迎えてくれたのが、秘封倶楽部の私以外の唯一のメンバーで本名はマエリベリ・ハーン。でも言いにくいからメリーって呼んでるんだけどね。メリーにはどこが言いにくいのって言われたけど、いいじゃないメリーって。呼びやすいし馴染みやすいし。それにいつでも私の後ろにいてくれそうな名前じゃない?
同じ大学に通ってて専攻分野は相対性精神学。私とは専攻分野が違うのだけれど、どういう訳か気が合うのよ。
「それにしてもどうしたのよ急に話って」
「最近いろいろあってねー、今お菓子でも出すからそこの椅子にでも座っててよ」
「最近?真面目に講義出すぎて疲れちゃったの?」
「そんなことじゃないわ。まぁまぁ焦らないでよ蓮子。話は長くなるからゆっくりしていってよ」
「焦ってなんかいないわ。早く帰りたいだけよ」
「酷いなぁ蓮子は。ねぇ今日せっかくだし一緒に夕食食べにいかない?」
「そうね、帰って夕飯の支度するのも面倒だしメリーと一緒に食べるのもいいわね。楽しいし」
「今さっき早く帰りたいとか言ったのにね」
「さっきのは冗談だって、そんな風に受け止めないでよ」
メリーがお菓子の用意をしてくれるのを待つ間、いつもの何気ない会話をしつつ椅子に座ってメリーを待つ。それにしてもこの机と言い、家の内装と言い、どこか西洋を感じさせる家で日本にはない感じだなぁといつも思う。彼女の出身国はどこなんだろう、そういえば聞いたことがないなぁ。とか考えているとメリーがお菓子とお茶を持ってきた。
「お茶も持ってきてくれるなんて気が利くじゃない。ありがとう」
「いいのよ、今日は私の話を聞いてもらうために貴方を呼んだのだし。お菓子でも食べたりしながら聞いてくれてたらいいわ」
「それで話って何かしら。どこか行きたいところでもあるの?」
「そんな秘封倶楽部に関する話ではないわ。ずっと前、私が貴方に夢の話をしたのは覚えているかしら。きっとそれに関する話よ」
「あの夢に関する話?ってまた夢の話なのぉ?ずいぶん昔の話じゃない」
こんな返事をしつつも私は薄々不安には感じていた。だって夢の中の物体が現実になったりするのだから。あの夢は夢であって夢ではない。なんとなくだけれどそんな感じがするのだ。
「最近何かそれに近い夢を見たりするのよ。いや見るというより声が聞こえるというか…あの夢の世界の住人の人が私のことを呼んでいるのよね。正確には誰かもわからないしあの夢の世界の住人じゃないかもしれないのだけれど」
「じゃあなんであの世界の住人だと思ったのよ」
「なんとなく」
「なんとなく、ねぇ」
なんとなく という言葉は一番困る。理由がないのにそう思うというのはわかりやすく言えば勘ということ。理屈がないというのは物理学上一番困るのよ。証明するにも証明できないし。ほら、何もやってないけどパソコン壊れたとか言われると一番困るでしょ?
「それでね蓮子。その夢の世界の住人が何を言ってるかちゃんと聞き取れないからわからないけれど、何か私に頼みごとをしているのよ。」
プロローグに対してかなり長文になりました。
また行間の開け方や、一文の長さなどこれでいいのかなど不安は沢山あります。私が見やすいようにと思って適度に行間を開けてみましたが一般的にどう思われるかはわからないので。
そのようなことも是非指摘していただけると嬉しいです。
もちろん作品の感想などもお待ちしております。
よろしくお願いします。 Ra