幻想の始まり 2
「まだ夜は明けないのかしら…」
彼女はまた歩き疲れ、また岩に座っていた。
もう今は疲れるだけなので、夜が明けるまでは動かないことにしたようだ。
筍は土が付いているし、この状態のまま食べたいとも思っていなかった。
きっと太陽が登ってから動けば良い。そのほうが自分のためになる。
今焦ると体力の消耗にしかならないとわかった。夜の竹林を舐めていた。
不安ではあったが、真上を見れば満点の星空を見える。今までに見たことの無い星空の美しさに彼女は感動を覚えていた。空気が澄んでいるということなのだろう。
満月はただただ、地上を照らす。その中で星も綺麗に見えている。大小関係なく、全てが生きているようなそんな感覚がした。
不安を感じながらも、全てが美しいこの世界に魅力を感じていた彼女は、自身の体力のために、夜明けまで寝ることにした。
ここならば、獣もいないし、命は別状が無いだろうと思い、寝ることにしたのだった。
寝ないとなぁなんて思いつつ、星空の美しさを見ていたかった彼女は、岩の上で仰向けになりながら、星を見ていた。
そのまま眠気が、彼女を包み込むのにそう時間はかからなかった。
彼女が起きると周りは明るくなっていた。
体力はある程度回復したが、何か食べなければ空腹は満たされない。
分からなくてもいいから、取り敢えず起きて、竹林を抜けなければいけない。少し急ぐような気持ちで立ち上がり、前方に向かって歩き続けた。
立ち上がった時、岩の上に自分の書いたメモを落としたことには気づかなかった。
彼女は数時間のあと、竹林を抜けた。
達成感もあったが、空腹感もあった。
近くになにかないかなぁとか思いながら、見ると人里が見えた。古そうな家の作りになっている。あそこは凄く田舎なのかなぁとか思いながら、その方向に歩き続けた。




