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第9話 雌鶏

「あ、ああ、あああ・・・」

 

 美味と喚きがおかしな行為をしている。

 人間(食事)で遊ぶのはご法度だが鬼で遊ぶのは問題ない。

 そうこうしているうちにポロっと喚きの角が落ちた。

 それを美味が受け止める。


 遊びではなく美味への追及か。見誤ったな。

 美味が角を折ろうとして四苦八苦しているのをみて手を貸す。

 美味が半分に折れた角を喚き自身に食べさせる。

 やはり不味そうで苦しんで新たに二本の角が生える。

 美味と同じだ。喚きは美味の分身のようなものか。


 俺はあの時のように美味が差し出してきた喚きの折れた角を頬張る。

 ふりかけをそのまま食うのは駄目だな。

 やはり人間(ごはん)にかけなくては。


 そして美味も伸びた角を差し出してくる。

 美味はおかずとして申し分ないがやはり人間(ごはん)が欲しい所だ。

 そしてまたすぐに美味の角が生えてくる。


 これを何かに例えるとすれば雌鶏か。

 人間(ごはん)と共に食べる(おかず)だ。

 それを美味と話しているとしなだれかかってきた。


「大餓。もっと食べて。あーしを食べて」


 また角が落ち生えてくる。

 体から伝わってくる鼓動も激しい。

 俺が美味の首筋に噛みつくと血が噴き出してくる。

 尋常な量ではない。


 口に入ってしまったが鬼の体のような臭いものではない。

 美味ではないが飲めないほどでもない。

 美味の望み通りその血と角を平らげる。

 美味の顔が笑顔に戻ってくるがまた苦しみだす。


「美味。質を上げろ。お前自身の力が強まっている」

 美味は俺に渡すために質より量を選んでいる。


 美味の血が濃くなり、角が硬さを増すと落ち付いてくる。

 無駄に血を流していたのはこのせいか。

 辺りはまるで惨殺事件現場だ。

 よほど力が強まっているのだろう。


「大餓。これ食べられる?」


 硬さを増した角が落ちてくる。

 バリバリと喰うが問題ない。

 むしろ味は増している。


人間(ごはん)が欲しい所だがな」


 美味が笑い返す。

 俺との交渉に使えるかの心配か。

 あの喚きもその対策だろう。

 食への配慮に長けた奴だ。

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