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第49話 鬼太刀

 ギィィィン!

 俺が金棒で首無し喚きを殴りつけると先とは違う音がする。

 これは鬼武器か。これは喚きの持っていた鬼切断包丁か?


「俺は復讐を完遂したぜぇぇぇ!!!」


 包丁が振えて声を出す。

 こいつも怨念に呑まれているのか。

 包丁が太刀へと変わっていく。


 俺と鬼太刀は切り合う。

 怨念を受けたその刃は硬く、食欲が湧かない。

 齧って食らうというのは無しだ。

 そしてこの体も硬い。怨念とはこうも硬さに出るものか。


 だが決着は意外な形で着いた。

 首無し喚きの胸元から破邪の剣の刃が飛び出る。

 美味だ。背後から破邪の剣で突き刺している。

 切り合いをしている俺ですら捉える事が出来なかった。


 その刃が怨念を消し去る前に、鬼太刀がその手から弾け飛ぶ。

 その刀身の震えからみて、自分で逃げ出したのだろう。


「許さない」


 先の凍えるような冷たい怒りが破邪の剣を通じてこの場の空気を凍り付かせる。

 その力に当てられたかのように硬直し、ひび割れ崩れていく首無しの体。

 その手は喚きの異能が切れたであろう城主の方に向けられる。

 その城主の怯えた表情を掴む様にその手は閉じられ、消えていった。


ーーー


 城主の無事を知ると壱大字は飛びついてその無事を喜んだ。

 いつもなら食う所だが、件の鬼は討伐せずにいるのだ。

 俺達は黙って去る。

 そしてその炎天下。


「ギャアアアア!!! 大人しく言うことを聞くのです!!!」


 喚きが喚く。その手には鬼太刀(おにたち)となった鬼切断(おにたち)が握られている。

 その主導権争いが起きているようだ。

 だが喚きは精神系の異能に明るい。

 苦心はしているが鬼切断を抑え込む。


「ギャアアアア!!! ハハハハハ!!! ハァ、ハァ、ハァ。これで私も鬼武器持ちの、嘆きの鬼狩り切断鬼(せつだんき)! 喚き! なのです!」


「鬼を狩ってどうする」


「もう人間への復讐はこりごりなのです。しばらくは鬼狙い。殺意の向く場所を変えるのです」


 恨んでもいない鬼に八つ当たりか。

 人間で遊ぶような真似よりはいいが、いつまで続くか。


 だが喚きは共に旅を続ける。

 美味の機嫌がよくなるのならば、それはそれでいいだろう。


 俺は地下で手に入れた黄泉の神を金棒から取り出す。

 そしてその神球をお天道に晒す。

 これで怨念の元凶も少しは収まるだろう。

 今これを食うのは流石に無理だ。

 日に晒し、いつかは食えるようになるといいのだがな。

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