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第48話 怨念

「許さぬ。俺にとって人間(食事)を穢す存在は神であれど許す事が出来ぬ」

 俺は金棒の握りを確かめる。


「大餓。喚きの首を落として」

「いいのか?」

「あーしも腹が立ってきた」


 珍しく美味が怒っている。


「美味サマ。私は・・・」

「大餓。喚きの首を落として。早く」


 美味は喚きの言葉を遮った。


「ギャアアアア!!! ハハハハハ!!! 私の最後に相応しいのです!!! 人を呪って呪われる!!! 私は嘆きの鬼切断包丁喚き!!! 人間!!! 私は復讐のためにここに来た!!! そしてそれは成し遂げた!!!」


 喚きは喚く。


「この鬼め! 主君の仇だ!!!」


 切りかかろうとする壱大字の刀を俺が弾き飛ばす。


「それは俺の役目だ。約定を違える気か?」


 俺は壱大字の言葉を待たずに金棒を振りぬく。

 弾け飛ぶ喚きの体と宙を舞う喚きの首。

 そして首が俺の所に転がってくる。


「大餓サマ・・・、私は復讐を遂げました。必ず憶えていてください」

「ああ。憶えている。喚き。お前は・・・」

「憶えなくていい。そこをどいて大餓」


 俺の言葉を遮ったのは美味だった。

 その顔はこれまで見たこともないような冷徹な凍えつくような怒りだった。


「まて、最後くらいは言葉を聞け」

「良いから退いて、あーしを怒らせたいの? 大餓は言ったよね? あーし達を守るって。今すぐ退いて」


 美味は有無を言わさず喚きの首に向かう。

「美味サマ。私は・・・」

 そしてその指を喚きの口に突っ込んだ。

 喚きの牙で指を切りつけ血を流し込む。


「ギャアアアア!!! アダダダダ!!!」


 喚きが喚く。

 その首から透明な体が現れ暴れ出す。

 それに血が通い。喚きの体が出来上がる。


「痛いです美味サマ!!! 凄く痛いです!!!」

「もう! いつまでも喋っているから! 首だけで生きられるわけないでしょ!」

「私は終わったのです! 私の復讐は終わったです!」

「喚き。ここは喚きのいた城じゃないでしょ。この城主も知らない人でしょ」


 ん? 俺と喚きの視線が合う。


「喚きは憑りつかれてたの。その体が怨念塗れで使い物にならなかったの。だから首を落としたの。喚きは全く無関係」


 ん? 俺と美味の視線が合う。


「だから。その城主が虐めた人間があそこに落とされたの。それが喚きに憑いて復讐したの。それだけ」


 ん? 俺と壱大字の視線が合う。


「喚きは巻き込まれただけ。全然関係ない。これでお終い。大餓。あとはその体を片付けて」


 ん? 俺と首のない喚きの体が立ち上がり視線のようなものが絡み合う。


「これは片付けてもいいのか?」

「お願い。もう喚きは大丈夫」


 これは誰も知らんわけだ。喚きの顔も名もな。

 だが、理屈はわかった。片付けるか。

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