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第47話 喚き

「本当によろしいのか?」

 

 それは先の侍、壱大字の言葉だ。

 その後、詳細に情報を聞き出しその対価として命の免除とした。

「それだけの情報だ。お前の命の対価として十分だ。その目で見届けるといい」

「ありがたいが某は侍。死に場所は心得ているで御座る」

「ならばその死に場所を預かろう。お前が死ぬ場所はここではない」


ーーー


 その城は荒れ果てていた。

 餓鬼の襲来を凌いだ後に城主が鬼になる。

 廃れるには十分か。

 

「喚きはどこだ?」

「いえ、某も。姿を消されて機を伺っておいでかと」

「機とはなんだ? 俺が来た時点で全ては終わったも同然だ」

「確かに。では事が終わるまで潜んでおられるのでしょう。傷は浅くはありませなんだ」

 あの喚きが潜んで機を伺うだと?


ーーー


 俺達は城内を進む。

 鬼の俺が歩いていても怯えて道を開ける。

 これはもう人の城としては機能していないな。

 そして城の最奥に辿り着く。


 そこで俺の目に映った物は、

 人を食う人だった。


 城主と思わしき人間が、家臣と思われる人間を食おうとしている。

 だがそれは無理だ。

 人間なのだからな。

 こいつは鬼ではない。


「これが、お前のやりたかった事か? 喚き」


「はい。このために私はあなた達と別れました」

 喚きが脇から現れる。

「言うまでもないが。お前は人間(食事)で遊んでいる。それを俺が見逃すと思ったのか?」

「いいえ。私はそのためにあなたをここに呼びました。この光景がなにかわかりますか?」

「食事でないのは見てわかる。これを調理とのたまう気か?」

「大餓サマ。これは復讐です。それには見届ける者が必要です」


「これはどういうことだ! 喚き殿。我らを謀ったのか!」

 事の顛末を知るためについてい来た壱大字が喚く。


「痴れ者が! 私の名と顔を言ってみるのです!!!」

 喚きが喚く。

 それに壱大字が激高する。

「喚きだ! お主の顔など知らん! 何のためにこのような鬼畜の所業を!!!」


「ギャアアアア!!! ハハハハハ!!! わかりますか大餓サマ!!!」

 喚きが喚く。

「ここでは誰も私を知らない! この私の顔も! 名前も! 誰も知らない! これでは復讐にならないではないですか!!!」

 喚きが嘆く。

「こんな、こんな事! 復讐を成しても誰もその意味を憶えていない! 知りもしない! これでは復讐はなされません!」

 喚きが喚く。

「だから。この復讐を見届ける者が必要だったのです。これが復讐だと知っていただきたかったのです!!!」


「それはお前が俺に討たれたとしてもか?」


「そうでなければ語り継がれません」


 喚きは歌うように様に言葉を紡いだ。


「この世に仇成す鬼が在り。私に仇成す人が在り。

  私は仇成す人の鬼になり。仇は鬼と呼ばれ人喰う人に。

   されどその意味を知るものは。私を討った鬼食いのみ。

 私は、私の復讐の意味を知らしめるためにあなたを利用した。

 大餓サマ? 私を許して下さりますか?」

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